「介護タクシーの法令試験さえ突破すれば許可まであと一歩だ」と考えながら準備を進めていませんか。実は、法令試験を受けなくていい運輸局があります。
自分の管轄がどちらに当てはまるかを知らないまま対策を始めると、不要な準備に時間を使ったり、逆に必要な試験を見落としたりするリスクがあります。
管轄運輸局ごとに試験の要否・出題範囲・設問方式・持ち込み可否が異なるため、まずは自分の管轄の情報を正確に把握することが先決です。
介護タクシーの開業手続き全体の流れは介護タクシー開業の流れ9STEPで解説しています。本記事では、そのなかの法令試験だけを深掘りします。
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介護タクシーの法令試験とは
法令試験は、運輸局が申請書を受理した後、審査基準に定める法令の知識を確認するために実施する試験です。
合格すると審査の最終段階に進み、許可処分を受けられます。

ここでは、試験の全体像を理解するための3つのポイントを紹介します。
試験の有無は運輸局で分かれる
法令試験を受けるかどうかは、管轄の運輸局によって異なります。
関東運輸局(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬・山梨)では、介護タクシー(福祉輸送限定)の申請者は法令試験を省略できると定められています。

「法人タクシー事業の許可申請の審査基準について」の細部取扱い(審査基準の補足文書)があります。
12.(1)ただし書きに「患者等の輸送サービスに限定する事業を行う場合にあっては、これを省略することができる」と明記されています。
関東運輸局の許可申請フロー図にも法令試験の工程は記載されていません。
一方、近畿・中部・九州の各運輸局では、福祉輸送事業限定の申請者も法令試験を受ける必要があります。各局の審査基準・細部取扱いに法令試験の合格が明記されており、申請者を対象外とする規定はありません。
受ける試験区分は法人タクシーの一般乗用試験
近畿・中部・九州で介護タクシーを開業する場合に受けるのは、一般乗用旅客自動車運送事業(個人タクシーを除く)の法令試験、いわゆる法人タクシーの試験です。福祉輸送限定だから試験も別・簡単と思っている人ほど、要注意です。
介護タクシーの許可制度は、一般乗用旅客自動車運送事業の許可に条件を付したものであり、法令試験も同一の制度を使います。
40問・合格基準90%以上・50分という数値を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、それは個人タクシー(1人1車制)の試験の数値です。
介護タクシーが受ける法人タクシーの試験とは別建ての制度なので、混同しないようにしてください。
たとえば、個人タクシー(1人1車制)の申請後試験(譲渡譲受・相続の認可申請者向け)では、法令試験に不合格になると申請が却下されます。
しかし介護タクシーが受ける法人タクシーの試験は、不合格時に後日再試験の機会が設けられている全く別の制度です。同じ旅客タクシーに関わる試験でも、申請の種類によって扱いが全く変わります。
ぺんすけ福祉限定だから簡単なはず、という思い込みが一番危険です。介護タクシーが受ける試験は、あくまで法人タクシーの一般乗用試験です。
個人タクシーの数値とは全くの別物なので、対策の方向性を間違えないようにしてください。
開業に必要な資格要件の詳細については介護タクシーの自宅開業・資格も参照してください。
受験するのは本人か専従予定役員
受験対象者は次のとおり定められています。
- 個人申請の場合:申請者本人
- 法人申請の場合:許可後にその事業に専従する役員1名
従業員が代わりに受けることはできません。
法人の場合は、実際に事業に専従する役員を決めてから申請に臨む必要があります。



法人で申請する方は、専従予定の役員を誰にするか先に決めておいてください。申請後に受験者を決めようとすると、手続きがスムーズに進まない場合があります。
法令試験の出題数・合格基準・試験時間
ここでは、試験を受ける必要がある運輸局(近畿・中部・九州)に共通する基本情報を整理します。
関東運輸局管内の介護タクシー(福祉輸送限定)の申請者は法令試験を省略できるため、本章の数値は対象外です。
ここでは、出題内容・合格ライン・設問形式という3つの基本事項を紹介します。
出題される法令は道路運送法など7分野
近畿・中部・九州で共通する出題範囲は7分野です。
| 法令名 | 備考 |
|---|---|
| 道路運送法 | 旅客輸送の根拠法 |
| 道路運送法施行令 | 同法の政令 |
| 道路運送法施行規則 | 同法の省令 |
| 旅客自動車運送事業運輸規則 | 運行管理・点呼の規則 |
| 旅客自動車運送事業等報告規則 | 事業報告・輸送実績の規則 |
| 自動車事故報告規則 | 事故報告の規則 |
| その他一般旅客自動車運送事業に必要な法令等 | 各局が適宜追加 |
運賃の仕組みそのものについては、介護タクシーの料金設定で詳しく解説しています。



7分野の法令はいずれも旅客輸送に欠かせない規定が中心です。まず出題範囲の7分野を一通り確認し、試験当日に条文をすばやく引けるよう書籍の構成に慣れておくことが基本的な対策です。
合格基準は30問中24問以上の正解
試験がある3局(近畿・中部・九州)に共通する合格基準は、30問出題のうち24問以上の正解(正解率80%以上)です。
1問でも足りなければ不合格になります。
問題ごとに正解・不正解が明確な形式のため、曖昧な理解のまま受験することは避けてください。



正解率80%以上というのは、30問中6問まで間違えられるということです。
余裕があるように見えますが、条文の細かい数値・要件の見落としが重なると簡単に7問以上の誤答になります。1問1問の積み重ねを大切にしてください。
試験時間は40分・設問は○×方式が基本
試験時間は40分です。
設問は○×方式が基本で、記述式・穴埋め式は中部・九州の実施要領にも、近畿運輸局の受験案内にも記載がありません。近畿・中部は全30問が○×方式のみで構成されています。
正しければ○、誤りなら×の判断だけで済むシンプルな形式です。
九州は○×方式25問に加え、語群選択方式5問が含まれます。詳細は次章の運輸局別比較で確認してください。



試験時間40分で30問ですから、1問あたり約80秒の計算です。持ち込んだ書籍で条文を引く時間も含まれます。
普段からどの条文がどの本のどのあたりにあるかを把握しておくことが、時間内に解き終える一番の近道です。
運輸局で異なる出題範囲と試験の中身
自分の管轄運輸局の試験がどんな形式かを確認するのが、対策の最初の一歩です。
ここでは、法令試験の要否・設問方式・実施頻度・持ち込みの4軸で、関東・近畿・中部・九州を比較します。
ここでは、4局の違いを整理する4つの観点を紹介します。
省略できるのは関東運輸局だけ
関東運輸局の管内(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬・山梨)で介護タクシーを開業する場合、法令試験は省略できます。
細部取扱い12.(1)ただし書きに「患者等の輸送サービスに限定する事業を行う場合にあっては、これを省略することができる」と明記されています。
関東運輸局の介護タクシー申請書の手引きにも法令試験の記載は一切ありません。
たとえば、東京都内で介護タクシーを開業する場合、申請書の提出後は審査基準に基づく書類審査だけで許可処分まで進みます。試験の案内が届くことはなく、試験準備の焦りはそもそも不要です。
一方、大阪府内で同じ申請をすると、近畿運輸局から法令試験の日程通知が届き、合格してから許可処分に進む流れになります。同じ介護タクシーの許可申請でも、管轄次第でこれだけ手順が変わります。
近畿・中部・九州はいずれも、福祉輸送事業限定でも法令試験の受験が必要です。



東京・神奈川・千葉・埼玉など関東8都県で開業予定の方は、法令試験の準備は不要です。申請書が受理されれば、書類審査だけで許可処分まで進みます。その分、書類の完成度に全力を注いでください。
4局の比較を表にまとめておきます。
| 運輸局 | 介護タクシーの試験の要否 | 設問方式 |
|---|---|---|
| 関東 | 省略できる(細部取扱い12.(1)ただし書き) | —(省略のため対象外) |
| 近畿 | 受ける(福祉細部取扱い10.(1)) | ○×方式のみ |
| 中部 | 受ける(福祉手引き2.(2)) | ○×方式のみ |
| 九州 | 受ける(実施要領の対象) | ○×方式25問+語群選択5問 |
設問方式は九州だけ語群選択を含む
九州運輸局では、30問のうち25問が○×方式、残り5問が語群選択方式です。
語群から正しい語句を選ぶ形式のため、○×の判断だけではなく条文の具体的な数字・語句の正確な理解が求められます。近畿・中部は○×方式のみです。
解答する際は、正しければ○、誤りなら×の判断だけで済みます。



九州で受験する方は、語群選択方式の5問を特に意識して対策してください。○×の感覚とは少し違う頭の使い方が求められます。具体的な数値・語句を条文から正確に引けるかどうかが分かれ目です。
実施頻度は運輸局によって違う
関東・中部・九州の実施要領が定める基本の文言は「適宜実施する」です。近畿運輸局は実施要領そのものが見つからず、受験案内の実績から実施ペースを読み取っています。
月1回の開催と断定しているウェブサイトを見かけますが、全局共通で毎月実施と確約する一次情報はありません。
| 運輸局 | 実施頻度の実態 |
|---|---|
| 近畿 | 受験案内の実績から実質毎月のペースで実施(令和8年9月試験の翌回は10月7日実施) |
| 中部 | 福祉限定の手引きに「毎月1日〜15日受理は翌月中旬に、16日〜末日受理は翌月下旬に実施」と明記 |
| 関東 | 介護タクシー(福祉輸送限定)は試験自体を省略できるため対象外。一般の法人タクシーの場合は実施予定日の10日前までに通知 |
| 九州 | 実施予定日の7日前までに通知(実施頻度を確約する文言は公示にない) |



実施日程の詳細は、申請後に運輸局から届く通知で確認することになります。月をまたいだ準備計画を立てるよりも、申請書の提出と並行して出題範囲の法令をコツコツ読み進めておく方が確実です。
持ち込みと過去問公開は局差が大きい
持ち込みの可否と過去問の入手可否は、局によって大きく異なります。
| 運輸局 | 実施頻度の運用 | 持ち込み・過去問公開 |
|---|---|---|
| 関東 | (省略のため対象外) | (省略のため対象外) |
| 近畿 | 実質毎月(受験案内ベース) | 指定3冊のみ・冊子限定(印刷物不可)。過去1年分を公式公開 |
| 中部 | 翌月中旬または下旬(福祉限定の場合) | 法令集等。公式公開は未確認 |
| 九州 | 適宜実施(7日前通知) | 自動車六法等。公式公開は未確認(乗用) |
近畿運輸局では、持ち込める書籍は指定3冊のみです。
- 自動車六法
- 運行管理者基礎講習用テキスト(旅客編)
- 旅客自動車運送事業等通達集
冊子のみとされており、印刷した紙媒体は持ち込み不可とされています。
これ以外の書籍を持ち込んだ場合は不合格扱いになりますので、受験前に必ず確認してください。
たとえば、試験直前に確認したいからと自分でまとめた要点シートを持ち込もうとしても、近畿運輸局ではこれは認められません。
指定3冊のうち自分が使う書籍を事前に手元に揃え、どこに何が書いてあるかを把握しておくことが重要です。
試験当日に初めて書籍を開くようでは、40分では到底間に合いません。
近畿運輸局は過去1年分の試験問題と解答を公式サイトで毎月更新して公開しています。他の運輸局については公式サイト上で乗用(法人タクシー)向けの過去問公開ページが確認できなかったため、管轄の地方運輸局に直接確認することをお勧めします。
法令試験の不合格時の扱い
「もし試験に落ちたら、どれだけ開業が遅れるのか」と試験前の最大の不安はここにあります。
ここでは、不合格後の流れと、よく誤解される個人タクシー試験との違いを整理します。
不合格になっても即座に申請が取り下げられるわけではなく、多くの局で後日再試験の機会が設けられています。
ここでは、不合格時の対応について2つのポイントを紹介します。
多くの局は後日再試験を実施する
法令試験に合格できなかった場合は、後日再試験が実施されます。
各局の実施要領・受験案内が定める内容は次のとおりです。
| 運輸局 | 不合格時の対応 |
|---|---|
| 近畿 | 不合格・欠席者に次回試験の日程を通知(受験案内) |
| 中部 | 初回の試験において合格基準に達しなかった場合は、後日再試験を実施(実施要領に明記) |
| 九州 | 合格基準に達しない場合には、後日再試験を実施(実施要領に明記) |
たとえば、近畿運輸局管内で申請して9月の試験を不合格になった場合、10月の試験の日程通知が届きます。近畿は実質毎月ペースで実施されているため、開業が遅れる期間は概ね1ヶ月程度になります。
ただし、これは近畿の運用例です。他の局では再試験の日程が異なりますので、管轄の運輸局に確認してください。
試験でつまずいた先にある開業後の失敗パターンについては、介護タクシー開業の失敗パターンで詳しく解説しています。
再受験の回数制限は明記がない
再試験の回数上限や、再試験にも不合格だった場合の扱いは、関東・近畿・中部・九州の各運輸局が公開している要領・審査基準・受験案内には記載が見当たりません。
再試験は1回まで・2回落ちたら却下とする情報をウェブ上で見かけますが、これらは一次情報(各局の公示・実施要領)では確認できません。再試験の回数や、再試験にも合格できなかったときの扱いについては、管轄の地方運輸局に直接確認することが正確な対応です。
却下処分が明確に定められているのは、個人タクシー事業の申請後試験(譲渡譲受・相続の認可申請者向け)です。
介護タクシーが受ける法人タクシーの試験とは別建ての制度なので、混同しないようにしてください。



ネット上では「2回落ちたら却下」という情報が出回っていますが、「2回」という回数の根拠は個人タクシー・介護タクシーいずれの一次情報にも記載がありません。
介護タクシー(法人タクシー)の公示から一次情報で確認できるのは「後日再試験がある」ことだけで、回数上限や却下の規定は記載されていません。不安なことは直接、管轄の運輸局に電話で確認するのが一番確実です。
介護タクシーの許可取得後のホームページ制作はTeraceにご相談を
法令試験という関門を越えることに集中するあまり、その先の集客準備が後回しになってしまう。
そういう事業者を見るたびに、キャリアアドバイザー時代の記憶がよみがえります。
僕がレバウェル介護でキャリアアドバイザー(CA)をしていた頃、定着率が高く条件面でも申し分ないグループホームの理事長から「どうすれば求人に困らなくて済むかな」と相談を受けたことがあります。キャリアアドバイザー目線でも「この施設はいい」と分かる施設でしたが、施設側は採用に苦しんでいました。伝える手段が整っていないだけで、いい施設が埋もれてしまいます。正直に言うと、あの相談で実感したことが今の仕事の出発点にもなっています。「いい事業者なのに伝え方が下手で埋もれていくのはもったいない」というこの感覚は、介護タクシーの事業者にも同じように当てはまります。
許可が下りたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)や利用者にすぐ見つけてもらえるよう、ホームページ(ウェブサイト)や名刺の準備も並行して進めることをお勧めします。
以下の記事では、許可取得後の集客導線の作り方を解説しています。ホームページ制作でお困りの際は、Teraceにご相談ください。





法令試験を突破してから集客準備に動き出そうとすると、許可が下りた段階でもうライバル事業者がホームページを持っていることも珍しくありません。
許可取得と並行してウェブ上の発信準備を整えておくことを、強くお勧めします。
まとめ|介護タクシーの法令試験の有無は地域によって異なる
介護タクシーの法令試験について、本記事の要点をまとめます。
- 関東運輸局の管内(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬・山梨)では、介護タクシー(福祉輸送限定)の申請者は法令試験を省略できます
- 近畿・中部・九州では、福祉輸送事業限定でも法令試験の受験が必要です
- 試験がある3局(近畿・中部・九州)共通の基本情報は30問・正解率80%以上(24問以上)・40分・○×方式が基本です
- 設問方式は近畿・中部が○×のみ、九州は○×25問+語群選択5問です
- 持ち込みは各局で異なり、近畿は指定3冊のみ・冊子限定(印刷物不可)です
- 近畿運輸局は過去1年分の試験問題と解答を公式サイトで公開しています。公開の有無は運輸局ごとに異なるため、管轄の運輸局に確認してください
- 不合格の場合は後日再試験を受けられますが、回数の上限は各局の公示に記載がありません
結論、介護タクシーの法令試験の有無に関しては、地域によって異なります。



関東圏は無いですが、近畿・中部・九州では法令試験が必須です!
また法令試験の対策と並行して、車両の準備も早めに進めることをお勧めします。介護タクシーの車両選びで選択のポイントをまとめています。
参考文献
関東運輸局
近畿運輸局
中部運輸局
九州運輸局









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