
Teraceの梶本です。個人事業主や小さな会社のホームページを作っています。
今日は「Teraceがこの先もやらないと決めていること」の話です。
結論から言うと、2026年7月、100万円から200万円規模の依頼を断りました。理由は、僕が決めている線引きに引っかかったからです。
社会福祉法人からのホームページ制作の相談でした。普段Teraceが受けている案件よりも、ひとまわりもふたまわりも大きい金額です。
年末までのスケジュールがすでに埋まっていて、着手できるのは3ヶ月後になります。ごまかさずにそう伝えて、断りました。
相手は、社内で調整してみて、それでも依頼するならまた連絡すると言いました。それきり連絡は来ていません。おそらく他社に流れたのだと思います。
後悔はありました。ただし、断ったこと自体への後悔ではありません。組織を仕組み化して、100%の力で捌けるキャパシティを増やしておけばよかった、という後悔です。
Teraceには、この先もやらないと決めていることがいくつかあります。一つずつ見ると別々のルールに見えますが、決めるに至った出来事を並べると、根っこの考え方は一つです。
月に3、4件までしか制作案件を受けない

いま、Teraceが同時に抱える案件は、月3件から4件までと決めています。この数字には理由があります。
2025年9月から12月にかけて、案件が溜まりすぎた時期がありました。それまでは、お客さんが成果を上げるにはどんな策を打てばいいかを考え抜いて、出せる力の100%で実行する、そういう姿勢でやってきました。
ただ、案件が多すぎると、納期までに捌かなければというプレッシャーが強くなります。そのプレッシャーの中で、実際に妥協が2つ出ました。
たとえば、次のようなことです。
- 各ページのタイトルや見出しを決めるための競合調査で、キーワードの選定を詰めきらないまま出した
- 上がってきたデザインで時間がかかりそうな部分を、簡単なレイアウトに変えた
という感じです。
どちらも、お客さんからは見えない種類の妥協でした。納期は守られますし、見た目も成立します。だからこそ、自分たちの中でしか気づけない変化でした。
この経験があったから、月に持てる案件の数に線を引きました。一人ひとりのお客さんに100%で向き合える状態を守るために、数を決めています。いまは僕を入れて3人でやっているので、人数が増えれば、この数字も変わっていくと思います。
とはいえ、この上限は美学で決めているわけではありません。今の体制でぎりぎり100%を出せる数字が、たまたまここというだけです。冒頭の依頼を断ったのも、年末まで枠が埋まっていたからでした。
サイト制作を安売りしない

案件の数だけでなく、値付けについても決めていることがあります。相場より安い金額では受けない、ということです。
約1年前、本来なら100万円以上のページ数になる案件を、54万円で受注したことがありました。相手が名前の知られた会社で、制作実績に載せれば自社のアピールになると思ったからです。
修正回数を契約に入れていなかったのも失敗でした。始まってみると意見がころころ変わり、無制限の修正依頼が来ました。契約が甘いので追加請求もできず、無料の修正が延々と続きました。
赤字の案件だったので、実際に制作を担当しているメンバーに十分な報酬を払うことができませんでした。夜中まで毎日、終わらない修正作業がおよそ1ヶ月続きました。
メンバーは口には出しませんでしたが、態度には不満が滲んでいました。案件が落ち着いたあと、全員で話し合いました。
要するに、やったことに対する報酬をきちんと渡さないと、モチベーションが下がるということです。モチベーションが下がれば、そのままサイトの質に跳ね返ります。
安売りの代償を最後に払うのは、僕たちではなくお客さんでした。それ以来、次のことを決めています。
- 修正回数を契約に入れる
- 相見積もりの値引き合戦には参加しない
- クラウドソーシングとは違う価格帯で戦う
制作メンバーが案件に100%の気持ちで入れる状態を守るためです。
お客さんが欲しがっていても目的に合わないものは作らない

量と価格のほかに、もう一つ決めていることがあります。お客さんが欲しがっていても、目的に合わないものは作らない、ということです。
立ち上げ期の個人事業主から、6ページから7ページほどのコーポレートサイトを作りたいという相談を受けたことがあります。
事業を始めたばかりの人に本当に必要なのは、網羅的なサイトではありません。訪れた人を申し込みまで運ぶ一枚でした。
ランディングページと複数ページのサイトをどう使い分けるかは、Web制作を仕事にしていなければ知る機会がありません。相手も専門家ではないので、希望が複数ページ寄りになるのは自然なことでした。
正直に言うと、複数ページのサイトのほうが金額は高くなります。
- 希望されていたもの: 複数ページのコーポレートサイト(30万円)
- 実際に勧めたもの: 申し込みまで一直線に運ぶランディングページ(20万円)
売上だけを考えるなら、複数ページのまま作ったほうが僕たちの得になる話でした。それでも、目的から逆算すればランディングページのほうがいいはずです。そう伝えると、相手は納得してランディングページで作ることになりました。
僕たちが考えているのは、そのサイトを作る目的から逆算して、何をするべきかです。そこを提案したうえで、意見をぶつけます。
お客様が望んでいる形と、成果につながる形がずれることは多々あります。Web制作を仕事にしていなければ判断しづらいところなので、当然のことだと思っています。
そういうときに、言われたとおりに黙って作らないことを、僕たちはルールとして決めています。こうしたほうが成果につながるのではないか、と自分たちの見立てを出します。
解約できないサイトは作らない

もう一つ、絶対にやらないと決めているのが、解約しづらい作り方です。
きっかけは、ある引き継ぎ案件でした。前の制作会社が、ドメイン・サーバー・DNSのすべての権限を握っていたのです。
悪意があったわけではありません。その制作会社に、サーバー周りの知識がほとんどなかっただけでした。
僕が怖いと思ったのは、相手に悪気がなくても、権限を握られている側は身動きが取れなくなるということでした。お客さんから見れば、お金だけもらって何もやってもらえていない状態です。
■ 前の制作会社が握っていたもの
- ドメイン・サーバー・DNSの管理権限すべて
- DNSレコードの変更を頼んでも、違うことをされる
- 連絡だけで2〜3週間、しまいには音信不通
■ Teraceがやっていること
- サーバーとドメインはクライアント名義で契約してもらう
- Studioのプロジェクトも、お客さんが新規登録して作る
- 関係が終われば、招待を外すだけで運用が続く
編集できるのは僕たちだけ、という縛りは絶対に設けていません。
こういう縛りを作ると、僕たちには毎回仕事が入ってきます。制作会社としては、正直ありがたい形です。
ただ、それ以上に困るのはお客様のほうです。もっと安いところや、もっと質のいいところを見つけたとしても、リニューアルのたびに僕たちを挟むことになります。
動かすたびに制作会社を経由する作り方は、AIが出てきてこれだけスピードが上がっている今のビジネスには向いていないと思っています。
だから、基本的な権限はお客様に持ってもらいます。とにかく身動きが取りやすい状態で渡す。そこを意識して作っています。
ということで、Teraceがこの先もやらないと決めていることの話でした。
社会福祉法人の依頼を断ったときも、後悔したのは実力不足のほうでした。断ったこと自体は、いまも間違っていたとは思いません。
少しでも参考になればうれしいです。
僕はTeraceという屋号で、個人事業主や小さな会社のホームページ制作をやっています。
受ける案件の数や金額、作るものの中身、渡したあとの権限。決めていることは細かい場面ごとに違いますが、どれも「一つひとつの案件に100%で向き合える状態を守る」ためのものです。
「この制作会社は、どこまでこちらの都合を優先してくれるんだろう」と思った方は、気軽に覗いてみてください。






