訪問介護の夜朝加算の時間帯とは|計算のやり方も解説!

「夜間加算は18時から」「22時をまたいだら深夜か夜間か」など訪問介護の夜朝加算をめぐる請求業務では、 こうした時間帯の判断に毎月迷う場面が繰り返し起きます。

計画書に記載のない時間帯での加算算定は、実地指導の返戻対象になります。 月末の請求を終えるたびに本当に合っているかという不安がつきまとうなら、ルールの土台から立て直すサインです。

本記事では、夜朝加算(正式には「夜間・早朝加算」および「深夜加算」)の時間帯定義・加算率・算定要件について解説します。

ぜひ参考にしてみてください。

目次

訪問介護の夜朝加算とは

訪問介護では「夜朝加算」という言葉が業界内でよく使われますが、これは正式な制度用語ではありません。 正式には「夜間・早朝加算」と「深夜加算」という2つの加算区分に分かれており、それぞれ時間帯と加算率が異なります。

どちらも、訪問介護を基本時間帯(午前8時から午後6時)以外に提供した場合に、基本単位数に対して一定の割合で報酬を上乗せする仕組みです。

令和6年度改定においても、時間帯定義・加算率ともに変更はありません。

出典:厚生労働省「指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造」令和6年4月改定

加算率は2段階に分かれる

訪問介護の夜朝加算 時間帯と加算率の24時間タイムライン。早朝・夜間25%、深夜50%を帯グラフで可視化

時間帯別加算の区分・時間帯・加算率は以下のとおりです。

区分時間帯加算率
早朝6:00〜8:00所定単位数の25%加算
日中(加算なし)8:00〜18:00なし
夜間18:00〜22:00所定単位数の25%加算
深夜22:00〜翌6:00所定単位数の50%加算

早朝と夜間は同じ25%加算ですが、深夜は50%加算と倍率が異なります。

夜間と深夜を別区分として認識することが、誤算定を防ぐ第一歩です。

計画への記載と実績の両方が必要

時間帯別加算を算定するには、2つの要件を同時に満たす必要があります。

要件内容
①計画への位置づけケアプランまたは訪問介護計画に、該当する時間帯のサービスが位置づけられていること
②実績の確認実際にその時間帯にサービスを提供していること

どちらか一方が欠けても算定できません。 実績記録があっても計画書に時間帯の記載がなければ加算は取れず、逆に計画書に記載があっても実際には別の時間帯に提供したのであれば加算対象外となります。

ぺんすけ

月末の請求チェック時に、計画書と実績記録の時間帯が本当に一致しているか確認する癖をつけることが、実地指導での指摘を防ぐ最短ルートです。

複数回訪問でも各回ごとに加算できる

同一利用者に同一日複数回訪問する場合でも、各回の開始時刻が加算対象の時間帯にあれば、それぞれの回ごとに加算を算定できます。 訪問介護の早朝・夜間・深夜加算には、1日あたりの算定回数の上限は定められていません。

ただし前提として、各回が計画に位置づけられ、開始時刻が該当時間帯にあることが必要です。

ここで注意が必要なのが、「訪問介護の2時間ルール」です。前回のサービス終了時刻から次の開始時刻までの間隔が概ね2時間未満の場合、複数の訪問が1つに合算され、本体報酬は合算後の1区分で算定されます。

ぺんすけ

想像していた以上に報酬がもらえない事態が発生するので、併せて2時間ルールについても理解を深めておきましょう。

訪問介護の夜朝加算と時間区分の違い

訪問介護の時間区分という言葉には、2種類の全く異なる概念が含まれています。 一度調べてもすっきり理解できなかった方は、この2種類が混在していたからかもしれません。

ひとつは所要時間区分(身体介護の提供時間に応じた報酬額の段階)、もうひとつが時間帯区分(早朝・夜間・深夜という加算のための時間帯)です。

加算率の計算には所定単位数×加算率の計算式が必要で、所要時間区分の単位数を先に確認してから加算率を掛ける流れになります。

所要時間区分と時間帯区分で報酬額が決まる

訪問介護の報酬計算構造。所要時間区分の基本単位数(163/244/387/567)と時間帯加算率の掛け算を図解

2つの区分を並べて整理します。

所要時間区分(身体介護の報酬額を決める区分)

所要時間身体介護の基本単位数
20分未満163単位
20分以上30分未満244単位
30分以上1時間未満387単位
1時間以上1時間半未満567単位(以降30分ごとに+82単位)

時間帯区分(加算率の係数)

時間帯加算率
早朝(6:00〜8:00)+25%
夜間(18:00〜22:00)+25%
深夜(22:00〜翌6:00)+50%

2つは独立した概念です。報酬額は所要時間区分の基本単位数 × 時間帯加算率で決まります。

夜朝加算による報酬計算の具体例

同じ所要時間区分でも、提供する時間帯によって報酬額が変わります。

身体介護(20分以上30分未満)の基本単位数は244単位です。提供する時間帯ごとに報酬額は次のように変わります。

提供する時間帯報酬額
日中244単位
夜間(18:00〜22:00) 244 × 1.25 = 305単位
深夜(22:00〜翌6:00)244 × 1.50 = 366単位

夜間と深夜の差は61単位です。1回あたりの差は小さく見えても、深夜帯の訪問が多い事業所ほど、月間では無視できない報酬差として積み上がります。

深夜帯のサービス提供が実態として夜間帯で請求されていると、正しい報酬を受け取れていない可能性があります。 計画書と実績記録の時間帯が一致しているか、月次で確認する習慣が収益管理の基本です。

ぺんすけ

請求の正確さは細かい作業ではなく、収益差に直結する経営の基本です。月末の請求作業をルーチンではなく確認の機会と位置づけてください。

訪問介護の夜朝加算で誤算定を防ぐポイント

時間帯別加算の算定ルールを理解していても、実務では判断に迷う場面が生じます。 「サービスが22時をまたいでしまった」「緊急で呼ばれた訪問はどうなるか」のような境界ケースの処理を誤ると、誤算定として実地指導での指摘対象になります。

キャリアアドバイザー時代に複数の訪問介護事業所の管理者と面談する機会がありましたが、「加算ルールがわかりにくく、月末の請求のたびに不安になる」という声を繰り返し聞きました。

判定の基準が明文化されていれば、迷いの大半は消えます。 境界ケースごとに「開始時刻で判断」「計画書に記載」という確認軸が一本あれば、月末の不安は構造的に減ります

またぎは開始時刻の時間帯で算定する

訪問介護の時間帯またぎ判定フロー。21:30開始は夜間25%、22:05開始は深夜50%となる判定基準を図解

サービス提供が複数の時間帯にまたがった場合、どちらの加算率を適用するかは開始時刻が属する時間帯で決まります。サービスが途中で別の時間帯に入っても、加算区分は変わりません。

出典:厚生労働省 老企第36号

訪問介護計画に「21:30〜22:30」のサービスが記載されている場合を例に考えます。 このサービスは22時をまたいでいますが、開始時刻は21:30です。 21:30は夜間帯(18:00〜22:00)に属するため、サービス全体が夜間加算(25%)で算定されます。深夜加算(50%)にはなりません。 開始時刻が22:05の場合は、深夜帯が開始時刻となるため、サービス全体が深夜加算(50%)で算定されます。

終了時刻ではなく開始時刻で判断するのが鉄則です。

ただし注意が必要なのは、開始時刻が加算対象時間帯に属していても、その時間帯にかかるサービスがごく少量に留まる場合は算定できないケースがあることです。

これは後述する実地指導の指摘(数分〜15分程度の短時間訪問での算定)と同じ趣旨で、実態の薄い加算請求を防ぐための考え方です。 具体的な割合は通知に明記がなく、所属する自治体の実地指導通知で確認が必要です。

ぺんすけ

開始時刻基準と、ごく少量ルール(加算対象の時間帯にかかる提供がごく短い訪問は算定できないという扱い)の2つの判定軸を事業所内で一度書面化しておく。それだけで、請求スタッフが迷わず実地指導でも説明しやすくなります。

突発的な訪問は対象にならない

利用者の急変などで、計画外に臨時の訪問を行う場合があります。

このとき注意したいのは、訪問介護の時間帯別加算は訪問の回数で決まるのではなく、サービス開始時刻が該当時間帯にあるかどうかで判定される点です。

一方で、時間帯別加算は居宅サービス計画または訪問介護計画への位置づけが算定要件です。 計画にない突発的な訪問は位置づけがないため、原則として時間帯別加算の対象になりません。

緊急時に時間帯別加算の対象となる訪問が見込まれる場合は、あらかじめケアマネジャーと計画への位置づけを調整しておくことが必要です。

ぺんすけ

計画外の訪問では、開始時刻が該当時間帯かと、計画に位置づけがあるかの2点を確認します。位置づけのない突発訪問は、時間帯別加算の対象外と考えておくと安全です。

計画と実績の整合を毎月確認する

実地指導で指摘されやすい誤算定の3パターンを整理します。

いずれも計画書と実績記録の整合が取れていないことが根本原因です。

指摘パターン具体的な状況予防策
計画未記載での算定ケアプランや訪問介護計画に時間帯の記載がないまま加算を請求計画書に開始時刻と時間帯を必ず明記する
短時間(数分〜15分程度)での算定実際の提供時間が極めて短い訪問に加算を請求訪問記録に開始・終了時刻を正確に記録する
事業所都合での時間設定人員配置の都合で実態に合わない時間帯を計画に記載して加算請求利用者のニーズに基づいた時間設定を徹底する

出典:けあタスケル「訪問介護の実地指導」

私が面談を重ねてきた中で感じてきたのは、実地指導に入られてからルールを直す後手対応の事業所が少なくないという実態です。

計画書と実績記録の整合を毎月確認することを習慣にしている事業所ほど、実地指導での指摘が少ない傾向があります。月末の請求作業を「確認の機会」として位置づけるだけで、リスクの大部分は防げます。

まとめ

訪問介護の夜朝加算(夜間・早朝加算・深夜加算)について、時間帯定義・加算率・算定要件・境界ケースの判定方法を整理しました。

要点を整理します。

確認項目内容
時間帯の定義早朝6:00〜8:00(25%)、夜間18:00〜22:00(25%)、深夜22:00〜翌6:00(50%)
算定の2要件計画への位置づけ+実績の提供。どちらか欠けても算定不可
またぎの判定開始時刻が属する時間帯で算定区分を決める
計画外の訪問回数ではなく開始時刻で判定。時間帯加算は計画への位置づけが要件
複数回の訪問各回の開始時刻が該当時間帯なら回ごとに算定可(回数上限なし)
ぺんすけ

夜朝加算は、時間帯の定義と開始時刻基準さえ押さえれば、判断に迷う場面は大きく減ります。まずは自施設の計画書と実績記録を点検するところから始まります。

適正算定のための次のアクションとして、以下の2点から着手してください。

①計画書のチェック 現在使用している訪問介護計画書に開始時刻と時間帯区分(早朝・夜間・深夜)の記載欄があるかを確認してください。 記載がなければ、今月分の計画書から追記を始めます。

②直近3か月の照合 直近3か月の実績記録と計画書を照合し、開始時刻が一致しているかを点検します。 この2点を毎月の月次作業として習慣化することが、実地指導への備えとして最も確実な方法です。

夜朝加算は塵も積もれば山となるです。しっかり算定要件について理解して、もれなく請求できるようにしましょう。

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この記事を書いた人

レバウェル介護にて約2年間、介護業界専門のキャリアアドバイザーとして従事。これまでに300名以上の介護士の転職面談を担当。また介護施設への人材派遣を通じて採用側の課題解決にも従事。このような実務経験をもとに、介護事業者・求職者双方にとって信頼性の高いWeb制作を行っています。

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