「定員10人以下なら看護師はいらない」
この一文だけを頼りに人員を組むと、事業所によっては減算の対象になります。 特例が使えるのはある条件を満たすデイだけで、多くの管理者がその線引きをひとつ勘違いしたまま運営しているからです。
分かれ目は、指定区分(地域密着型かどうか)と、定員を「1単位」で数えるか「事業所全体」で数えるかの2点だけ。 この2点を取り違えていた小規模デイの例も交えながら、自分の事業所が特例に当てはまるのか、看護師が採れないときの代替手段、そして違反したときの減算までを、省令の原文にあたって順番に確認していきます。
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定員10人以下のデイサービスの人員基準の早見表
まず自事業所がどちらに当てはまるかを確認してください。
ここでいう「単位」とは、同じ時間帯に一体的にサービスを提供する利用者のまとまりを指します。 別の部屋などで同時に2グループへ提供していれば2単位です。
| ケース(事業所の状況) | 看護職員は必要か | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| ①地域密着型・事業所定員10人・1単位 | 不要(看護又は介護のいずれか1名でよい) | ⭕特例OK | 地域密着型かつ定員10人以下だから |
| ②地域密着型・事業所定員10人(看護師が在籍しない場合) | 不要(同上) | ⭕特例OK | 同上 |
| ③地域密着型・事業所定員18人・1単位 | 必要 | ❌特例NG | 定員11人以上は特例対象外 |
| ④地域密着型・1単位定員10人×2単位(事業所定員20人) | 必要 | ❌特例NG | 事業所全体の定員で判断するため |
| ⑤通常規模・定員20名(都道府県指定) | 必要 | ❌特例NG | 通常規模には特例がない |
| ⑥通常規模・定員40名 | 必要 | ❌特例NG | 同上 |
出典:指定地域密着型サービス基準(省令34号)第20条/厚木市「令和6年度 地域密着型通所介護 運営の手引き」
※地域密着型の定員上限は18人以下ですが、10人以下特例が使えるのは事業所定員が10人以下のときだけです。
ケース④が最も見落とされやすい落とし穴です。 1単位で10人以下だからOKのはずと思っている人ほど、要注意です。 判断の基準は、1単位あたりの定員ではなく事業所全体の定員になります。 その理由と詳細は、次のセクションで説明します。
ぺんすけ「うちは1単位10人だから特例が使える」と思っていた管理者が、複数単位運営で違反状態になっていたケースを聞いたことがあります。判断の軸を間違えないでください。
定員10人で開業するなら看護師は不要
これから地域密着型通所介護を定員10人以下で立ち上げる場合、看護師を雇えなくても人員基準を満たして開業できます。
看護職員と介護職員を別々に置く必要がなく、どちらか1名が提供時間帯を通していれば足りるためです。
介護職員だけで1日を回す小規模デイでも、この配置で法定の人員基準はクリアできます。 看護師の応募が集まらないことを理由に、開業そのものをあきらめる必要はありません。
定員10人の地域密着型デイを、介護福祉士1名と介護職員1名の体制で開業するケースを考えてみます。 利用者は最大でも10人なので、看護職員又は介護職員が常時1名以上いれば人員基準を満たします。 看護師を雇えなくても、この介護職2名の体制で毎日の運営が可能です。
定員10人以下の地域密着型デイで開業する場合に、最低限そろえる人材は次のとおりです。
| 職種 | 必要人数 | 備考 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1名 | 常勤。生活相談員などとの兼務可 |
| 生活相談員 | 1名以上 | 社会福祉士、介護福祉士(一定要件)、社会福祉主事任用資格など |
| 介護職員 | サービス提供時間中に必要数 | 利用者数に応じて配置 |
| 看護職員 | 必須ではない | 地域密着型・定員10人以下なら介護職員で代替可 |
| 機能訓練指導員 | 1名以上 | PT・OT・ST・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師など(要件あり) |
定員を11人以上に増やすと看護師が要る
開業後に利用者が増え、定員を11人以上へ引き上げたくなる場面があります。 その場合は地域密着型のままでも10人以下特例が使えなくなり、看護職員を別途配置する必要が出てきます。
地域密着型の定員上限は18人以下ですが、11〜18人の範囲では通常の配置基準が適用されます。 定員を増やす前に、看護師の確保または外部連携の準備ができているかを必ず確認してください。
定員10人で開業したデイが、翌年に利用者が増えて定員15人へ変更するケースです。 この時点で10人以下特例の対象から外れ、看護職員の配置が新たに必要になります。 定員変更の届出と同時に、看護師の採用か医療機関との外部連携を整えておく必要があります。
定員を10人以下から11人以上へ変えると、人員配置で変わる点は次のとおりです。
| 項目 | 定員10人以下 | 定員11人以上 |
|---|---|---|
| 看護職員 | 不要(介護職員で代替可) | 単位ごとに1名以上が必要 |
| 10人以下特例 | 使える | 使えない |
| その他の職種 | 従来どおり | 従来どおり |
変わるのは看護職員の要否だけですが、看護師の確保は採用市場でもっとも難しい部分です。 定員を増やす判断の前に、採用か外部連携のどちらで満たすかを決めておく必要があります。
1単位10人でも2単位なら特例は消える
利用者を別々の部屋で同時に2グループ受け入れる運営を考える人もいます。 このとき1単位あたりは10人以下でも、事業所全体の定員が合算されて20人となり、特例は使えなくなります。
判断の基準は、あくまで事業所全体の定員です。 単位を分ければ特例が使えると誤解すると、開業後に人員基準違反が発覚する原因になります。
別の部屋で1単位10人ずつ、同じ時間帯に2グループを受け入れるケースを考えてみます。 1単位ずつなら10人以下ですが、事業所の定員は合計20人となり特例の対象外です。 すべての単位で看護職員の配置が必要になり、看護師なしでは基準を満たせません。
通常規模で始めるなら最初から看護師が必要
最初から定員19人以上を見込む場合や、都道府県指定の通常規模で開業する場合は、10人以下特例は一切適用されません。 通常規模の通所介護には、この特例に相当する規定がそもそも存在しないからです。
定員40人のデイでも、利用者が少ない日は看護師が不要という解釈は誤りです。 通常規模で開業するなら、看護職員を単位ごとに配置する前提で人員計画を立ててください。
都道府県指定の通常規模デイを定員25人で開業するケースを考えてみます。 利用者がたまたま10人以下になった日でも、看護職員の配置義務は変わりません。 規模の大小や地域密着型かどうかで、看護師の要否が根本的に変わる点に注意してください。



通常規模であれば、最初から看護師を配置しなければなりません!
看護職員の要否と必ず置くべき職種


この特例は、地域密着型通所介護(利用定員18人以下・市町村指定) の事業所が対象です。
指定居宅サービス(通常規模の通所介護、都道府県指定)には、同様の特例は存在しません。 まずこの帰属の切り分けを正しく押さえることが、人員配置の判断の出発点になります。
地域密着型なら看護・介護いずれか1名でよい
地域密着型通所介護で利用定員10人以下の事業所は、看護職員と介護職員を別々に置かなくてよいとされています。
省令34号(指定地域密着型サービス基準)第20条第2項の規定によれば、「看護職員又は介護職員のいずれも専従の者が、提供時間帯を通じて1以上確保されるために必要な数」を配置できます。 簡単に言うと、看護師か介護職員のどちらか1名がいれば、法定の配置基準を満たせます。



この規定は「することができる」という任意規定なので、10人以下でも看護師と介護職員の両方を置くことはもちろん問題ありません。体制を整えている事業所はそのまま続けられます。
この規定は任意規定(「することができる」)であり、定員10人以下であっても看護職員と介護職員を両方配置することは問題ありません。看護師を配置している場合はその体制のまま続けられます。
出典:省令34号第20条第2項
通常規模や定員11人以上は看護職員が必要
特例が使えるのは、地域密着型通所介護かつ事業所の定員が10人以下という2つの条件を同時に満たす場合だけです。
通常規模の通所介護(省令37号・都道府県指定)には、この特例に相当する規定が存在しません。 省令37号第93条では、看護職員は単位ごとに専従1名以上を規模の条件なしで配置するよう定めています。 定員40名のデイサービスでも10人以下の日は看護師不要、という解釈は誤りです。
地域密着型であっても、定員が11人以上の場合は特例の対象外となり、看護職員が別途必要です。 地域密着型の定員上限は18人以下ですが、11〜18人の範囲であれば通常の配置基準が適用されます。
地域密着型で1単位10人の利用定員を2単位同時に運営している事業所の場合を考えてみます。 1単位ずつで見れば定員10人以下ですが、事業所の定員は合計20人です。 この場合は事業所定員が11人以上に該当するため、特例は使えません。 すべての単位で看護職員の配置が必要になります。



1単位あたりの定員で判断するのが最も多い誤解です。事業所全体の定員で判断する、この一点だけはしっかり覚えておきましょう。
生活相談員と機能訓練指導員も必要


定員10人以下の特例で緩和されるのは、看護職員と介護職員の合算配置だけです。 他の職種の配置基準は変わりません。
10人以下でも必要な職種は以下のとおりです。
| 職種 | 最低配置数 | 備考 |
|---|---|---|
| 生活相談員 | 時間数按分(提供日ごと)で1以上 | 資格要件は指定権者に確認 |
| 機能訓練指導員 | 1以上 | 他の職務との兼務可 |
| 管理者 | 専従常勤1名 | 管理上支障ない場合は兼務可 |
定員が10人以下なら人員配置全体が軽くなると思い込むと、生活相談員や機能訓練指導員を置き忘れて人員基準違反になります。 特例が適用されるのは、あくまで看護・介護の合算の部分のみです。
地域密着型デイの人員基準と最低人数の計算方法
地域密着型通所介護の人員基準を満たすために、職種ごとの最低配置数を計算する方法を整理します。
定員10人以下(特例適用)の場合と、定員11人以上(特例なし)の場合の両方で参照できます。計算式を正しく使いこなすことが、開業後の人員欠如減算を防ぐ第一歩です。



人員計算の基準を間違えると、開業後に「実は違反状態だった」と発覚することがあります。必ず省令の原文と照らし合わせて確認してください。
介護職員は15人まで1・超過分を5で割り足す
介護職員(定員10人以下の場合は看護職員又は介護職員)の基本計算式は次のとおりです。
- 利用者15人まで:1以上
- 15人を超える場合:15人を超える人数 ÷ 5 を1に足した数以上
この計算は単位ごと・提供時間数按分の常勤換算(実際に従事した時間数の合計÷所定労働時間数)で行います。
10人以下の特例を使っている場合でも、常時1人以上を従事させることが必要です。 常時の配置を欠かした状態でサービスを提供することはできません。
定員10人以下の事業所で、利用者が15人を超えた日の計算例です。 15人を超える部分の人数 ÷ 5 を基本の1に足した数が必要配置数になります。 利用者が15人以下であれば1名で足ります。 この計算式で看護職員又は介護職員の合計数を算出します。



計算の起点は利用者15人まで1名という点です。この基準を覚えておくだけで日常の人員管理が楽になります。
1日の利用者数ごとに必要な介護職員数(常勤換算)の目安は次のとおりです。 定員10人以下では、看護職員又は介護職員の合計で数えます。
| 1日の利用者数 | 必要数(常勤換算) |
|---|---|
| 15人まで | 1以上 |
| 20人 | 2以上 |
| 25人 | 3以上 |
| 30人 | 4以上 |
| 40人 | 6以上 |
15人を超える分は5人ごとに1を加える計算のため、表の中間の人数は比例配分(端数)になります。 定員10人以下のデイは利用者が常に15人以下なので、常時1名で足ります。
生活相談員は勤務時間を按分して1以上を置く
生活相談員の算出方法は、介護職員と少し異なります。
提供日ごとに、提供時間帯に専従で勤務した時間数の合計 ÷ 提供時間帯の時間数が1以上になる数を確保することが必要です。
たとえばサービス提供時間が1日6時間の事業所で、生活相談員が6時間専従で勤務すれば 6÷6=1 で基準を満たします。 半日の4時間勤務であれば 4÷6≒0.67 となり、単独では基準を満たせません。
生活相談員の資格要件は、社会福祉主事任用資格・社会福祉士・精神保健福祉士等が基本です。 ただし介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)等を同等以上として認めるかは指定権者(市町村)によって異なります。
資格要件の判断は市町村ごとに異なるため、開業予定地に必ず直接確認してください。



生活相談員の資格要件は市町村によって判断が異なります。「うちの地域ではOK」という口コミ情報を鵜呑みにせず、必ず指定権者に直接確認してください。
提供時間が1日6時間の事業所を例にすると、生活相談員の充足判定は次のようになります。
| 勤務パターン(提供時間6時間の例) | 按分値 | 判定 |
|---|---|---|
| 専従で6時間勤務 | 6÷6=1.0 | 充足 |
| 専従で4時間勤務 | 4÷6≒0.67 | 単独では不足 |
| 2人で合計6時間勤務 | 6÷6=1.0 | 充足 |
按分値は「専従で勤務した時間数の合計÷提供時間帯の時間数」で求め、1以上になれば基準を満たします。 複数人の勤務時間を合算してもよいため、常勤1名にこだわる必要はありません。
常勤は生活相談員か介護職員から1名確保する
生活相談員又は介護職員のうち、1人以上を常勤(所定労働時間数以上勤務)とすることが必要です。この常勤要件は事業所として1名いればよいもので、営業日ごと・単位ごとに常勤者を配置する必要はありません。
管理者は専従・常勤が原則ですが、管理上支障がない場合は当該事業所の他の職務、または他の事業所・施設等の職務との兼務が認められます。 令和6年度改定(令和6年厚生労働省令第16号)により、同一敷地内でない他事業所との兼務も明文化されました。
管理者が生活相談員を兼務するケースは地域密着型デイでよく見られます。 管理上支障がない範囲であれば、管理者が生活相談員の職務を兼ねることは認められています。 この場合でも、生活相談員としての勤務時間が時間数按分で1以上になるよう調整が必要です。
看護師が採れない小規模デイの外部連携という現実解
定員10人以下なら特例で看護職員が不要になりますが、定員が11人以上の地域密着型や通常規模の場合はどうすればよいのでしょうか。 実は、看護師を直接雇用しなくても、外部の医療機関・訪問看護ステーションとの連携で法定要件を満たすことができます。
キャリアアドバイザー時代に、僕は約300名の介護職者の転職支援を担当しました。 その中で、看護師や機能訓練指導員などの専門職の採用がいかに難しいかを何度も目の当たりにしました。
介護職全般の採用でも苦戦している施設が多い中で、看護師に至っては「何ヶ月募集しても1人も応募が来ない」という事業所も珍しくありませんでした。 看護師が採れない=事業が詰む、と思い込んでいる管理者も多くいましたが、それはハズレです。 正解は、外部連携という選択肢を知っているかどうかで状況が変わるということです。



外部連携は抜け道ではなく制度が認めた正当な選択肢です。活用することに後ろめたさを感じる必要はありません。
病院や訪問看護との連携で看護職員を確保する


病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により、看護職員の配置要件を満たすことができます。 この外部連携特例は平成27年4月から認められている取扱いです。
外部連携を行う際の要件は以下のとおりです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 健康状態の確認 | 単位ごとに利用者全員の健康状態を確認する |
| 連絡体制 | サービス提供時間を通じて密接かつ適切な連携を確保する |
| 契約 | 連携先との契約が必要 |
「密接かつ適切な連携」とは、①事業所へ駆けつけることができる体制、または②速やかな指示ができる連絡体制のいずれかを確保することです。
駆けつけに一律の距離基準は設けられていません。 利用者の容態急変時に速やかな指示を受けられる連絡体制を確保できれば、遠方の医療機関との連携も可能です。



駆けつけに距離基準はないという点は見落とされがちです。近隣に医療機関がなくても、緊急時に速やかな指示を受けられる連絡体制を整えていれば連携は成立します。
出典:厚木市「令和6年度 地域密着型通所介護 運営の手引き」(老企第25号・厚労省Q&Aに基づく)
駆けつけと指示の連絡体制を契約に盛り込む
外部連携は、知り合いの病院に声をかけておけばいいという曖昧な関係では認められません。 正式な契約書を結ぶことが必要です。
契約に盛り込むべき主な内容は次のとおりです。
- 連携する医療機関・訪問看護ステーションの名称と担当者
- 単位ごとの利用者の健康状態確認の方法と時間帯
- 緊急時の連絡先・連絡手順・駆けつけの可否
- 速やかな指示を行う看護職員の氏名と資格
この外部連携の仕組みは、採用コストを抑えながら適法な体制を組む手段であるだけでなく、 かかりつけ医や訪問看護と連携した安心なデイとして、利用者・家族・介護支援専門員(ケアマネジャー)への営業メッセージにもなります。
地域の医療機関との連携体制をホームページや施設パンフレットで見える形にすることで、選ばれる小規模デイとしての発信につながります。



外部連携の契約書は、行政への届出書類としても使われます。項目の抜け漏れがないかを指定権者(市町村)に事前確認しておくと安心です。
たとえば、近隣の診療所と外部連携契約を結んだ地域密着型デイのケースを考えてみます。 毎朝サービス開始前に看護師が電話で利用者全員の健康状態を確認し、緊急時は30分以内に駆けつける体制を契約に明記します。 この体制が確保されていれば、定員11人以上の事業所でも看護師を直接雇用しなくて済みます。
採用がうまくいかない施設の多くは、ホームページに働く環境や地域との連携体制が見えていません。
外部連携という適法な体制を整えたら、その強みを対外的に発信する準備を整えることをお勧めします。
デイサービスの人員基準に関するよくある質問
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