退院・退所加算(たいいん・たいしょかさん)は、利用者が病院や介護保険施設を退院・退所する際の支援を評価する報酬です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)が医療機関等の職員から情報を収集したり、多職種カンファレンスに参加したりした場合に上乗せされます。
情報収集の回数とカンファレンスへの参加有無によって5区分(450〜900単位)に分かれており、正確に算定できれば事業所の収益基盤を着実に底上げする加算でもあります。
ぜひこの機会に退院・退所加算について学んでいきましょう。
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退院・退所加算の単位数と算定区分
病院や介護老人保健施設(老健)から退院・退所した利用者が在宅生活を再開するとき、その後の暮らしが安定するかどうかはケアプラン(居宅サービス計画)の質に大きく左右されます。
退院・退所加算は、ケアマネジャーが入院・入所先の医療・介護職員と直接連携して退院後の生活に必要な情報を収集し、ケアプランに反映させる行為を介護報酬上で評価する仕組みです。
ぺんすけ情報収集の回数とカンファレンスへの参加有無によって算定区分が決まり、単位数も区分ごとに異なります!
令和6年度改定でも単位数・算定区分に変更はなく、450〜900単位の5区分が維持されています。
算定区分は情報収集とカンファレンスで決まる


退院・退所加算の区分は情報収集の回数とカンファレンスへの参加有無の2軸で決まります。情報収集の回数が多く、カンファレンスにも参加するほど上位区分となり、単位数が増える設計です。
| 区分 | 情報収集回数 | カンファレンス参加 | 単位数 |
|---|---|---|---|
| (Ⅰ)イ | 1回 | なし | 450単位 |
| (Ⅰ)ロ | 1回 | あり | 600単位 |
| (Ⅱ)イ | 2回以上 | なし | 600単位 |
| (Ⅱ)ロ | 2回以上 | あり | 750単位 |
| (Ⅲ) | 3回以上 | あり | 900単位 |
情報収集の1回とは、病院または施設の職員(医師・看護師・理学療法士等)から退院・退所後に必要な情報を得ること1回分を指します。カンファレンスへの参加も情報収集の1回としてカウントされます。



情報収集1回でカンファレンスなしなら(Ⅰ)イ 450単位、カンファレンスありなら(Ⅰ)ロ 600単位です。同じ手間ならカンファレンス参加を意識するだけで150単位の差がつきます。
回数の数え方には2つの制限があります。まず、同一日に複数回の情報収集やカンファレンスへの参加があっても、算定は1回として扱われます(老企第36号 第三の17(3)②)。
一日に複数の担当職員と個別に面談した場合でも、加算件数として計上できるのは1回だけです。
さらに、同一入院・入所期間中に複数回の情報収集やカンファレンスへの参加があっても、算定できるのは1回を限度に1区分のみです(老企第36号 第三の17(2))。
入院期間が数か月にわたり何度も情報収集した場合でも、退院時の退院・退所加算として請求できるのは1回だけです。
老健に3か月入所していた利用者を例に挙げます。
2か月目に担当ケアワーカーから状況報告を受けました(1回目)。
退所前日には医師・看護師・ケアマネジャーによる多職種カンファレンスに参加しました(2回目・カンファレンスあり)。
この場合は情報収集2回以上かつカンファレンスありで(Ⅱ)ロ 750単位が算定できます。
さらにリハビリ職員と追加の面談を行った(3回目)場合は、(Ⅲ) 900単位に区分が上がります。
同一入院・入所期間中の最高区分を1回だけ算定できます。
出典:WAM NET「令和6年6月改定箇所」単位数表(老企第36号 ヘ 退院・退所加算)
令和6年度改定でも単位数は据え置き
令和6年度介護報酬改定では、居宅介護支援費のいくつかの加算が見直されました。
入院時情報連携加算は200単位→250単位、100単位→200単位への引き上げがありましたが、退院・退所加算の単位数および算定区分に変更はありませんでした。
450/600/600/750/900単位という水準は、2018年度(平成30年度)の見直し以来維持されています。
単位数が見直される可能性があるのは、3年周期の本改定にあたる令和9年度です。



令和6年度改定で入院時情報連携加算は引き上げられましたが、退院・退所加算は据え置きでした!
出典:令和8年度介護報酬改定について(第253回社会保障審議会介護給付費分科会 資料1・厚生労働省老健局)
退院・退所加算を算定できる対象と期限
算定できるのは、利用者が病院・診療所または介護保険施設等を退院または退所し、居宅サービスを利用する月です。
退院・退所加算を算定できる対象者は、退院後に居宅サービス(訪問介護・通所介護・訪問看護等)を利用する利用者です。施設サービスへ転入したり、医療保険の管理下に入ったりする場合は対象外となります。
退院後7日以内の情報収集でも算定できる
情報収集は原則として退院・退所前に行うことが望ましいとされていますが、退院後7日以内に情報を得た場合も算定の対象となります(老企第36号 第三の17(3)③)。
退院当日は病院の都合で連絡が取れなかった場合や、退院後に担当者が変わって情報共有が遅れた場合でも、7日以内であれば算定の機会を失いません。
この期限を正確に把握しておくだけで、算定の取りこぼしを防ぐことができます。
利用者が月曜日に退院し、退院当日は病院が多忙で担当看護師と話せませんでした。
水曜日(退院後2日目)にケアマネジャーが病院を訪問して担当看護師から情報収集を行いました。退院後7日以内のため、退院・退所加算(情報収集1回、カンファレンスなし)として(Ⅰ)イ 450単位が算定できます。



退院日の連絡が取れなかった場合でも、7日以内に情報収集できれば算定は逃しません。退院直後の1週間は担当者から積極的に連絡を入れる習慣をつけましょう!
出典:老企第36号 第三の17(3)③(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
初回加算とは同月に算定できない
初回加算(300単位)と退院・退所加算は同一月に両方算定できません(老企第36号 第三の17(1))。これは事業所がどちらを算定するかを選ぶルールです。
退院・退所加算は最も低い(Ⅰ)イ(450単位)でも初回加算(300単位)を上回ります。情報収集を1回でも確実に実施できる見込みがあれば、退院・退所加算を選ぶほうが収益上は有利です。
利用者が新規であり退院・退所のタイミングが重なった場合は、どちらの算定が有利かを比較してから選択してください。
新規利用者が病院から退院するタイミングで担当になりました。情報収集1回のみ(カンファレンスなし)で退院・退所加算(Ⅰ)イ 450単位を算定する場合と、初回加算 300単位を算定する場合を比較します。
退院・退所加算の方が150単位多いため、情報収集を確実に実施して退院・退所加算を選ぶほうが収益上は有利です。



新規利用者の退院時は初回加算(300単位)と退院・退所加算(450〜900単位)の同月算定はできません。最低区分でも450単位あるため、情報収集を実施できるなら退院・退所加算を優先するのが基本です。
出典:老企第36号 第三の17(1)(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
退院・退所加算のカンファレンス要件
退院・退所加算のカンファレンス要件は、競合記事が最も詳しく扱う論点ですが、3者以上という表現の読み違えが返還に直結するリスクを含んでいます。
また、施設の種別によって参照すべきカンファレンスの根拠規定が異なるため、退院元がどこかを正確に把握したうえで要件を確認する必要があります。



カンファレンス要件は人数ではなく機関数が重要です。人数で要件を判断していた場合は、今すぐ機関数ベースで見直してください。
出席者要件は施設種別で異なる


カンファレンスとして認められる会議の要件は、利用者が退院・退所した施設の種別によって参照すべき規定が異なります。
解釈通知(老企第36号 第三の17(3)①)はイ〜ホの5種別を規定しており、それぞれ異なる根拠規定に基づく会議への参加が求められます。
| 施設種別 | カンファレンスの根拠規定 | 根拠となる条文 |
|---|---|---|
| 病院・診療所 | 診療報酬「退院時共同指導料2の注3」の要件を満たすもの | 老企第36号 第三の17(3)①イ |
| 地域密着型介護老人福祉施設 | 指定地域密着型サービス基準 第134条第6項・第7項 | 老企第36号 第三の17(3)①ロ |
| 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | 指定介護老人福祉施設基準 第7条第6項・第7項 | 老企第36号 第三の17(3)①ハ |
| 介護老人保健施設(老健) | 介護老人保健施設基準 第8条第6項 | 老企第36号 第三の17(3)①ニ |
| 介護医療院 | 介護医療院基準 第12条第6項 | 老企第36号 第三の17(3)①ホ |
特に注意が必要なのは病院・診療所からの退院ケースです。
この場合は診療報酬の退院時共同指導料2の注3が定める参加要件を満たすカンファレンスへの参加が必要であり、後述のとおり3者以上の機関(3機関以上)という要件が課されています。
特養・老健・介護医療院等の介護保険施設からの退所ケースは、それぞれの施設内会議への参加が要件となります。



退院元が病院か老健かによって参照する根拠条文が異なります。
利用者の退院・退所元を確認してから正しい種別の欄をチェックするようにしましょう。
出典:老企第36号 第三の17(3)①イ〜ホ(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
3者以上は3つの機関を意味する
病院・診療所からの退院時のカンファレンスで最も誤解が多いのが、3者以上の数え方です。
これは3人以上が参加していることを意味するのではなく、3つの機関(事業所)以上から参加者が来ていることを意味しています。
同一機関(同一病院・同一訪問看護ステーション等)に所属する複数の職員が出席していても、その機関は1者としてカウントされます。
さらに間違えやすいのが、退院元の病院は3者の数に含めないという点です。退院元の病院はカンファレンスを開催する側であり、数える対象は退院後の在宅療養を担う側の機関だからです。
在宅主治医・歯科医師・保険薬局の薬剤師・訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所などの中から3者以上が必要になります。
退院前カンファレンスに病院の担当看護師(病院A)、同病院のリハビリ専門職(病院A)、ケアマネジャー(居宅介護支援事業所C)の3名が参加した場合を考えます。
退院元である病院Aは数に含めないため、在宅側は事業所Cの1者だけとなり要件を満たしません。
ここに退院後の在宅主治医(クリニックB)と訪問看護ステーション(ステーションD)が加わると、在宅側はクリニックB・ステーションD・事業所Cの3者となり、要件を満たします。



出席者名簿を見るときは、まず退院元の病院に線を引いて除いてください。残った在宅側の機関名が3つ並んでいるかどうかが、算定できるかの分かれ目です。
なお、病院・診療所からの退院時のカンファレンスで出席者として認められる主な職種は次のとおりです。
退院後の在宅主治医(入院中の主治医と同一人物の場合は不可)・主治の歯科医師・訪問看護ステーションの看護師・居宅療養管理指導を行う薬剤師などが対象として挙げられます。



「入院中の主治医が退院後もそのまま主治医を担当する」場合は要件外になります。在宅復帰後に別の診療所の医師が主治医になるケースで、その医師をカンファレンスに呼ぶ形が理想的です。
出典:老企第36号 第三の17(3)①イ(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
同一機関の複数職員は1者と数える
3者以上という要件自体は国のルールですが、機関をどう数えるかの細部は自治体が補足解釈を公表しています。
例として、宇治市と長岡市が公表している解釈は次のとおりです。
| 出典 | 論点 | 解釈の内容 |
|---|---|---|
| 宇治市Q&A(Q31) | 3者以上の数え方 | 3人ではなく3機関。同一機関の複数職種は1者にカウント |
| 長岡市資料 | 機関カウントの詳細 | 訪問看護ステーションは何名参加でも1者として扱う |
| 長岡市資料 | カウント対象外の機関 | 通所リハ・通所介護の看護職員・リハビリ職員は対象外 |
宇治市のQ&A(Q31)では、訪問看護ステーションの看護師と同ステーションの理学療法士の2名、そしてケアマネジャーの合計3名が参加した場合が想定されています。
訪問看護ステーションは1者とカウントするため2者(訪問看護ステーション+居宅介護支援事業所)にしかならず、3者の要件を満たさないという解釈です。
訪問看護ステーションの理学療法士等のリハビリ専門職も出席者としては対象に含まれますが、同一ステーションであれば看護師と合わせて1者と数えます。
長岡市は関東信越厚生局新潟事務所への確認済みとして、平成30年11月に資料を公表しています。
そこでは通所リハビリテーションや通所介護の看護職員・リハビリテーション職員は、機関のカウント対象から外れるという解釈が示されています。
退院後に通所リハビリを利用予定であり、担当のリハビリ職員がカンファレンスに参加してくれたとしても、その機関は3者にはカウントされません。



退院後に通所リハを使う予定がある場合、担当リハビリ職員をカンファレンスに呼んでも機関のカウントには入りません。要件を満たすには、別の機関(在宅主治医・訪問看護師等)の参加を意識して確保する必要があります!
上記はいずれも各自治体が独自に示した補足解釈であり、全国一律のルールではありません。通所リハや通所介護のスタッフが参加してくれたからカンファレンス要件を満たしたという理解が通用しない保険者もあります。
自事業所の保険者がどのような解釈をとっているかは、直接確認するのが確実です。
出典:宇治市「介護報酬算定等に係るQ&A(事業者向け)【居宅介護支援】」Q31(最終更新R6.7.29)、長岡市「退院・退所加算のカンファレンス要件について」(平成30年11月26日)
ICTを活用した参加も認められる
退院・退所加算における面談(カンファレンスへの参加を含む)は、テレビ電話装置等を活用したICT(情報通信技術)による実施が認められています。
老企第36号 第三の17(2)では、「面談は、テレビ電話装置等を活用して行うことができる」と規定されており、この規定はカンファレンスへの参加を除外していません。情報収集のための個別面談もカンファレンスも、どちらもICTの活用対象です。
同意が必要になるのは、利用者または家族が面談に参加する場合だけです。施設スタッフとケアマネジャーだけで行うオンラインカンファレンスであれば、利用者・家族の同意確認は不要です。
利用者・家族もオンラインで参加するカンファレンスの場合は、事前に同意を確認し、その旨を記録に残しておきましょう。
コロナ禍以降、病院や介護保険施設でのオンライン対応が整いつつあります。移動時間を削減しながらカンファレンス参加回数を増やせれば、より上位の算定区分を狙いやすくなります。
ICT面談を積極的に活用することは、退院・退所加算の算定機会を広げる実務的な選択肢の一つです。
病院から退院後、利用者の自宅が遠方で担当ケアマネジャーが病院まで出向くことが難しい場合を想定します。
病院側がオンライン会議ツールを導入済みであれば、ZoomやTeamsなどを活用したICT面談として情報収集が可能です。利用者・家族が参加しないケアマネジャーと病院スタッフだけの面談であれば、同意取得の手続きも省略できます。



ICT面談を使えば遠方の病院への移動時間がゼロになります。
移動を省いた分、カンファレンスの回数を増やして(Ⅱ)ロや(Ⅲ)を狙いやすくなるので積極的に提案してみてください。
出典:老企第36号 第三の17(2)(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
退院・退所加算で満たすべき参加者要件
カンファレンスに参加したという事実だけでは、算定要件を満たしたことになりません。退院・退所元の種別ごとに、どの立場の人が同じ場にいたのかまで確認する必要があります。
病院からの退院と介護保険施設からの退所では、そろえるべき顔ぶれが根本から異なります。



出欠の確認は、日程を押さえる前にやるのが鉄則です。
開催後に名簿を見て足りないと気づいても、あとから人数を足すことはできません。
病院からの退院は在宅側5者から3機関
病院・診療所からの退院では、退院後の在宅療養を担う側から3機関以上が出席していることが条件になります。出席者として認められる立場は、次の5つに整理できます。
| 出席を依頼する機関 | 出席者の例 | 声をかけるときの注意 |
|---|---|---|
| 在宅療養を担当する医療機関 | 退院後の主治医、看護師 | 入院中と同じ医師では対象外 |
| 歯科医院 | 主治の歯科医師、指示を受けた歯科衛生士 | 退院後に歯科受診がある人は候補 |
| 保険薬局 | 居宅療養管理指導を行う薬剤師 | 訪問予定の薬局に事前打診 |
| 訪問看護ステーション | 看護師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 准看護師のみの出席は対象外 |
| 居宅介護支援事業所 | 担当する介護支援専門員 | 自事業所も1機関として数える |
この5つのうち3つ以上から出席者がそろえば、要件を満たします。開催側である退院元の病院は数に入らないため、実質的に確保すべきは自事業所以外の2機関です。
担当ケアマネジャーである自事業所を1機関目と数え、残り2機関をどこから確保するかを先に決めておくと調整が早くなります。
訪問看護ステーションから看護師と理学療法士が2名出席しても、同じステーションであれば1機関のままです。



在宅主治医と訪問看護ステーションの2つを押さえるのが、いちばん現実的な組み方です。
歯科や薬局は退院後の利用予定がはっきりしている人に限られるため、当てにしすぎないほうが安全です。
出典:老企第36号 第三の17(3)①イ(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
介護保険施設は本人か家族の同席が必須
特別養護老人ホームや老健などの介護保険施設からの退所では、機関の数ではなく参加者の構成が問われます。
解釈通知は4種別すべてについて、施設に置くべき従業者・入所者本人またはその家族が参加する会議に限ると定めています。
| 退所元の施設 | 施設側から参加する職員 | 利用者側 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 地域密着型介護老人福祉施設 | 医師、生活相談員、介護職員、看護職員、栄養士または管理栄養士、機能訓練指導員、介護支援専門員 | 入所者本人または家族 | 老企第36号 第三の17(3)①ロ |
| 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | 医師、生活相談員、介護職員、看護職員、栄養士または管理栄養士、機能訓練指導員、介護支援専門員 | 入所者本人または家族 | 同ハ |
| 介護老人保健施設(老健) | 医師、薬剤師、看護職員、介護職員、支援相談員、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、栄養士または管理栄養士、介護支援専門員 | 入所者本人または家族 | 同ニ |
| 介護医療院 | 医師、薬剤師、看護職員、介護職員、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、栄養士または管理栄養士、介護支援専門員 | 入所者本人または家族 | 同ホ |
表に挙げた職員は、各施設の人員基準で配置が定められた職種です。この全員がそろう必要はなく、施設側の職員が出席していれば要件としては足ります。
一方で、利用者側の参加は代替がききません。施設の職員とケアマネジャーだけで行った打ち合わせは、人数が何人いてもカンファレンスとして認められません。
老健の退所前カンファレンスに、施設の支援相談員と介護支援専門員、担当ケアマネジャーの3名が出席したとします。職種はそろっていますが、入所者本人も家族も参加していないため、この会議では退院・退所加算のカンファレンス要件を満たしません。家族が遠方で来所が難しい場合は、テレビ電話装置等を使った参加でも要件を満たせます。その際は、事前に本人または家族から活用への同意を得ておく必要があります。



日程調整では、まず家族の都合を先に押さえてください。
施設の職員は院内で調整できますが、家族の予定だけは後から差し替えがききません。
出典:老企第36号 第三の17(3)①ロ〜ホ(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
福祉用具の貸与見込みは相談員も対象
5種別すべてに共通する求めとして、退院・退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合の扱いが定められています。
この場合は必要に応じて、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加することとされています。
手すりや介護用ベッド、車いすの検討が想定される利用者では、招集リストに福祉用具貸与事業所を入れておきましょう。
退院後に住宅改修や福祉用具の選定でつまずくケースは多く、退院前の段階で専門相談員が状況を把握できる意味は大きくなります。
ただし、病院・診療所からの退院では、この参加が3機関のカウントを助けるわけではありません。
3機関の充足は、在宅療養を担う医療機関・歯科・保険薬局・訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所の5者で確認してください。



福祉用具専門相談員は、要件の数合わせのためではなく退院後の生活を早く安定させるために呼ぶ相手です。
機関数のカウントとは切り離して考えると、招集の判断で迷わなくなります。
出典:老企第36号 第三の17(3)①イ〜ホ(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
退院・退所加算の収益シミュレーション


退院・退所加算は1回あたりの単位数が450〜900単位と比較的大きく、月間の算定件数が増えるほど年間収益への貢献が鮮明になります。
算定区分を(Ⅱ)ロ(750単位)に引き上げるだけで、同じ件数でも年間単位数は(Ⅰ)イ(450単位)の約1.67倍になります。
算定件数が増えるほど年間収益が伸びる
月間の算定件数と区分の組み合わせによる年間単位数の試算を示します。
| 月間算定件数 | 主な算定区分 | 1件あたり単位数 | 月間合計単位数 | 年間合計単位数 |
|---|---|---|---|---|
| 5件 | (Ⅰ)イ中心 | 450単位 | 2,250単位 | 27,000単位 |
| 5件 | (Ⅱ)ロ中心 | 750単位 | 3,750単位 | 45,000単位 |
| 10件 | (Ⅱ)ロ中心 | 750単位 | 7,500単位 | 90,000単位 |
| 10件 | (Ⅲ)中心 | 900単位 | 9,000単位 | 108,000単位 |
※算定区分は毎月一定ではなく、利用者の状況によって変わります。上表は区分が毎月同じだった場合の試算です。
(Ⅰ)イ(450単位)中心と(Ⅱ)ロ(750単位)中心では、同じ5件でも年間27,000単位と45,000単位という差が生まれます。
カンファレンスへの参加を増やして2回以上の情報収集を組み合わせることで、区分が(Ⅱ)ロ以上になると年間の単位数は約1.67倍になります。
利用者40名を担当する居宅介護支援事業所で、毎月平均8件の退院・退所タイミングがあると仮定します。このうち5件でカンファレンスに参加し情報収集2回以上で(Ⅱ)ロ(750単位)、残り3件が情報収集1回のみで(Ⅰ)イ(450単位)だった場合、月間合計は750×5+450×3=5,100単位です。
年間では61,200単位になります。
1単位あたり10.00〜11.40円の地域区分を前提にすると、年間で約61万〜70万円程度の加算収益となります(地域区分によって異なります)。
カンファレンスへの参加率を高めて(Ⅱ)ロ以上の件数を増やすことが、収益最大化に最も直結します。
出典:WAM NET 令和6年6月改定箇所 単位数表(老企第36号 ヘ 退院・退所加算)
地域区分で1単位の単価が変わる
退院・退所加算の単位数が同じでも、事業所が所在する地域によって1単位あたりの単価が異なります。
居宅介護支援には地域区分が設定されており、地価や物価が高い都市部ほど1単位あたりの単価が高く設定されています。居宅介護支援の1単位あたりの単価は、地域区分の等級によって概ね10.00〜11.40円の範囲に収まります。
東京都特別区等の高コスト地域(1級地)が最も高く、地方の小規模市町村(その他)が最も低い単価です。
居宅介護支援は人件費割合70%の区分に属し、1級地の上乗せ割合20%を反映すると10円×1.14=11.40円という計算になります。
自事業所の地域区分は、都道府県・市区町村が公表している介護報酬の地域区分一覧や、国民健康保険団体連合会の各種資料で確認できます。
出典:社会保障審議会介護給付費分科会(第224回)資料6「地域区分」(厚生労働省老健局)、厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年厚生労働省告示第93号・厚生労働省法令等データベース)
同じ(Ⅱ)ロ(750単位)を算定した場合でも、10.00円の地域なら7,500円、11.40円の地域なら8,550円と1,050円の差が出ます。
年間で100件算定するとすれば、地域区分の違いだけで年間105,000円の差になります。自事業所の地域区分に合わせた単価で収益を計算してください。



自事業所の地域区分を知らずに収益計算している方は多いです。
都道府県や国保連の資料で確認しておくと、今後の試算がより正確になります。
退院・退所加算を起点にした医療連携のメリット
退院・退所加算を算定するためにカンファレンスへ参加したり、情報収集のために病院や施設を訪問したりする行為は、収益を得るためだけの業務ではありません。
病院の担当者との人間関係を積み重ねていく行為でもあります。



算定のためだけと思って参加するのと、関係構築の機会と意識して参加するのでは、現場での印象が変わります。退院・退所加算の算定は、医療連携の第一歩として捉えてみてください。
カンファレンスが医療機関との接点になる
退院前カンファレンスは、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが病院スタッフと同じ場に立つ数少ない機会です。
特に、病院の医療ソーシャルワーカーや退院調整看護師は、退院患者の在宅生活を支援するために信頼できる居宅介護支援事業所を常に探しています。
カンファレンスで一度顔と名前を覚えてもらい、退院後のケアプラン作成・サービス調整の速さや丁寧さを見てもらうことが、次の担当依頼につながる接点になります。典型的には次のような流れが起きます。
| ステップ | 起きること |
|---|---|
| 1 | 退院前カンファレンスで医療ソーシャルワーカー・退院調整看護師と初対面 |
| 2 | 退院後のケアプラン・サービス調整が速く丁寧だと評価される |
| 3 | 病院内であの事業所に任せると安心という評判が立つ |
| 4 | 医療ソーシャルワーカーから次の退院患者の担当をお願いしたいと声がかかる |
| 5 | 退院・退所加算の算定件数が増え、連携実績が積み上がる |
このサイクルが機能し始めると、算定件数の増加と新規利用者の紹介が同時に増えていきます。退院・退所加算を正確に算定することは、加算収益だけでなく事業所の信頼と紹介ルートの構築にも直結しています。



退院前カンファレンスに顔を出すケアマネジャーは、病院側から見ると「頼れる人」として記憶に残ります。加算の算定だけでなく、次の紹介につながる投資だと思って積極的に参加してください。
35回以上の連携実績が上位加算に直結する
退院・退所加算に係る病院等との連携実績を1年以上積み重ねると、特定事業所医療介護連携加算(月+125単位)の算定要件の一つを満たせるようになります。
特定事業所医療介護連携加算の実績要件は、評価対象期間(算定年度の前々年度3月から前年度2月まで)において、退院・退所加算に係る病院等との連携を35回以上行っていることです(老企第36号 第三の15(2)ア)。
月平均で約3件(3回)の退院・退所連携があれば、1年間で36件となり35回以上の実績要件を満たせます。
退院・退所加算を月3件以上算定している事業所であれば、特定事業所医療介護連携加算の実績要件は段階的に積み上がっていきます。
令和7年3月から令和8年2月まで毎月3〜4件の退院・退所加算を算定した場合、年間合計で36〜48件の連携実績が積み上がります。この期間が令和8年度に算定する場合の評価対象期間(前々年度3月〜前年度2月)にあたるため、35件以上あれば令和8年度から特定事業所医療介護連携加算を申請できます。



退院・退所加算の算定記録は、特定事業所医療介護連携加算の申請根拠にもなります。記録を捨てずに保管しておくことが、将来の加算申請への最短ルートです。
特定事業所医療介護連携加算(125単位/月)を10.00〜11.40円の単価で換算すると、月額1,250〜1,425円程度、年間では15,000〜17,100円程度の上乗せになります(地域区分による)。
退院・退所加算の積み重ねが、上位加算の申請へ自動的につながる設計になっています。
出典:老企第36号 第三の15(2)ア(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
まとめ
退院・退所加算は情報収集の回数とカンファレンス参加の有無によって5区分(450〜900単位)に分かれ、令和6年度改定でも単位数・区分に変更はありませんでした。
カンファレンス要件でとくに注意が必要なのは、3者以上は3機関以上を意味するという数え方です。同一機関の複数職員が参加しても1者であり、通所リハや通所介護のスタッフは機関にカウントされません。
病院・診療所からの退院時は、退院後の在宅主治医・歯科医師・訪問看護師・薬剤師のうち少なくとも2機関以上とケアマネジャーを合わせた3機関以上の参加が必要です。
また退院・退所加算の月間の算定件数を増やすほど年間収益への貢献が大きくなることはもちろん、さらに年間35回以上の連携実績が特定事業所医療介護連携加算(月+125単位)の申請につながります。



退院・退所加算を着実に算定することで、特定事業所医療介護連携加算などの上位加算を算定できるようになっていく仕組みです!
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