デイサービスの送迎減算は、事業所の職員が利用者の家と事業所の間を送らなかったときの仕組みです。片道ごとに47単位が報酬から引かれます。
家族が「自分で送ります」と言った日、迎えに行ったら家族が送ってきていた日、要支援の人を受ける日。迷うのは、この3つの場面です。
家族送迎の日と、迎えに行ったのに家族が送ってきた日は早見表で、要支援の人は上限の表で判定できます。
この記事は介護保険の通所介護(デイサービス)の話です。放課後等デイサービスや児童発達支援は、障害福祉の別の制度です。
デイサービスの送迎減算とは
送迎減算とは、通所介護の報酬から、送迎をしなかった片道ぶんの単位を引く仕組みのことです。引かれるかどうかは、家族が送ったかではなく、事業所の職員が家と事業所の間を送ったかで決まります。
家族が送った理由は問われず、迷う日もこの一点で判定できます。
片道ごとに47単位が減る
行きか帰りの片方だけ家族が送った日は47単位、両方なら94単位が、その日の報酬から引かれます。
減算は1日単位ではなく、片道につき47単位と決められているからです。
| 職員が送らなかった範囲 | 引かれる単位 |
|---|---|
| 行きだけ | 47単位 |
| 帰りだけ | 47単位 |
| 往復とも | 94単位 |
たとえば、行きは職員が迎えに行き、帰りは家族が迎えに来た日があるとします。
この日は帰りの片道ぶんだけ、47単位が引かれます。
職員が送らない日は家族送迎でも減る
本人が自分で来た日も、家族が連れてきた日も、事業所の職員が送っていなければ減算になります。
留意事項通知が、家族が送る日も、職員が送っていなければ減算の対象と定めているからです。留意事項通知とは、報酬の細かい扱いを国が示した通知のことです。
次の早見表で、よくある場面を判定できます。
| 場面 | 減算か | 根拠 |
|---|---|---|
| 本人が自分で来た | 減算になる | 留意事項通知 |
| 家族が送った | 減算になる | 留意事項通知 |
| 迎えに行ったが家族が送ってきた | 減算になる | 平成27年度Q&A 問61 |
| お泊りデイの日に送らなかった | 減算になる | 平成27年度Q&A 問60 |
| 職員が歩いて送った | 減算にならない | 平成27年度Q&A 問62 |
| 委託先が送った | 減算にならない | 令和6年度Q&A 問67 |
| 他事業所の職員が送った(雇用契約なし) | 減算になる | 令和6年度Q&A 問66 |
| 居住実態のある親族宅との送迎 | 条件つきで減算にならない | 令和6年度Q&A 問65 |
| 同一建物減算の対象者 | 送迎減算はかけない | 留意事項通知 |
たとえば、息子さんの車で週1回(月4回)通っている利用者がいるとします。
職員が送り迎えをしていないので、行きと帰りの両方が対象で、94×4=376単位が引かれます。1単位を10.00〜10.90円として円にすると、約3,800〜4,100円です。
いちばん迷いやすいのは、迎えに行ったのに家族が送ってきた日です。迎えに行く予定だったかどうかは関係なく、この日も減算になります。泊まりがあってもなくても、その日職員が送っていなければ減算です。
ぺんすけ職員が歩いて送った日は減算になりません。距離が短くても、送ったことは送迎表に残しておきましょう。
職員が家の中で介助したかどうかは、判定に関わりません。家の中の介助の算定は、デイサービスの送迎時の居宅内介助にまとめています。
同一建物減算の人には重ねてかけない
事業所と同じ建物に住む人は、送迎がなくても送迎減算はかけず、1日94単位の同一建物減算だけをかけます。
留意事項通知が、同一建物減算の対象者を送迎減算の対象から外しているからです。2つの減算を足し合わせることはしません。
同一建物とは、事業所と構造上または外形上、一体になっている建物のことです。当てはまるかどうかは、次の表で見分けられます。
| 利用者の住まい | 同一建物か |
|---|---|
| 事業所と同じ建物の2階 | 当てはまる |
| 渡り廊下でつながっている建物 | 当てはまる |
| 同じ敷地の別棟 | 当てはまらない |
| 道路を挟んで隣の建物 | 当てはまらない |
当てはまらない住まいの人は、送迎の有無で、通常の送迎減算の判定に進みます。
たとえば、事業所と同じ建物の2階に住む利用者が、月20日通っているとします。
送迎減算は足さず、同一建物減算だけで94×20=1,880単位です。
ここまでの判定の順番は、次の図で確かめられます。


要支援の利用者の送迎減算と月の上限
要支援1・2の人や事業対象者が使う総合事業の通所型サービスにも、送迎減算があります。事業対象者とは、基本チェックリストで支援が必要とされた人のことです。
総合事業は、国の基準に沿って市町村が単位を定める制度です。上限の有無や額も市町村で違うため、この記事は札幌市の要綱で数字を確かめています。請求先の市町村のサービスコード表もあわせて確認してください。
総合事業の通所型でも片道47単位減る
要支援1・2や事業対象者の人も、事業所が送らない日は片道47単位が減ります。
総合事業の通所型サービスの単位表にも、送迎を行わない場合の減算が置かれているからです。
同一建物減算とは、事業所と同じ建物に住む人にかかる減算のことです。単位は区分で違い、札幌市の月額の区分では月376・752単位です。
| 場面 | 減算か |
|---|---|
| 要支援2の人を家族が毎回送る | 片道ごとに47単位減る |
| 同一建物減算を算定している人 | 送迎減算はかけない |
| 請求先の市町村が別の単位を定めている | その市町村のサービスコード表に従う |
たとえば、要支援2の利用者を、月8回とも往復家族が送迎しているとします。
47×16=752単位が対象です。札幌市の要支援2の月額の区分なら、1か月の上限752単位とちょうど同じです。
請求先の単位は、「市町村名 総合事業 サービスコード表」で検索し、通所型サービスの送迎減算の行で見られます。
札幌市の月額払いは376・752単位で止まる
札幌市の要綱では、要支援1(週1回程度)は月376単位、要支援2(週2回程度)は月752単位より多くは減りません。
札幌市の要綱が、月額で払う区分に送迎減算の1か月の限度を定めているからです。月額で払う区分とは、月の利用回数にかかわらず、月単位で報酬が決まる区分のことです。
| 区分 | 利用の目安 | 1か月の上限(札幌市の場合) |
|---|---|---|
| 事業対象者・要支援1 | 週1回程度(月額) | 376単位 |
| 要支援2 | 週2回程度(月額) | 752単位 |
376は47×8で、週1回を4週ぶん、往復とも送らなかった場合に当たります。752は47×16で、週2回を4週ぶんです。上限は、月の想定回数ぶんの往復と読めます。



上限に届くかは利用者ごとの回数で決まります。要支援の人の月の利用回数を一覧にしておくと、上限で止まる人を見分けられます。
札幌市の上限で実際にどこで止まるかは、次の3つのケースで確かめられます。
| ケース | 計算 | 引かれる単位 |
|---|---|---|
| 要支援1・月4回・全日家族送迎 | 47×8=376 | 376単位(上限ちょうど) |
| 要支援1・月5回・全日家族送迎 | 47×10=470 | 376単位で止まる |
| 要支援2・月8回・行きだけ家族 | 47×8=376 | 376単位(上限752に届かない) |
たとえば、札幌市の要支援1の利用者が月5回、全日往復とも家族送迎だったとします。
5回×94単位で470単位と数えたくなりますが、上限の376単位で止まります。
送迎減算を減らす送迎の組み方
週2回通う利用者を、毎回往復とも家族が送っているとします。1人で月に約7,500〜8,200円の報酬が減ります。5人なら、年に約45〜49万円です。
家族が送りたいという希望は尊重してよく、その日の減算は正しい請求です。減らせるのは、送り方を変えられる日だけです。



まず送迎表から、家族送迎の日を1人ずつ拾うと、減算の総量が見えます。そのうち送り方を変えられる日が、下の3つの打ち手の対象です。
月にいくら減るかは、式で出せます。1単位の単価は、事業所のある地域で10.00〜10.90円です。往復とも職員が送らない日は、47単位の往復ぶんで1日94単位が減ります。
減る額=94単位×月の利用回数×1単位の単価
この記事の例は、週2回で月8回、単価は10.00〜10.90円です。月8回は、例として置いた回数なので、自分の事業所の利用回数に置き換えてください。
| 段階 | 計算のしかた | この記事の例 |
|---|---|---|
| ①1か月に減る単位 | 94単位×月の利用回数 | 94×8=752単位 |
| ②円にする | 752単位×1単位の単価 | 7,520円(10.00円)〜8,196.8円(10.90円) |
| ③百円の位で丸める | 目安として「約」を付ける | 約7,500〜8,200円 |
減算がかからない送り方の前提を、先に1つの表にまとめます。
| 打ち手 | 減算がかからない条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 親族の家などへ送る | 居住実態があり、運営に支障がなく、本人と家族が同意している | 令和6年度Q&A 問65 |
| 送迎業務を委託する | 受託事業者が居宅と事業所の間を送る | 令和6年度Q&A 問67 |
| 他事業所と組む | その職員が自事業所とも雇用契約を結んでいる | 令和6年度Q&A 問66 |
ここでは、減算がかからない送り方を3つ紹介します。
親族の家など住んでいる場所へ送る
利用者が実際に暮らしている親族の家との送迎なら、自宅でなくても減算になりません。
国のQ&Aが、実際に暮らしている場所なら、自宅でなくても減算をかけないと示しているからです。送迎は自宅と事業所の間が原則で、この場合は例外として認められています。
送る場所が自宅でないだけで減算になる日を、なくす打ち手です。次の3つがそろえば、減算はかかりません。
- 利用者が実際に暮らしている場所
- サービス提供範囲内など、運営に支障がない
- 本人と家族それぞれの同意がある
たとえば、平日は娘さんの家で暮らしている利用者がいるとします。
その家と事業所の間を職員が送れば、自宅でなくても送迎減算はかかりません。
同意は、書面などで残しておくと安心です。
送迎業務をまとめて委託する
送迎を外部に委託しても、受託した事業者が送れば減算はかかりません。
国のQ&Aが、送迎は外部に委託してよいと示しているからです。委託先の事業者が家と事業所の間を送れば、減算はかかりません。運転手や車が足りず送れていない日を、事業所の外の力で埋める打ち手です。
| 送った人 | 減算 |
|---|---|
| 受託事業者が居宅と事業所の間を送った | かからない |
| 委託先も職員も送らず、家族が送った | かかる |
複数の事業所でまとめて委託する共同委託も認められています。費用の負担や責任の所在を事業所の間で決めておけば、同じ車に乗り合えます。
たとえば、運転手が足りず、週3回(月12回)は行きを家族に頼んでいる利用者がいるとします。
その行きを委託先に任せれば、47×12=564単位、約5,600〜6,100円の減算を避けられます。



委託先を決めるときは、送迎の記録を誰がどう残すかも先に決めておくと、月末の突き合わせが楽になります。
他事業所と組むなら雇用契約を結ぶ
他の事業所の職員に送ってもらう日は、その職員と自事業所が雇用契約を結んでいないと減算になります。
減算は、利用者が利用している事業所の従業者が送ったかどうかで判定されるからです。人手が足りない日を、近くの事業所と助け合って埋める打ち手です。
| 送った人 | 減算 |
|---|---|
| 他事業所の職員(自事業所と雇用契約なし) | かかる |
| 他事業所の職員(自事業所とも雇用契約あり) | かからない |
雇用契約を結んだうえで、費用負担や責任の所在を事業所の間で決めておけば、同じ車に乗り合えます。送れるのは、各事業所がサービスを届けると決めている地域(通常の事業実施地域)の中です。
そのうえで、利用者の不便にならない範囲に限られます。
たとえば、近くの事業所の運転手に、帰りの送迎を月6回頼む場合を考えます。
その運転手と自事業所が雇用契約を結ばないまま送ってもらうと、47×6=282単位、約2,800〜3,100円が減算になります。
送迎減算の請求ミスを防ぐ記録の付け方
送迎減算の請求ミスは、計画、当日の記録、月末の突き合わせの3段をそろえれば防げます。
運営指導とは、自治体による事業所の点検のことです。請求と記録が合っていないと、この運営指導のあとで請求の見直しになることがあります。
進み方やほかに見られる項目は、デイサービスの運営基準とはに書いています。
3段の流れは、次の図のとおりです。


ここでは、記録の付け方を3つの手順で紹介します。
①:通所介護計画に往復か片道かを書く
計画に送迎を往復か片道かで書いておくと、その日に減算すべきかを実績と照らして判定できます。
国のQ&Aが、計画に往復か片道かを書いたうえで、その日に実際に送ったかで判定するとしているからです。
| 計画上の送迎 | その日の実際 | 減る単位 |
|---|---|---|
| 往復とも事業所が送迎 | 往復とも職員が送った | 減算なし |
| 往復とも事業所が送迎 | 帰りだけ家族が迎えに来た | 47単位 |
たとえば、計画に「往復とも事業所が送迎」と書いてある利用者を考えます。
ある日、帰りだけ家族が迎えに来たなら、計画は変えずに、その日の帰りの片道47単位(約470〜510円)を減算します。
②:当日の送迎を片道ごとに記録する
迎えに行ったのに家族が送ってきた日も、その日のうちに片道ごとに残せば、請求で取り違えません。
予定と実際がずれた日ほど、あとで思い出せなくなるからです。
送迎表には、次の4つを残しておきます。
- 日付と利用者名
- 行きは誰が送ったか
- 帰りは誰が送ったか
- 予定と違った日の理由
欠席した日や休業日の扱いは、記録に残したうえで、請求前に市町村へ確認してください。
たとえば、職員が玄関まで迎えに行ったところ、家族が「今日は私が連れていきます」と言った日があるとします。
その日のうちに「行きは家族」と記録しておけば、月に2日あっても、94単位(約940〜1,020円)の付け漏れを防げます。
③:請求前に送迎記録と実績を突き合わせる
月末に送迎記録と提供実績を1人ずつ照らすと、減算の付け漏れによる過大請求を請求前に見つけられます。
付け漏れたまま請求すると、あとで請求の見直しになることがあるからです。
突き合わせるのは、次の3つです。
- 送迎記録で職員が送った日
- 請求に入っている送迎減算の回数
- 家族が送った日の付け漏れ
たとえば、月末の突き合わせで、送迎記録には行きだけ家族が送った日が3日あるのに、請求には減算が入っていなかったとします。
47×3=141単位、約1,400〜1,500円ぶんの過大請求になりますが、請求前に見つければその場で直せます。



月末に1人ずつ照らす作業は、送迎表を月ごとに1枚へまとめておくと短くすみます。
デイサービスの送迎減算でよくある質問
送迎減算のほかに、デイサービスで引かれる減算や取れる加算をまとめて見たいときは、こちらの記事が役に立ちます。


まとめ|送迎減算は片道ごとに記録して判定する
送迎減算は、職員が送らなかった片道ごとに47単位が引かれる仕組みです。ポイントは3つあります。
- 家族が送った日も本人が自分で来た日も対象
- 月額払いの上限は札幌市で376・752単位
- 親族宅・委託・雇用契約で減る分を小さくできる
今日からできること:
- 計画に往復か片道かを書き込む
- 送迎表を行きと帰りで分ける
- 月末に送迎記録と請求を照らす
迷った日は、職員が居宅と事業所の間を送ったかだけを確かめてください。 送っていなければ減算、送っていれば減算なしです。
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