介護タクシーの開業を決意したのに、何から始めればいいかわからない。そう感じている人は多いはずです。 許可申請・法令試験・車両登録と、手続きは複数に渡り、全体像をつかまないと動き出せません。
介護タクシーは、許可さえ取れば地域に貢献できる事業です。 ただし、手続きの複雑さを甘く見て途中で詰まるケースが多いのも事実です。
この記事では、要件確認から運輸開始届の提出まで、9つのステップを時系列で解説します。
最短4ヶ月・費用200〜600万円という全体像から、一人で開業できる地域・できない地域の違い、開業前に知っておくべきことを網羅します。
介護タクシーの開業失敗パターンについては、以下の記事で詳しく解説しています。

介護タクシー開業に必要な資格と許可要件

介護タクシーの手続きを進める前に、自分の地域・開業形態・車両タイプによって要件が変わることを確認してください。
同じ介護タクシーでも、介護保険対象かどうかで資格要件が大きく異なります。 まず自分が目指す開業形態を明確にすることが、スムーズに許可を取るための出発点です。
ぺんすけここで確認する資格・要件は、開業形態や地域によって変わります。 まず自分のケースを確定させてから次のステップに進んでください。 途中で開業形態を変えると、取得済みの資格や手配済みの設備が条件を満たさなくなることがあります。
介護タクシー開業に必要な資格2選
介護タクシーの開業には、普通自動車第二種免許(以下、二種免許)が必須です。
これはタクシーで旅客を有償で運送するために必要な免許で、通常の自動車運転免許(第一種免許)とは別物です。 二種免許を持っていない場合は、取得から計画に入れる必要があります。
| 資格 | 取得期間の目安 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 普通自動車第二種免許 | 2〜3週間(合宿) | ==約30万円== | 開業必須。第一種免許取得後に取得可能 |
| 介護職員初任者研修 | 約1ヶ月(130時間) | 4〜12万円 | 介護保険対象タクシーに必須 |



介護職員初任者研修は、介護保険対象タクシーの場合に必須です!保険適用外の福祉タクシーであれば不要です!
費用はいずれも教習所・講習機関によって変動します。複数校を比較して費用を抑えることが可能です。
二種免許を持っていない介護職歴5年の方が開業を目指す場合、まず2〜3週間の合宿で二種免許を取得してから許可申請に進むルートが最短です。 介護職員初任者研修はすでに取得済みの方も多いため、その場合は資格取得ステップをスキップできます。
一人で開業できるかの可否
一人開業が可能かどうかは、営業所を置く地域の運輸支局(国土交通省の地方窓口)によって異なります。 介護タクシー事業者には運行管理者と整備管理者の配置が義務付けられています。
運行管理者は保有車両数が少ない場合(目安として5両未満)は選任義務が簡略化されるケースがあり、整備管理者は一定の実務経験などの要件を満たせば兼任できる場合があります。
運行管理者・整備管理者とドライバーの兼任が認められている地域では、事業者1名で開業が可能です。 一方、車両台数や資格要件によっては別の担当者が必要になる場合があります。
必ず、自分の営業所を置く地域を管轄する運輸支局に最新の要件を直接確認してください。 要件は地域・時期によって変わるため、記事の情報だけで判断せず公式窓口への確認を推奨します。



一人開業の可否は、記事やブログだけで判断しないでください。同じ都道府県内でも管轄する運輸支局によって扱いが異なるケースがあります。窓口への事前確認が、後から計画を作り直す手間を防ぎます。
介護タクシーの開業から営業開始までの9ステップ
介護タクシーの開業は、申請を出して終わりではありません。
許可が下りるまでに最短で2〜2.5ヶ月の審査期間があり、法令試験・車両登録・運賃認可申請など、許可後の手続きも続きます。
全体のスケジュールを把握した上で、どのステップで何をするかを先に整理しておきましょう。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ① | 許可要件の確認・開業形態の決定 | 2〜4週間 |
| ② | 二種免許の取得 | 2〜3週間 |
| ③ | 営業所・車庫の確保 | 1〜2ヶ月 |
| ④ | 福祉車両の手配・介護職員初任者研修の修了 | 1〜2ヶ月 |
| ⑤ | 申請書類の収集・作成 | 2〜4週間 |
| ⑥ | 運輸支局への許可申請 | 1日(提出) |
| ⑦ | 法令試験の受験 | 申請受理後の月次開催 |
| ⑧ | 審査・許可書交付・登録免許税の納付 | 2〜2.5ヶ月 |
| ⑨ | 車両登録・保険加入・運賃認可・開始届提出 | 2〜4週間 |
資格が取得済みの場合、最短で約4ヶ月での営業開始が目安です。 ただし書類の補正指摘や法令試験の不合格があると期間が延びるため、余裕をもったスケジュールで進めてください。
①②:許可要件の確認と二種免許を取得する
最初にやるべきことは、自分の営業所を管轄する運輸支局のウェブサイトか窓口で、最新の許可要件を確認することです。 介護タクシー(非保険)か介護保険タクシー(保険対応・法人化必須)かによって、必要な手続きが変わります。
介護保険の対象サービスとして運行したい場合は、法人設立と都道府県への訪問介護事業所の指定申請が追加で必要になります。 個人事業主として開業できるのは、介護保険を使わない送迎(自費タクシー)に限られます。 この判断が後のステップ全体に影響するため、最初に確定させてください。


二種免許を持っていない場合は、2〜3週間(合宿の場合)かかります。 費用は約30万円が目安ですが、教習所により異なります。 すでに取得済みの場合は、このステップはスキップして次へ進めます。



許可要件の確認と二種免許の取得は並行して進められます。 合宿中に資料収集を始めることで全体のスケジュールを縮められます。 取得済みの場合でも、まず運輸支局に問い合わせて書類一式を取り寄せることから始めてください。
③④:営業所・車庫と車両を確保する
営業所には基本的に3年以上の使用権限が必要です。 これはすぐ移転して営業実態がなくなるリスクを防ぐための要件です。



3年契約の証明が求められるケースが多いですが、自動更新条項付きの契約で認められる場合もあります。
また、事務所と休憩・仮眠室を備え、建築基準法・消防法等に違反しない施設であることが求められます。
車庫は営業所に併設することが原則ですが、併設が難しい場合は営業所から直線距離2km以内であれば認められます。 自宅を営業所として使用することも条件を満たせば可能ですが、事前に管轄運輸局で確認が必要です。
賃貸でガレージ付きの物件を借りる場合、営業所と車庫を一括で確保できます。 月額賃料は地域差が大きいため、都市部では地方に比べてこの費用が跳ね上がることがあります。 自宅兼用を検討している場合も、運輸支局の担当者に事前確認してから契約を進めてください。
福祉車両は1両以上、リフトまたはスロープ等の介助装置を備えたものが必要です。 新車では150〜250万円、中古では60〜120万円が目安ですが、装備・車種により大きく変動します。
⑤:申請書類を収集・作成する
許可申請書類の作成は、このステップの中で最もミスが起きやすい工程です。 書類の不備があると運輸支局から補正指摘が入り、審査期間が延長されます。
主な申請書類には以下があります。
| 書類名 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請書 | 申請の基本書類。運輸支局の窓口でもらうか公式サイトからダウンロード |
| 事業計画書 | 営業所・車庫の概要、車両数、運行計画を記載 |
| 施設・設備の図面 | 営業所と車庫の配置図・写真(実測が必要な場合あり) |
| 資金計画書 | 自己資金が所要資金の50%以上であることを示す |
| 申請者の履歴書・運転免許証のコピー | 申請者本人の書類一式 |
初めて申請する場合、書類の作成に慣れた行政書士に依頼する選択肢も有効です。



申請書類の補正指摘はかなりの割合で発生します。行政書士に依頼することで審査期間の延びを防げるため、
⑥:運輸支局へ許可申請する
完成した申請書類を、営業所を管轄する運輸支局の窓口に提出します。 書類を受け付けてもらったあと、申請が正式受理されると法令試験の案内が届きます。
窓口での提出は1日で完了しますが、事前に予約が必要な運輸支局もあるため確認してください。



申請書類を提出する前に、運輸支局の担当者に事前相談できる運輸局もあります。書類の方向性を確認してから提出できるため、補正指摘のリスクを下げられます。窓口に電話して相談の可否を確認してみてください。
⑦:法令試験を受ける
法令試験は、申請受理後の月次開催で実施されます。 試験は30問(○×式・語群選択・記述を含む)で、24問以上の正解(80%以上)で合格です。
試験に不合格になると再受験が必要になり、次の月次開催まで待つことになります。 審査期間がその分延びるため、1回で合格できるよう準備を徹底することをおすすめします。
出題範囲は道路運送法・旅客自動車運送事業運輸規則・タクシー業務適正化特別措置法などタクシー関連法規が中心です。 各運輸支局のウェブサイトに過去問や学習用テキストが掲載されているケースがあります。
法令試験対策では、各運輸支局が公開している過去問を少なくとも3回分解いて傾向を把握することが基本です。 試験の日程は申請受理後に通知されるため、申請書類の作成と並行して学習を始めることが理想です。



法令試験は試験対策が明確なため、きちんと準備すれば1回で合格できます。過去問を繰り返し解いて出題パターンを覚えることが最短の対策です。試験を後回しにせず、申請後すぐに学習を始めてください。
⑧⑨:許可後の手続きを完了する
審査の標準処理期間は2〜2.5ヶ月です。 書類の補正指摘や法令試験の再受験があった場合はさらに延びます。
許可書が交付されたら、登録免許税3万円を指定の金融機関に納付します。 納付後に領収書と許可書を持参して、次の手続きに進みます。
許可書の交付後は、以下の手続きを順番に進めます。
- 車両を事業用自動車として登録し、緑ナンバーを取得する
- 対人・対物賠償を含む任意保険に加入する(介護タクシー向けの専門保険プランを選ぶことを推奨)
- 運賃と運送約款の認可申請を別途提出する
- 営業を開始したあと、運輸開始届を運輸支局に提出する
運輸開始届は営業開始後に提出する書類です。提出を忘れると法令違反になるため、開業後すぐに対応してください。
介護タクシーの開業資金の内訳について
開業費用の目安として200〜600万円という数字がよく示されますが、幅が大きくて計画が立てにくいという声を聞きます。 この幅は、福祉車両かセダン型か、新車か中古か、自宅兼用か賃貸か、といった選択によって変わります。
自分の条件に当てはめて試算できるよう、費目別に内訳を整理します。



開業費用は選択次第で大きく変わります。まず車両タイプと営業所の形態を決めてから試算すると、現実的な資金計画が立てやすくなります。


| 費目 | 最低ライン | 標準 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 二種免許取得 | 0円(取得済みの場合) | 約30万円 | 合宿・通学で変動 |
| 介護職員初任者研修 | 0円(取得済みの場合) | 4〜12万円 | 講習機関で変動 |
| 福祉車両(中古) | 60万円 | 100〜120万円 | 装備・走行距離で変動 |
| 福祉車両(新車) | 150万円 | 200〜250万円 | 車種・装備で変動 |
| 営業所・車庫 | 0円(自宅兼用の場合) | 20〜50万円 | 地域・賃貸条件で変動 |
| 任意保険(初年度) | 20万円 | 30〜50万円 | 保険内容で変動 |
| 登録免許税 | 3万円 | 3万円 | 固定費用 |
| 申請・行政書士費用 | 0円(自己申請の場合) | 10〜20万円 | 代理申請の場合 |
| 運転資金 | 50万円 | 100〜200万円 | 3〜6ヶ月分を確保 |
また自己資金の許可要件は2つあります。
- 所要資金の合計額の50%以上
- 事業開始当初に要する資金の100%以上
上記2つに関して、申請日以降つねに確保していることが求められます。
たとえば所要資金が300万円の計画であれば、150万円以上が第一条件ですが、開業直後にすぐ必要な費用(車両の頭金・2ヶ月分割払い・備品・保険料など)は全額手元にあることも同時に必要です。
中古の福祉車両(60万円)と自宅兼用の営業所(0円)を選んだ場合、初期費用の目安は資格取得費・申請費・保険料を含めて150〜200万円程度になります。 この場合でも自己資金要件(所要資金の50%以上、かつ事業開始当初資金の100%)を満たす必要があり、手元に200万円以上の準備が必要になります。なお、自己資金は貯蓄に限らず、融資内定があれば融資額も含めて計算できます。
介護タクシーの開業後に売上を作る方法
許可を取ることに集中していると、開業後の営業準備が後回しになりがちです。
許可取得と並行して、開業6ヶ月前から動き出すことが安定収入への近道です。 ここでは、開業後に最初の売上を作るまでに何をすべきかを解説します。
介護タクシーの集客方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。


ケアマネジャーに営業をかける


介護タクシーの利用者の多くは、ケアマネジャー(介護支援専門員)を通じて紹介されます。 ケアマネジャーが日常的に接する利用者の移動ニーズに、あなたのサービスを紐づけてもらうことが最初の一歩です。
営業アプローチの手順は以下の通りです。
- 営業所から半径5km圏内の居宅介護支援事業所・地域包括支援センターをリストアップする
- 電話かメールでアポイントを取り、挨拶訪問する
- サービス内容・料金・対応可能エリアをまとめた1枚の営業資料を持参する
- 訪問後2週間以内にフォロー連絡を入れ、最新の空き状況を伝える
- 利用者からの紹介が生まれたら、都度ケアマネジャーへ状況報告する
ケアマネジャーは日頃から多くの事業者と接しています。信頼関係を作るには、1回の訪問で終わらず継続的に顔を出すことが不可欠です。
ケアマネジャーは複数の事業者の中から、まず頭に浮かぶ事業者を紹介します。 頭に浮かぶためには、継続的な接触が必要です。



補足アドバイスをすると、ケアマネから紹介してもらうには、営業資料だけでなく「名刺」や「ホームページ」や「SNS」などの土台を作ることが大事です!
集客ホームページを開設する
ケアマネジャーへの直接営業と並行して、ホームページを用意することを強く推奨します。 ケアマネジャーが事業者を紹介する際、利用者の家族がホームページを調べることが多いからです。
ホームページがない事業者は、家族から見て信頼性の判断材料がありません。サービス内容・料金・対応エリア・事業者の顔が見えるホームページがあれば、紹介されやすさが大きく変わります。
僕がキャリアアドバイザーとして介護施設を紹介していた頃も、同じ構造でした。ホームページがない施設は判断材料がないから不安と思われ、候補から外れていくことが多かった。良い事業者なのに伝え方が下手で埋もれていくのはもったいない、というのが今のTeraceの原点でもあります。



採用がうまくいかない施設の9割はホームページに働く人の顔が見えない、と言いますが、介護タクシーも同じです。いい車・いいサービスがあっても、それが見えなければ選ばれません。
開業後の集客を安定させるためのホームページ制作については、介護事業者向けホームページ制作サービスでご相談を受け付けています。


介護タクシー開業に関するよくある質問
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