デイサービスのSNSでよく発信されるネタ5選|注意点も解説

デイサービスのSNS活用は、目的を絞らないまま始めると効果が見えにくい媒体です。

キャリアアドバイザー時代に、求職者から何度も同じ言葉を聞きました。「紹介いただいた施設ですけど、ホームページのURLを送ってもらえますか?自分でも一度確かめてから決めたいので」というものです。

施設を探して発見するためではなく、紹介を受けた後に確かめるためでした。

この構造は、利用者の家族が施設を選ぶときも変わりません。「SNSをやれば利用者が増える」という理解は、半分は正しく半分はずれています。

本記事では、高齢者向けの通所介護(デイサービス)に対象を限定して整理します。

また、令和7年4月からはウェブサイトへの重要事項掲載が義務になっており、SNSより先に片づける制度上の義務があります。後半で詳しく解説します。

目次

デイサービスがSNSを使う目的

デイサービスがSNSを使う4つの目的を「新規に出会うためのグループ(利用者を増やすための発信・求職者に向けた職場の紹介)」と「すでに接点のある人に確かめてもらうためのグループ(家族への日々の様子の共有・地域からの親しみづくり)」の2群に分けて対比した図解

通所介護の事業所数は24,585を数えており、その55.0%は営利法人(会社)が運営しています。競合が多い中で、情報発信の必要性は感じていても、目的を整理しないまま始めている事業所は少なくありません。

デイサービスがSNSを使う目的は、大きく2つのグループに分けられます。

  • 新規に出会うためのグループ:利用者を増やすための発信、求職者への職場紹介
  • すでに接点のある人に確かめてもらうためのグループ:家族への様子の共有、地域からの親しみづくり

出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査(令和6年)」

利用者を増やすための発信

稼働率が下がった、空き枠が埋まらないという状況から、SNSを始める事業所があります。

ぺんすけ

稼働率の改善にSNSを使っても、利用者の選択はケアマネジャーを経由します。SNS発信の効果は、紹介を受けた後に確かめてもらう段階で現れます。

デイサービスの集客の実態については、デイサービスの集客で成果を出す方法で整理しています。

求職者に向けた職場の紹介

採用に困っている事業所が、職場の雰囲気や一日の業務の流れをInstagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)で発信する使い方です。

求職者が応募前に職場を確かめる材料として機能することを期待しています。

ぺんすけ

求職者がSNSで確かめるのは、応募前に職場の雰囲気を知りたいからです。求人票を見てから確認しに来る、という動線が多いです。

家族への日々の様子の共有

送り出した後、デイサービスで何をしているか分からない家族は少なくありません。

レクリエーションの写真や食事の様子を定期的に投稿することで、家族の安心感を高める目的です。

地域からの親しみづくり

地域住民に事業所の存在を知ってもらい、介護が必要になったときの相談先として認知してもらうための発信です。地域密着型通所介護を運営している事業所では、地域との接点づくりは優先度の高い発信目的です。

地域の小学校との交流イベントをFacebookで継続発信した事業所では、
見学に来た家族から「ずっと投稿を見ていたので施設の雰囲気がわかりました」と言われることが増えました。
紹介を受けた後に確かめる段階でSNSが機能した例です。

デイサービスのSNS活用の実態

ケアマネジャーの紹介と求人媒体が入口、ホームページとSNSが確認装置という役割分担を示した図解。ホームページが確認の主役でSNSは補助にあたる

SNSは新しい利用者を呼び込む集客ツールとして統計上の効果が確認されている媒体ではありません。

すでに接点がある家族や求職者が確かめる場面で機能します。以下の3つの統計データがこの実態を裏づけています。

利用先を決めているのはケアマネジャー

デイサービスを利用する際、どの施設を使うかは居宅介護支援事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)が大きく関わります。

SNSを見て本人や家族が直接施設を選ぶケースは、ケアマネジャーが関与する制度の構造上、多くはありません。SNSの投稿が単独で利用の決め手になることは考えにくい仕組みです。

ケアマネジャーへの営業については、デイサービスのケアマネ営業で紹介を増やす方法で詳しく整理しています。

ぺんすけ

ケアマネジャーへの営業と並行してSNSを発信している事業所は少なくありません。SNSが紹介の直接のきっかけになることは稀ですが、「見たことのある施設」という認知が営業訪問時の印象に影響することはあります。

SNSで就職を決めた人は0.1%

「令和6年度介護労働実態調査」(介護業界全体・有効回答21,325名)によると、現在の法人に就職したきっかけが「法人又は施設・事業所が発信するSNS」だった人は26名・0.1%でした。

回答数50未満の参考値ですが、就職の入口としてのSNSの小ささは伝わります。

比較として、就職のきっかけの上位は次のとおりです。

きっかけ人数割合
友人・知人からの紹介7,621名35.7%(最多)
法人・施設・事業所のホームページ443名2.1%
法人・施設・事業所が発信するSNS26名0.1%

参考値ではありますが、就職のきっかけとしてSNSを挙げた人は0.1%にとどまります。

出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」

SNSの効果を実感した事業所は6社に1社

同調査では、採用活動の取り組みと効果実感が9項目で調査されています。

以下は9項目のうち主な4項目を抜粋したものです。

採用活動の取り組み実施率効果実感
友人・知人への紹介依頼65.6%46.0%
ハローワーク・福祉人材センターへの相談66.9%40.1%
事業所ホームページ37.2%21.3%
SNSで求職者へ発信14.8%16.8%

SNSで求職者へ発信した事業所は14.8%、効果実感は16.8%で、いずれも9項目中最下位でした。

事業所ホームページはSNSより実施率・効果実感ともに上回ります。ホームページがきっかけで就職した中途採用者の65.4%が「今の事業所で働き続けたい」と答えており、中途採用者全体の53.3%を12ポイント上回ります。
SNSが新規入口として機能しにくい一方で、ホームページを見て入職した人の定着意向が高い傾向がこの数字に現れています(因果関係は現時点で確認できませんが、ホームページの役割を示す参考指標です)。

データによれば、SNSは採用の新規入口としての機能が統計上は確認できません。むしろすでに接点がある家族や求職者が確かめる場面で機能する媒体です。

出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」

デイサービスのSNSでよく発信されている内容

デイサービスの5つの発信題材が届きやすい相手を経てFacebook・Instagram・LINEに収束する一方、空き状況と見学の案内だけはSNSではなくホームページへ届くことを線で結んだ対応マップ

何を投稿するかを考える前に、届く相手の年代を確認しておきます。

総務省情報通信政策研究所の「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(令和8年6月公表・N=1,800)では、媒体別の年代別利用率が把握できます。

表①:主要媒体の年代別利用率

媒体60代の利用率70代の利用率
LINE92.0%77.8%
YouTube72.6%48.5%
Instagram36.1%15.8%
Facebook22.6%12.5%
X(旧Twitter)24.8%10.8%
TikTok21.2%11.1%

デイサービスの主な利用者は70代以上です。LINEの70代利用率は77.8%で、家族への連絡窓口として最も広く普及している媒体です。

Instagramの70代利用率は15.8%で、LINEの77.8%と60ポイント以上の差があります。Instagramで利用者集客を狙う媒体選択は、届く相手の年代と合っていない可能性があります。

一方、Instagramの20代利用率は82.6%・30代は76.6%です。求職者への発信に限れば、Instagramは有効な媒体です。

ぺんすけ

媒体を選ぶ基準は使いやすさではなく、宛先の年代です。利用者の家族へ届けたいならFacebook・LINE、求職者へ届けたいならInstagramが現実的な選択肢です。

表②:発信題材と届きやすい相手・相性のよい媒体

題材届きやすい相手相性のよい媒体
レクリエーション・機能訓練の様子家族・同業者Facebook・Instagram
季節の行事とイベントの記録家族・地域Facebook・LINE
昼食とおやつの献立家族Facebook・LINE
働く職員の紹介求職者Instagram
空き状況と見学の案内ケアマネジャー・家族ホームページ優先

出典:総務省情報通信政策研究所「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

レクリエーションと機能訓練の様子

実際に運用されているデイサービスのアカウントで最も多い題材です。レクリエーションの写真は楽しそうな雰囲気を家族に伝える役割を果たします。

機能訓練(リハビリ)の内容まで見せると、レクリエーション中心の事業所との違いが伝わります。

届く相手は主に家族です。

ぺんすけ

機能訓練の投稿は何をやっているかだけでなく、どのような変化があったかまで書くと、家族に届く内容になります。

季節の行事とイベントの記録

お正月・ひな祭り・夏祭りなどの行事は、月1〜2回の投稿の山場として使えます。地域住民に施設の存在を知ってもらう機会でもあります。

利用者が写る写真が多くなる枠でもあるため、同意の確認が最も必要になる投稿題材です。

昼食とおやつの献立

家族が関心を持ちやすい題材です。手作り料理・行事食・季節メニューは、反応が伸びやすい傾向があります。

ぺんすけ

献立の投稿は利用者が写らないため、同意の手続きが不要で投稿しやすい題材でもあります。

働く職員の紹介

求職者へ届ける目的では、最も反応が得やすい題材です。Instagramの20代利用率82.6%・30代76.6%が示すとおり、求職者の年代に届く媒体で投稿する意味があります。

採用後の早期離職を招く原因のひとつが、入職前のイメージと実態のズレです。
職員紹介の投稿で一日の業務の流れや入職1年目の正直な感想を出すと、ズレを事前に減らせます。
キャリアアドバイザー時代に面談した介護経験者は、デイサービスを検討するときにレクの企画をどのくらい担当するのかを必ず気にしていました。「レクは月2回、ローテーション担当制です」といった一行を投稿に添えるだけで、経験者が持つ具体的な不安を先回りして消せます。

空き状況と見学の案内

「いいね」やコメントといったSNS上の反応は伸びにくい題材ですが、問い合わせに直結します。

空き状況の見せ方については、デイサービスの空き状況の見せ方とテンプレートを参考にしてください。

デイサービスでSNSを活用するときの注意点

投稿前に潰しておく3つの注意点(写真・記録・表現)と、それぞれの根拠が法令上の制約か実務上の推奨かを対応させた図解

SNSの運用で事後に対応が難しくなりやすい注意点は3つです。

注意点問題になること
写真本人の同意がないと載せられない
記録口頭の同意では取り消しに対応できない
表現できないことを書くと広告の制限に触れる

どれも後から直しにくい性質を持っています。投稿を始める前に整理しておきましょう。

写真は本人の同意がないと載せられない

個人を識別できる写真は個人情報に当たります。個人情報保護委員会・厚生労働省のガイダンスに関するQ&A(Q4-15)は次のように述べています。

写真についても、個人を識別できるものであれば個人情報に当たります。したがって、ホームページや機関誌への掲載、施設内への展示等を通じ、当該写真を第三者の閲覧に供するに際しては、本人の同意を得る必要があります。

SNSへの投稿は同ガイダンスが定める第三者への閲覧提供に当たるため、本人の同意が必要です。認知症のある方については、家族への確認も含めて対応を検討します。

出典:個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」Q&A Q4-15

口頭の同意では取り消しに対応できない

同意書(SNS掲載同意書)を作成しておきましょう。書面での同意取得は指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)が直接義務づけているものではありませんが、取り消しや後日のトラブルに対応するための実務上の推奨です。

口頭での同意は後から食い違いが起きやすく、取り消しの申し出があったときにも文書がなければ対応が困難です。

口頭で同意を得て半年後、ご家族から載せた覚えはないという申し出が来ることがあります。投稿を削除しても、スクリーンショットが拡散していた場合は取り消せません。同意書に削除依頼窓口を明記しておくと、申し出があったときに速やかに対応できます。

同意書に記載する主な項目

項目記載内容の例
掲載先の媒体名施設公式Instagram・Facebook・公式ホームページ 等
掲載期間掲載日から◯年間、または削除依頼を受けるまで
二次利用の可否他媒体への転載・印刷物への使用を認めるか否か

同意書の様式は法令で定められた書式がありません。事業所ごとに作成し、顧問弁護士または指定権者(都道府県・政令市の介護保険担当部署)に書式を確認することを勧めます。

顧問弁護士がいない小規模事業所は、介護業界の業界団体が公開する雛形様式を参考にする方法もあります。

できないことを書くと広告の制限に触れる

SNSの投稿も広告として扱われます。指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)第34条は「広告をする場合においては、その内容が虚偽又は誇大なものであってはならない」

と定めており、同条は第105条により通所介護に準用されます。

「認知症の方が改善した事例あり」「必ず在宅復帰できます」のような表現は、根拠なく書くと虚偽・誇大広告とみなされる可能性があります。

ぺんすけ

実績として書けることだけを、裏づけのある言葉で投稿しましょう。
根拠のない能力・効果の断言は広告違反になり得ます。

出典:指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)第34条・第105条

SNS運用より先にやるべき重要事項の掲載義務とは

SNSの運用より先に、事業所には片づけておくべき制度上の義務があります。

指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)第32条第3項(第105条で通所介護に準用)は、事業所に対し「原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならない」と定めています。

重要事項には運営規程の概要・職員の勤務体制・利用料金など、サービスの内容と費用に関する情報が含まれます。

以前は経過措置があり、改正省令附則第2条によって令和7年3月31日までは義務ではありませんでした。令和7年4月1日をもって経過措置が終了し、ウェブサイトへの掲載が義務になっています。

介護施設の重要事項説明書をネット公表しないとどうなるのか、については以下の記事で詳しく解説しています。

重要事項説明書の掲載場所について

厚生労働省の通知(介護保険最新情報Vol.1213)では、ウェブサイトの定義を次のように示しています。

ウェブサイトとは、法人のホームページ等又は介護サービス情報公表システムのことをいう

重要事項には定期的に更新が必要な情報が含まれます。SNSのタイムラインに流してしまうと古い投稿が残り続けるため、法人のホームページに専用ページを設けてSNSから誘導する形が管理しやすいです。

ホームページをまだ持っていない事業所は、介護サービス情報公表システム(各事業所の情報を都道府県が公表する仕組み)への掲載を先に済ませることが現実的な第一手です。

ぺんすけ

まず法人のホームページで重要事項を掲載し、SNSは確かめてもらうための補完媒体として
位置づけるのが、着手順として無理がありません。

出典:指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)第32条・第105条厚生労働省老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」介護保険最新情報Vol.1213(令和6年3月15日)

よくある質問

職員が個人のアカウントで事業所のことを投稿してもよいですか?

事業所の公式アカウントとは別に、職員個人のアカウントで投稿する場合は慎重な対応が必要です。指定居宅サービス等基準第33条(第105条で通所介護に準用)は従業者本人に秘密保持義務を課しており、業務上知り得た利用者の情報を漏らすことを禁止しています。
就業規則にSNS利用のルールを明記し、入職時の研修で説明することが現実的な対策です。

事業所の公式アカウントは何人で回すのがよいですか?

撮影する人と投稿する人を分けると負担が分散します。1人で全てを担う体制は、その担当者が退職したときに更新が完全に止まるリスクがあります。最低2名が内容を確認できる体制を作り、投稿前のチェックルールも合わせて決めておくことを勧めます。

まとめ|デイサービスがSNSに手をつける順番

この記事で整理した内容を、着手の順番でまとめます。

  1. 令和7年4月から義務になったウェブサイトへの重要事項掲載を先に済ませる
  2. 4つの目的(利用者集客・採用・家族への共有・地域の親しみ)から自事業所の優先順位を1つ選ぶ
  3. 写真の同意書の作成・同意の取得・広告表現の確認という3つの注意点を整える
  4. 宛先に合った題材と媒体でSNS投稿を始める

SNSは統計上、新しい人を呼び込む入口としての効果は低い媒体です。しかし、すでに接点がある家族や求職者が確かめる場面では機能します。宛先を決めてから始めれば、更新が途中で止まることも減ります。

ぺんすけ

ホームページで重要事項の掲載義務を満たしてから、SNSで家族や求職者に向けて発信しましょう。この順番を守るだけで、運用の方向性が迷わなくなります。

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この記事を書いた人

レバウェル介護にて約2年間、介護業界専門のキャリアアドバイザーとして従事。これまでに300名以上の介護士の転職面談を担当。また介護施設への人材派遣を通じて採用側の課題解決にも従事。このような実務経験をもとに、介護事業者・求職者双方にとって信頼性の高いWeb制作を行っています。

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