介護タクシーは高齢化社会の進行とともに需要が伸びています。 それなのに、なぜ儲からない・きついという声が絶えないのでしょうか。 その答えは収益構造にあります。
この記事では、儲からない(お金の問題)ときつい(業務の問題)を別々に整理して解説します。 2つは似ているようで原因が異なります。 読み始める前に、自分がどちらの悩みを抱えているかを意識しながら進めてみてください。
介護タクシーが儲からない収益構造の正体
介護タクシーには2種類あります。 介護保険が適用されるタイプと、保険が効かない自費(保険外)タイプです。
介護タクシーが儲からない根本的な理由は、事業の軸が介護保険適用サービスになりやすく、報酬が1回970円(97単位)に固定されているためです。
単価が低いまま件数を増やそうとしても、1人のドライバーが1日にこなせる件数には物理的な上限があります。
介護保険タクシーと自費タクシーの違い
介護タクシーは大きく分けて2種類の事業形態があります。
| 種類 | 対象 | 報酬の決まり方 | 単価の目安 |
|---|---|---|---|
| 介護保険適用タイプ | 要介護1〜5の認定を受けた利用者 | 介護報酬告示で固定 | 970円/回(通院等乗降介助) |
| 自費(保険外)タイプ | 誰でも利用可能(要支援・要介護問わず) | 事業者が自由に設定 | 3,000〜5,000円/回が目安 |
保険適用タイプは、訪問介護事業所の指定を受けた事業者だけが提供できます。 利用者が使える介護保険サービスの一つとして位置づけられており、単価は国が定める介護報酬で決まります。
自費タイプは運輸支局の許可(一般乗用旅客自動車運送事業:福祉輸送事業限定)を取得すれば運営できます。 利用者の自己負担で成り立つため、価格は事業者が自由に設定できます。
ぺんすけ自費(保険外)タイプは儲かりやすいと考えられがちですが、「高い」と感じられてしまうため、集客は難しいといえます。
そのため、保険+自費の両方を組み合わせて運営するのがおすすめです。
保険報酬970円の単価の壁
介護保険が適用される通院等乗降介助(つういんとうじょうこうかいじょ)の報酬は、2024年4月改定後で97単位、1単位10円換算で970円です。
介護報酬は3年ごとに改定される制度のため、今後この単価が変動する可能性がある点は押さえておく必要があります。
970円という数字を聞いて、どう感じるでしょうか。 乗降介助の現場では、利用者宅から病院まで往復で送迎し、乗り降りの介助を行います。移動時間・待機時間・介助の体力消耗を考えると、1件あたり1〜2時間はかかることも珍しくありません。
たとえば病院送迎を1日5件こなせたとして、介護報酬は往復費(970円×2)×5件=9,700円。 タクシー運賃の往復が2,000円と仮定しても5件で10,000円です。交通費や車両維持費を引く前の売上がこれだけです。 介護保険だけを頼りにしていたら上限があると感じるのは、この数字を見れば当然だとわかります。
月売上40〜60万円あたりが上限
介護タクシーの月間売上は40〜60万円が上限になりやすいと、複数の開業支援メディアが報告しています。
ただしこれは地域・営業戦略により大きく変動する参考値です。 都市部で法人契約を複数持つ事業者と、地方で単発の個人客のみを相手にする事業者では、数字に大きな開きがあります。
月60万円の売上を達成しても、そこから車両リースや燃料費・保険料・通信費などの経費(概算で月9〜18万円)を引いた手残りは約40〜50万円になります。
1年に換算すると480〜600万円の粗利になりますが、これが全て自分の手取りになるわけではありません。 社会保険料・所得税・住民税を個人で納める自営業者の実質的な手取りは、さらに下がります。
介護タクシーがきついと言われる理由3選


儲からないという問題とは別に、体がきつい・精神的に消耗するという業務上の負担があります。
これは収入の話ではなく、仕事を長く続けられるかという持続性の問題です。



介護タクシーのドライバーは基本的に一人で全てをこなします。 営業・予約受付・送迎・介助・請求事務まで、すべてワンオペです。 チームなら分担できる負担が全て自分に集中する点がきつさの本質です。
乗降介助で腰痛リスクがある
車いすの方や歩行が不安定な方の乗り降りを1日に何度も繰り返すのが介護タクシーの仕事です。車いすのリフト操作・スロープの設置・利用者の体を支えながらの移動は、腰への負担が蓄積しやすいため注意が必要です。
レバウェル介護のキャリアアドバイザーとして働いていたとき、トランス介助などで腰痛に悩んでいる求職者を何人も見てきました。力任せにやるのではなく、体を上手に使って介助するコツを習得することが大事です。
一般的なタクシードライバーであれば乗客は自力で乗り降りします。 介護タクシーはそうではありません。 利用者の身体状況によっては、体重のほとんどを支えながら乗降介助をするケースもあります。
長期的に腰痛を抱えるドライバーが介護タクシー業界では少なくないとされています。 開業前の体力・持病のチェックは、収入計画と同じくらい重要な準備です。



介護職の離職理由は人間関係が多いですが、介護タクシーの場合は身体の消耗が積み重なります。1日5〜8件の乗降介助を毎日続けるのは、想像以上に体への負荷が大きいです。
予約キャンセルが多い
介護タクシーの利用者は高齢者・障害者が中心であり、体調変化による直前キャンセルが他のサービス業より多いです。 病院の予約が変わった、体調が悪くなった、家族が送ることになったなど、当日に連絡が来るケースが多発します。
キャンセルが入ると、その時間分の売上はゼロになります。 稼働率が不安定な状態では月収の予測が立てにくく、今月は稼げるのかという不安が常についてまわります。
正社員であれば給与は毎月固定されていますが、自営業者にはその保障がありません。 月末が近づくたびに今月の売上を計算するプレッシャーは、雇われる立場では経験しにくいストレスです。
孤独経営のメンタル負担が大きい
介護タクシーはドライバー一人の事業であるため、職場の人間関係ストレスはほぼ存在しません。 その代わり、相談できる相手がいない孤独感が別の形で精神的な負担になります。
上司も同僚もいない状態が特徴です。 売上が落ちたときに一緒に考えてくれる仲間もいませんから、困ったときに自分一人で判断・解決しなければなりません。



介護タクシーの事業の悩みは、同業者が一番よくわかってくれます。そのため、現在生き残っている介護タクシー業者は、同業者同士で繋がっているケースが非常に多いです。
同業者同士で繋がっておくことで、同じ時間帯に依頼がきた時に、別の同業者を紹介し合うというスタイルを取ることもできます。
長期的に介護タクシー事業を営んでいくなら、同業者との関わりは必須だといえます。
儲かる介護タクシーが実践する収益改善
儲からない・きつい状態は、事業モデルの設計を変えることで改善できます。
ここでは事業モデルとして取り組める3つの改善策を整理します。
自費サービスの比率を上げる


保険適用の通院等乗降介助が1回970円に固定されているのに対し、自費サービスの価格は事業者が自由に設定できます。 自費の相場は3,000〜5,000円が目安です。
単純計算で、自費1件は保険3〜5件分に相当する収益になります。
具体例として、1日に保険送迎を5件こなしていたとします。 売上は往復費(970円×2)×5件で9,700円です。 このうち2件を自費(3,000〜5,000円)に転換できれば、往復費(4,000円×2)✖️2件で16,000円になります。 残り3件の保険分5,820円と合わせると合計21,820円になる計算です。 同じ件数・同じ労働時間でも、売上はほぼ倍に増えます。
自費への転換で重要なのは、対象となる利用者を増やすことです。 介護保険を使えない要支援の方、保険の支給限度額を超えて利用したい方が主なターゲットになります。
旅行・買い物など保険対象外の目的の外出支援も、自費サービスの需要として取り込むことができます。
介護タクシー事業の集客・ホームページ整備の具体的な方法については、以下の記事で詳しく解説しています。


法人・施設との定期送迎契約を獲得する
単発の個人客だけを相手にしていると、キャンセルによる売上変動が大きいのが課題です。法人・施設との定期送迎契約を結ぶと、毎週決まった曜日・時間に安定した稼働が見込めるようになります。
月に固定収入のベースができると、単発客の売上はその上乗せ分になり、全体の売上が安定します。 キャンセルに一喜一憂する精神的なストレスも大きく軽減されます。
法人契約の獲得には、施設の送迎担当者や生活相談員(利用者・家族の相談対応や外部機関との調整を担う職員)へのアプローチが有効です。
施設の担当者が最も求めるのは、確実に来てくれる安定した送迎品質です。 初回の信頼構築が契約継続につながります。



介護のキャリアアドバイザー時代に見てきた採用に強い施設には共通点がありました。外部のパートナーとの関係を大事にし、信頼を積み重ねている施設です。法人契約の獲得にも同じ原則が当てはまります。
稼働時間を需要が集中する時間帯に絞る
介護タクシーの需要は1日を通じて均等ではありません。 病院の外来受付が集中する午前9〜11時、デイサービスの送迎時間帯の午前と夕方は特に需要が高いです。
この時間帯に稼働を集中させると、同じ時間でより多くの件数をこなせます。



逆に需要が低い時間帯に無理に稼ごうとすると、待機時間だけが増えて体力と燃料を消耗します。稼働時間帯の最適化は、初期投資ゼロで取り組める収益改善策です。
まずは自分の売上データを曜日・時間帯別に記録し、需要のパターンを把握することから始めるのがおすすめです。
介護タクシーに関するよくある質問
まとめ
この記事で解説した内容を3点に整理します。
1点目は収益構造の理解です。 介護保険の通院等乗降介助は1回970円(2024年4月改定後)に固定されており、保険頼みのままでは月売上40〜60万円が上限になりやすいのが現状です。 この構造を知った上で事業モデルを設計することが出発点になります。
2点目はきつさの2軸です。 乗降介助などの身体的負担と、予約キャンセルによる収入不安・孤独経営のメンタル負担は、それぞれ別の対策が必要です。
3点目は自費転換の重要性です。 自費サービスの比率を高めることが、単価改善の最も直接的な手段になるからです。 保険1件分の報酬を稼ぐのに必要な時間を、自費1件で同等以上に稼ぐことが可能です。
儲からない・きつい状態は避けられますが、そのためには開業前の事業モデル設計が全てを決めるといえます。
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