デイサービスの中重度加算とは?算定要件3つと単位数を解説

「デイサービス 中重度加算」という通称で検索しても、正式な制度名や要件になかなかたどり着けないことがあります。

この加算の正式名称は中重度者ケア体制加算で、看護・介護職員の加配と専従看護職員の配置という、性質の違う2種類の人員体制が土台になっています。

加配2名分の常勤換算と専従看護職員の勤務時間を混同する数え違いは、実務でつまずきやすい落とし穴です。

単位数・算定要件・通所リハビリテーションとの違い・届出手続きまでを、一次情報にもとづいて順番に整理します。

目次

デイサービスの中重度加算とは

中重度加算は、要介護3以上の利用者を積極的に受け入れる体制を評価する加算です。デイサービスで算定できる加算のひとつで、ほかの加算との位置づけはデイサービスの加算一覧で確認できます。

通称は「中重度加算」ですが、公的な通知では「中重度者ケア体制加算」という正式名称で規定されています。

まず、通称と正式名称の対応、対象サービスと単位数を確認します。

正式名称は中重度者ケア体制加算

中重度加算の正式名称は、中重度者ケア体制加算です。

要介護3・4・5の利用者に対応できる看護・介護職員の体制を整えている通所介護事業所を評価する加算で、利用者本人への直接的な処遇改善ではなく、事業所の人員体制そのものを評価する仕組みになっています。

老企第36号(留意事項通知)の中重度者ケア体制加算の項(7⑼)に、加算の趣旨と3つの算定要件が定められています。

ぺんすけ

制度を調べ直すときは「中重度者ケア体制加算」という正式名称で検索すると、厚生労働省の資料にたどり着きやすくなります。

単位数は45単位/日・通所介護限定

中重度加算の単位数は、1日につき45単位です。

この45単位は通所介護(デイサービス)向けの単位数で、同じ名称の加算でも通所リハビリテーション(デイケア)は20単位と異なります。

両者の違いは、後述の「通所リハビリテーションとの違い」で単位数と人員基準の両方から比較します。

地域密着型通所介護でも、通所介護と同額の45単位が設定されています。

ぺんすけ

45単位と聞くと小さく感じますが、通所リハビリテーションの20単位と比べると2倍以上の差があります。

中重度加算の算定要件は3つ

中重度加算を算定するには、人員体制に関する3つの要件をすべて満たす必要があります。

押さえておきたいのは、性質の異なる体制を同時に整える必要があるという点です。まず早見表で3要件を確認し、それぞれの中身をひとつずつ見ていきます。

要件内容
①人員の加配看護・介護職員を、指定基準の員数に上乗せして常勤換算2人分以上配置する
②利用者割合要介護3・4・5の利用者を、利用実人員数または利用延人員数で30%以上受け入れる
③専従看護職員サービス提供中は常に専従の看護職員を1名以上置く(送迎・生活相談員などとの兼務は不可)

自分の事業所が3つとも満たしているかは、次の順に「はい/いいえ」で確かめられます。

中重度加算の算定要件3つ(加配2名以上・要介護3以上30%以上・専従看護職員1名以上)をはい/いいえで順に確認し、すべてはいなら45単位を算定できるフローチャート
ぺんすけ

私はキャリアアドバイザー時代に、多くのデイサービスやグループホームの人員体制を見てきました。
そこで感じたのは、人員に余裕がある施設ほど現場にゆとりが生まれ、スタッフの定着にもつながっているということです。
加配2名・専従1名という中重度加算の人員要件は、単なる書類上の数字ではなく、実際に現場の安心感を左右する投資でもあります。

ここでは、3つの要件を順に紹介します。

看護・介護職員を基準より2人分多く配置する

看護職員または介護職員を、指定基準(指定居宅サービス等基準第93条第1項)が定める員数に加えて、常勤換算で2人分以上を上乗せして配置することが1つ目の要件です。

常勤換算方法とは、暦月ごとの勤務延時間数を、事業所の常勤職員が勤務すべき時間数で割って算出する数え方です。

常勤換算の値は小数点第2位以下を切り捨て、サービス提供時間の前後に延長加算のために配置する職員の勤務時間は、この計算には含めません。

要介護3以上の利用者を30%以上受け入れる

2つ目の要件は、要介護3・4・5である利用者の割合が30%以上であることです。

割合は、前年度(3月を除く)または届出日が属する月の前3月の1か月あたりの実績の平均を使い、利用実人員数または利用延人員数のどちらかで計算します。要支援者は、この人員数には含めません。

具体的な計算方法は、次の見出し「要介護3以上30%の計算方法」で数値例とともに確認します。

専従の看護職員を1名以上配置する

3つ目の要件は、サービスを提供している間は常に、専従の看護職員を1名以上置いておくことです。

専従とは、他の職務と兼務させないという意味で、送迎や生活相談員の業務を兼ねさせることはできません。ここで見落としやすいのが、1つ目の要件(加配2名以上)との数え方の違いです。

専従で配置する看護職員の勤務時間は、加配2名分の常勤換算を計算する際の勤務時間数には含められません。

加配2名分の常勤換算枠と専従看護職員1名は別枠で、勤務時間を合算できないことを示す配置イメージ図

ある事業所で、看護職員Aさんを中重度加算の専従(提供時間帯を通じて配置する看護職員)とし、Aさんの勤務時間をそのまま加配2名分の常勤換算にも合算したとします。
この場合、Aさんの時間は加配2名分の計算からは除く必要があるため、残りの職員だけで常勤換算2以上を満たしているかを、あらためて確認しなければなりません。
専従の看護職員とは別に看護職員を配置している場合は、その職員の勤務時間数であれば常勤換算の計算に含めることができます。

ぺんすけ

加配2名と専従1名は、似ているようで数え方がまったく別物です。混同しないよう、常に別枠で管理しましょう。

要介護3以上30%の計算方法について

要介護3以上30%の要件は、利用実人員数と利用延人員数のどちらか一方で30%以上を満たせば算定できます。

ここでは、平成27年度介護報酬改定に関するQ&Aが示す設例をもとに、実際の数え方を3つの順で紹介します。

利用実人員数で計算する

利用実人員数は、対象の3か月間に利用した人を重複させずに数える方法です。

平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(問31)の設例では、要支援者を除いた利用者27人のうち、要介護3以上の利用者は12人でした。

12人を27人で割ると約44.4%となり、30%以上の要件を満たします。

区分人数割合
利用者全体(要支援者を除く)27人–
要介護3以上の利用者12人約44.4%

利用延人員数で計算する

利用延人員数は、同じ利用者が複数日利用した場合を、利用のたびに数える方法です。

同じ設例で3か月間の延べ利用者数は251人(1月82人・2月81人・3月88人の合計)、うち要介護3以上の延べ数は148人でした。

148人を251人で割ると約58.9%となり、こちらの数え方でも30%以上を満たします。

区分人数割合
延べ利用者数(3か月合計)251人–
要介護3以上の延べ数148人約58.9%

月途中の区分変更は月末時点で数える

利用実人員数で計算する場合、月の途中で要介護状態区分や認知症高齢者の日常生活自立度が変わったときは、月末時点の区分・自立度を使って数えます。

月の前半と後半で区分が違う利用者がいても、どちらか一方の数え方に統一する必要はなく、月末の状態で判定する点だけを押さえておけば足ります。

ある利用者が月の途中で要介護2から要介護3に区分変更になった場合、その月の利用実人員数を数えるときは、月末時点の要介護3として数えます。
逆に要介護3から要介護2に下がった月も、同じく月末時点の区分(要介護2)で数えるため、月内で区分変更が複数回あっても判定に使うのは最後の状態だけです。

ぺんすけ

どちらの数え方を使うかは事業所の自由です。実績が近い割合の場合、両方で計算して有利な方を使ってもかまいません。

通所リハビリテーションとの違い

「デイケア 中重度加算」で検索してこの記事にたどり着いた場合は、注意が必要です。

通所リハビリテーション(デイケア)にも同名の中重度者ケア体制加算がありますが、単位数と必要な人員加配数が通所介護とは異なります。

項目通所介護(デイサービス)通所リハビリテーション(デイケア)
単位数45単位/日20単位/日
人員の加配常勤換算2以上常勤換算1以上
計画の名称社会性の維持等を図るケアの計画リハビリテーションの計画

単位数は通所介護45単位・通所リハ20単位

通所介護の中重度加算は45単位/日、通所リハビリテーションの中重度加算は20単位/日です。

同じ名称の加算でも、対象サービスによって単位数が半分以下になるため、検索した通称だけで自分の事業所の単位数を判断しないよう注意しましょう。

加配数は通所介護2名・通所リハ1名以上

人員加配の要件も、通所介護は常勤換算2以上、通所リハビリテーションは常勤換算1以上と異なります。

老企第36号は通所リハビリテーションの項で「通所介護と同様であるので、7⑼を参照されたい。ただし『常勤換算方法で2以上』とあるものは『常勤換算方法で1以上』と…読み替えること」と定めています。

単位数だけでなく、加配人数まで通所介護より軽い基準になっています。

ぺんすけ

通所リハビリテーションの中重度加算は、単位数だけでなく必要な人数まで軽い基準になっている点は、意外と見落とされがちです。

「デイケア 中重度加算」を検索して通所介護の内容だと思い込み、45単位・加配2名以上の基準で届出書類を準備してしまうケースがあります。
実際の通所リハビリテーション側は20単位・加配1名以上という別の基準のため、書類の記載内容が実態と食い違ってしまいます。

中重度加算と認知症加算の併算定

中重度加算は、認知症加算とあわせて算定できます。

ただし、加配2名以上という要件は両方の加算で共有できる一方、専従で配置する1名だけは加算ごとに別の人が必要になるという、共有できる部分とできない部分が混在しています。

認知症加算とはあわせて算定できる

老企第36号(留意事項通知)は、以下と定めています。

中重度者ケア体制加算については、事業所を利用する利用者全員に算定することができる。また、認知症加算の算定要件も満たす場合は、中重度者ケア体制加算の算定とともに認知症加算も算定できる

中重度加算と認知症加算は、それぞれ別々の要件を満たせば独立して算定できる加算です。

専従の人員だけは加算ごとに別配置が必要

看護・介護職員を常勤換算2以上確保するという加配の要件は、中重度加算と認知症加算で共通しており、事業所として2以上を確保していれば両方の加算で満たしたことになります。

合計4名以上をあらたに確保する必要はありません。一方で、専従で配置する1名は加算ごとに別の人が必要です。

中重度加算の専従看護職員は他の職務と兼務できないため、認知症加算をあわせて算定する場合は、認知症介護に係る研修を修了した職員を別に配置しなければなりません。

看護職員Bさんを中重度加算の専従看護職員として配置し、介護職員Cさんが認知症介護実践者研修を修了しているとします。この場合、Bさんは中重度加算の専従、Cさんは認知症加算の専従という別々の役割になり、どちらか一方の職員が両方の専従を兼ねることはできません。

中重度加算の届出手続き

中重度加算の算定を始めるには、要件を満たしていることを確認したうえで、指定権者(都道府県または市区町村)へ届出を行う必要があります。

ここでは、届出の流れを3つの順で紹介します。

必要書類を届け出る

中重度加算を新たに算定するときは、体制等状況一覧表など指定権者が定める届出様式に必要事項を記入して提出します。

様式や添付書類の詳細は指定権者ごとに定められているため、届出前に管轄の窓口で最新の様式を確認しましょう。

ぺんすけ

様式は指定権者によって呼び方や書式が少しずつ違います。迷ったら、まず管轄の窓口に電話で確認するのが近道です。

書類提出タイミング
体制等状況一覧表など届出様式新規に算定を始めるとき
変更届利用者割合が30%を下回るなど、要件を満たさなくなったとき

前3月実績か前年度実績かを選ぶ

要介護3以上30%の割合は、前年度(3月を除く)の実績、または届出日が属する月の前3月の実績のどちらかで計算します。

ただし、前年度の実績が6か月に満たない事業所(新たに事業を開始した事業所や再開した事業所を含む)は、前年度実績による届出ができず、前3月実績のみで届け出ます。

前3月実績で届け出る場合、たとえば4月15日以前に届出を行えば5月分から算定を開始でき、16日以降の届出になると6月分からの開始になります。

前3月実績で届け出る場合、4月15日以前の届出は5月分から、16日以降の届出は6月分から算定開始になる図

割合が30%を下回ったら変更届を出す

前3月実績で届出を行った事業所は、届出後も直近3月間の利用者割合を毎月継続して所定の割合以上に維持しなければなりません。

割合は毎月記録し、30%を下回った場合は、直ちに変更の届出を提出する必要があります。

専従看護職員が1日も配置されない日がある場合や、専従職員に他の業務を兼務させている場合も、その日は要件を満たさず、加算の返還対象になり得ます。

割合の低下を把握しながら届出をしないまま算定を続けることも、同じく返還のリスクにつながります。

ぺんすけ

割合の記録は、月次のシフト表と一緒に残しておくと、実地指導のときにもすぐ提示できます。

よくある質問

看護職員は正看護師でなければなりませんか?

老企第36号や関連するQ&Aは「看護職員」という職種の表記で規定しており、正看護師に限定する記載はありません。

資格の種類で迷う場合は、配置する前に指定権者(都道府県・市町村)へ確認しておくと安心です。

専従の看護職員が体調不良で休んだ日は、加算を算定できませんか?

提供時間帯を通じて専従の看護職員が1名も配置されない日は、その日について要件を満たさず、加算を算定できません。

ただし、同じ看護職員が固定で配置されている必要はなく、日ごとや時間帯によって担当者が交代してもかまいません。

地域密着型通所介護でも中重度加算を算定できますか?

地域密着型通所介護でも、通所介護と同様の枠組みで中重度加算が設けられており、単位数も同じ45単位です。届出先は事業所が所在する市区町村になります。

まとめ|中重度加算は看護職員体制への投資

中重度加算は、要介護3以上の利用者に対応できる看護・介護職員の体制を評価する加算です。

加配2名以上・利用者割合30%以上・専従看護職員1名以上という3つの要件は、それぞれ数え方が異なるため、混同せずに1つずつ確認することが算定の近道になります。

通所リハビリテーションとの違いや認知症加算との併算定も、条文にもとづいて正確に理解しておけば、実地指導で慌てることもなくなります。

ぺんすけ

正しく理解して算定できれば、看護職員体制の強化は利用者・家族への安心材料にもなります。

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参考文献

厚生労働省の通知・Q&A

単位数(サービスコード表)

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この記事を書いた人

レバウェル介護にて約2年間、介護業界専門のキャリアアドバイザーとして従事。これまでに300名以上の介護士の転職面談を担当。また介護施設への人材派遣を通じて採用側の課題解決にも従事。このような実務経験をもとに、介護事業者・求職者双方にとって信頼性の高いWeb制作を行っています。

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