「高齢化で需要があるから大丈夫」と思って開業したものの、3ヶ月で廃業の危機に直面する介護タクシーの事業者は少なくありません。
介護タクシーの廃業率は公式統計が存在せず、実態は見えにくいのが現状です。
この記事では、廃業率の実態・失敗する人の共通点・開業3ヶ月の壁を順番に解説します。
介護タクシーを自宅で開業しようと考えている方は、以下の記事もご覧ください。

介護タクシー・個人事業主の廃業率について
介護タクシーの廃業率について「高い」という情報はよく目にします。
しかし、国土交通省をはじめとする公的機関が正式な廃業率を公表しているわけではありません。 ここでは、参考データと地域の実例をもとに、廃業の実態を整理します。
介護タクシーの廃業率は統計なしが実態
介護タクシーに特化した廃業率の統計は、現時点で公表されていません。
運輸局からは「開業も多いが廃業も増えている」という非公式の情報が出ていますが、具体的な数値の根拠にはなりません。 開業を検討する際は、この点を前提として情報を読む必要があります。
廃業率が高いと感じる背景には、参入障壁が下がったことがあります。 規制緩和により、車両1台・営業区域の縮小が認められたため、個人が開業しやすくなりました。

その結果、開業数が増えた分だけ廃業数も増えているのが現状です。
ぺんすけ介護タクシーは新規参入が増えた結果、競争が激化してしまい、負ける事業者も増えています。
個人事業主の3年廃業率62.4%が参考値


介護タクシー独自の統計がないため、参考として個人事業主全体のデータを見ます。
中小企業庁「小規模企業白書」によると、個人事業主の3年廃業率は62.4%です。
同出典では10年廃業率は約90%(中小企業庁「小規模企業白書」)。 介護タクシーに固有のデータではありませんが、小規模の個人事業の厳しさを示す一つの目安になります。
介護タクシーは、客単価が低く固定費が高い事業モデルです。
個人事業主全体の廃業率と比べても、より厳しい条件にあると考えられます。「統計がないから安全」ではなく、「統計がないからこそ慎重に」と捉えるべきです。
介護タクシーで失敗する人の5つの共通点
失敗事例を分析すると、準備段階・開業直後・3ヶ月以降と、段階ごとに異なる共通点が見えてきます。 「なぜ失敗したのか」を根本原因で整理しておくことが、自分の状況と照らし合わせる上で重要です。



以下の5点は、廃業事例に繰り返し登場するパターンです。当てはまるものが1つでもあれば、開業前に対策を打つことを強く勧めます。
それぞれ具体的に説明します。
市場の需給バランスを見落とす
「高齢化で需要がある」という漠然とした期待だけで開業エリアを選ぶと、実態を把握しないまま参入してしまうリスクがあります。



需要と供給のバランスは、継続して事業を運営するうえで最も重要なポイント!
2020年時点で全国の福祉・UDタクシーの合計台数は約41,000台(うち介護タクシー専用車は約14,000台)。国土交通省は2025年度末までに9万台への増加を目標として掲げており、台数は増加傾向にあります。
この9万台という目標は「すでに足りているから」ではなく、「まだ足りないから増やす」という文脈で設定されたものです。利用対象者(要介護・要支援認定者および障害者)は全国で約1,000万人とされており、9万台でようやく「100人に1台」に届く水準です。
大阪府では2020年3月末時点で約1,688台が稼働していますが、府内の利用対象者は約80万人規模のため、1台あたり約470人を担う計算になります。数字だけ見れば需要はあります。
しかし需要があっても、固定客をいかに獲得するかが別の問題として存在します。ケアマネージャーや医療機関との関係構築が遅れれば、需要があるエリアでも依頼が来ない状態が続きます。
開業前に自分のエリアの稼働台数・利用対象者数・既存業者との関係網を具体的に調べておくことが、開業後の集客戦略に直結します。
月売上40万円の現実を知らない
介護タクシーの自営年収は平均400〜500万円と言われています。 しかし、これは月間売上40〜60万円が上限ともいえる実態から積み上げられた数字です。
この低さの理由は、介護保険制度の運用です。 介護タクシーは介護保険適用サービスのため、利用者負担額が抑えられている。 結果として1回あたりの単価が固定的で、どれだけ頑張っても超えられない上限があります。
固定費(車両ローン・保険・ガソリン・通信費)を差し引いた粗利は、さらに低くなります。 保険適用外のサービスを組み合わせない限り、月売上を40万円以上安定させることは難しいのが実情です。



介護タクシーが介護保険を使う場合、料金は国が定めた報酬単価表によって固定されます。売上を上げるためには、保険適用外のサービスを利用してもらうことが大事です!
開業前に月別の損益シミュレーションを作らずに見切り発車すると、この現実に気づくのが開業後になります。
開業時点で営業先がゼロ
介護タクシーの集客は、ケアマネジャー(介護支援専門員)や居宅介護支援事業所からの紹介が主な導線です。 ケアマネジャーとは介護保険の利用者が「どのサービスを受けるか」を決める立場の専門家です。



彼らの推薦がなければ、営業先はほぼ存在しないと考えておきましょう!
しかし、開業時点でそのネットワークがゼロという事業者が多くいます。 許可申請・車両手配・資格取得に追われ、「営業は開業後からやればいい」と後回しにするパターンです。
キャリアアドバイザー時代に居宅介護支援事業所と関わる中で気づいたことがあります。 ケアマネジャーは「信頼できる事業者かどうか」を判断するのに時間をかけます。 初対面の営業で即紹介してもらえるケースはほぼなく、顔を覚えてもらい、サービスの質を信頼してもらうまでに数ヶ月かかるのが普通です。 「開業後に営業すればいい」では、その数ヶ月分の空白が資金を直接圧迫します。
開業前から営業先リストを作り、関係を構築しておかないと、初月の売上はほぼゼロになります。 この空白期間に資金が底をつくのが、廃業の典型的な流れです。
許可申請の手続きで時間がとられる
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可申請は、標準処理期間が約2ヶ月です 法令試験・認可・運輸開始届と複数のステップがあり、準備不足だと書類不備で差し戻されます。
介護タクシー開業の必須資格として、下記2つが必要です。
- 第二種運転免許(費用30〜50万円・取得期間3〜4週間)
- 介護職員初任者研修(費用5〜10万円・期間1〜4ヶ月)
どちらかの取得が遅れると、開業時期がずれ込み、営業準備期間がさらに圧縮されます。
許可申請の手続きで時間を取られるほど、営業準備や資金計画への余裕がなくなります。 行政書士への依頼を含めたスケジュール管理が、開業時期を左右します。
出典:中部運輸局「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)許可申請書作成の手引き」)
稼働率低迷への対応が遅れる
開業直後は稼働率が低くても「そのうち上がる」と楽観視するケースがあります。 しかし、稼働率の低迷は放置するほど資金繰りを圧迫します。
固定費は稼働率に関わらず毎月発生するため、売上がゼロでも出費は続きます。
稼働率が低いと判断した時点で、営業戦略を変える必要があります。 しかし、変化に気づかず3ヶ月を過ぎてしまう事業者が多いのが現実です。



どのビジネスでも同じですが、放置していても良い方向に転がっていくことはほとんどありません。何かしらのアクションを起こさなければ、売上は上がっていきません。
特に、介護業界ではホームページ・SNSなどのデジタル部分が疎かにされているケースが多く、ネット上に情報がないから選択肢にすら入らないこともあります。
事業をなるべく早く軌道に載せたいなら、ホームページ・SNSなどの導線を整えておくことも大切です。
介護タクシーの廃業を避ける売上安定化のコツ3選
介護タクシーで廃業に追い込まれる最大の原因は、売上が安定しないことです。開業直後は売上ゼロが続き、3ヶ月目あたりで資金繰りが限界に達するケースが多く報告されています。
ここでは、売上を安定させるために押さえるべき3つのコツを解説します。
介護タクシーの集客方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。


ケアマネ営業は開業前から始める
介護タクシーの売上は、ケアマネジャーからの紹介件数でほぼ決まります。 しかし、ケアマネジャーは初対面の事業者をすぐに紹介することはありません。 信頼関係を築くには最低でも2〜3ヶ月かかるのが現実です。
したがって、許可申請中の段階から営業を始める必要があります。 開業エリア内の居宅介護支援事業所を20〜30件リストアップし、挨拶訪問を繰り返します。
開業時点で「すでに顔を覚えてもらっている事業所が複数ある」状態を作ることが、初月の売上ゼロを避ける唯一の方法です。



キャリアアドバイザー時代に居宅介護支援事業所と関わる中で気づいたのは、ケアマネジャーが事業者を信頼するまでに想像以上の時間がかかるということです。開業後に営業を始めることをおすすめします。
保険適用外サービスで客単価を上げる
介護保険適用のサービスだけでは、1回あたりの単価に上限があります。 売上を月40万円以上に安定させるには、保険適用外のサービスを組み合わせることが不可欠です。
| サービス例 | 内容 | 単価の目安 |
|---|---|---|
| 観光付き添い | 日帰り観光・お墓参り | 1回15,000〜30,000円 |
| 冠婚葬祭の送迎 | 結婚式・法事への外出支援 | 1回10,000〜20,000円 |
| 買い物・散歩の付き添い | 通院以外の日常外出 | 1回5,000〜10,000円 |
| 長距離搬送 | 施設間の転居・入退院搬送 | 距離に応じて30,000円〜 |
保険適用サービスだけに頼ると、1日の売上は8,000〜10,000円が上限です。
保険適用外サービスを月に数件入れるだけで、月売上は大きく変わります。 開業前にサービスメニューと料金表を作り、チラシやホームページで告知しておくことが重要です。
ホームページで集客の導線を作る
介護タクシーの集客はケアマネ営業が中心ですが、それだけでは売上の天井が見えてきます。 保険適用外サービスの顧客は、ケアマネ経由ではなくインターネット検索から来ることが多いのが特徴です。
「地域名 介護タクシー」で検索したときに自社のホームページが表示される状態を作れば、ケアマネ営業だけに頼らない集客の柱ができます。 ホームページに載せるべき情報は、対応エリア・車両の種類(車いす対応・ストレッチャー対応)・料金表・予約方法の4点です。



介護施設のホームページを日常的に見てきた経験から言えることがあります。ホームページがない事業者は、紹介候補から外れやすい。これは介護タクシーでも同じです。ケアマネジャーも利用者の家族も、紹介前にまずネットで事業者を調べます。
ホームページを持つことで、事業者としての信頼性も高まります。 ケアマネジャーに営業する際も、「詳しくはホームページをご覧ください」と伝えられるだけで印象が変わります。
名刺代わりのホームページを1つ持つことが、廃業リスクを下げる投資になります。
介護タクシーのホームページが今まで以上に必要になってきている理由については、以下の記事で詳しく解説しています。


介護タクシー開業に関するよくある質問
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