デイサービスの居宅内介助加算とは?算定要件3つを解説

居宅内介助加算という名前の加算は、介護報酬にはありません。あるのは、送迎のときに家の中で手伝った時間を、デイサービスの所要時間に足せるというルールです。

所要時間とは、利用者がデイサービスを受ける予定の時間のことです。つまり、家の中で手伝った分だけ、サービスの時間が長く数えられるということです。

足した結果、時間の区分が一段上がれば、もらえる単位数が増えます。算定の要件、30分の数え方、記録の残し方を順に見ていきます。

目次

【前提】居宅内介助加算とは

送迎のときの居宅内介助は、デイサービスの加算の一つではありません。所要時間に足してよい時間として扱われます。

つまり、届け出て報酬を上乗せしてもらう加算とは、仕組みが違うということです。加算の全体は、デイサービスの加算一覧で確認できます。

加算ではなく所要時間に算入する取扱い

居宅内介助のルールを決めているのは、老企第36号という通知です。

ぺんすけ

老企第36号とは、厚生労働省がデイサービスの報酬の数え方を細かく示した通知のことです。

居宅内介助には、専用のサービスコードも単位数もありません。つまり、要件を満たした時間を所要時間に足すだけのルールです。

このルールは、平成27年度の報酬改定で加わりました。2015年4月から使えるようになっています。

収入への効き方は時間区分の繰り上がり

居宅内介助そのものに、単位数は付きません。収入が変わるのは、所要時間の区分が上がったときだけです。

所要時間の区分とは、サービスの時間の長さで単位数を分けた段階のことです。6時間以上7時間未満、7時間以上8時間未満のように、1時間ごとに分かれています。

つまり、居宅内介助を足して次の段階に届けば単位数が増え、届かなければ変わりません。

ぺんすけ

まずは、加算ではなく時間の区分が動くとだけ覚えておけばOKです。

送迎時の居宅内介助を算定する3つの要件

居宅内介助の時間を所要時間に足すには、3つの要件があります。計画への記載、手伝う職員の資格、ほかの利用者を待たせないことの3つです。

3つのうち1つでも欠けると、その時間は所要時間に足せません。

要件チェック内容根拠
①計画への位置付け居宅サービス計画と通所介護計画の両方に記載しているか老企第36号 第2の7(1)①
②実施者の資格資格保有者、または勤続年数の合計が3年以上の介護職員が担当しているか老企第36号 第2の7(1)②
③他利用者への対応他の利用者を車内で待たせずに実施しているか介護保険最新情報 vol.454 問54

ここでは、この3つの要件を順番に紹介します。

ケアプランと通所介護計画に位置付ける

要件①は、居宅サービス計画(ケアプラン)と通所介護計画の両方に書いておくことです。どちらか一方だけでは足りません。

つまり、ケアプランに書いてあっても、自分の事業所の計画になければ算入できないということです。

ケアプランに送迎時の着替えと車椅子への移乗の介助が書いてあり、通所介護計画にも同じ内容を書いた場合は、要件を満たします。ケアプランにだけ書いてあり、通所介護計画に書き写していない場合は、要件を満たしません。

ぺんすけ

ケアプランはケアマネジャーが作りますが、通所介護計画に書き写すのは自分の事業所の役目です。

資格または3年以上の勤続職員が担当する

要件②は、家の中で手伝う職員が、決められた資格を持っていることです。対象の資格は、次のとおりです。

  • 介護福祉士
  • 実務者研修修了者
  • 介護職員基礎研修課程修了者
  • 一級課程修了者
  • 介護職員初任者研修修了者(二級課程修了者を含む)
  • 看護職員
  • 機能訓練指導員

資格がなくても、勤続年数の合計が3年以上の介護職員なら担当できます。

勤続年数は、今の事業所の年数だけで数えなくてかまいません。同じ法人のほかの介護事業所・医療機関・社会福祉施設などで、利用者を直接介助した年数も足せます。

たとえば、同じ法人の特別養護老人ホームで2年、今のデイサービスで1年働いた職員なら、合計は3年です。資格を持っていなくても、この職員は居宅内介助を担当できます。

ぺんすけ

ほかの事業所や医療機関の期間も足せるので、職員の経歴を一度確認しておきましょう。

他の利用者を車内で待たせない

要件③は、送迎車の中でほかの利用者を待たせないことです。厚生労働省のQ&Aであるvol.454の問54が、車内で待たせての居宅内介助を認めていません。

つまり、ほかの利用者を乗せたまま家に上がって手伝うと、その時間は算入できないということです。

最初の1人を迎えに行き、その人の家で着替えを手伝う場合は、車内で待つ人がいないので要件を満たします。すでにほかの利用者を乗せた車を家の前に止めて、待たせたまま着替えを手伝う場合は、要件を満たしません。

ぺんすけ

何人かを一緒に送迎する日は、居宅内介助をする順番を先に決めておくと、車内で待たせずに済みます。

算入できるかどうかの判定の流れは、次のとおりです。

送迎時の居宅内介助を通所介護の所要時間に算入できるかの判定フロー。居宅サービス計画と通所介護計画の両方に記載しているか、資格保有者または勤続年数の合計が3年以上の介護職員が担当しているか、他の利用者を車内で待たせずに実施しているかを順に判定し、すべてYESなら1日30分以内を限度に所要時間へ算入でき、1つでもNOなら算入できない。

対象になる介助とならない介助の範囲

老企第36号は、居宅内介助として足せる介助の例を挙げています。例にあるのは、着替え、ベッドや車椅子への乗り移り、戸締まりなどです。

例にない介助をどう扱うかは、通知に書かれていません。つまり、例にある介助は足せて、例にない介助は確認が必要ということです。

算入できるのは着替え・移乗・戸締まり等

通知が例に挙げているのは、着替え、ベッドや車椅子への移乗、戸締まりなどです。どれも、送迎の前後に家の中でよく起きる介助です。

例にある介助なら、3つの要件を満たすかぎり所要時間に足せます。

通知が例示している介助通知に例示がない介助(保険者に確認)
着替え入浴の介助
ベッドや車椅子への移乗食事の介助
戸締まり上記以外の身の回りの介助

例示にない介助は保険者への確認が必要

入浴や食事の介助を対象外とする文は、通知にもQ&Aにも見当たりません。ただし、足してよいとも書かれていません。

迷う介助は、保険者に確認してから記録に残しましょう。保険者とは、介護保険を運営している市区町村のことです。

ぺんすけ

迷ったときは、確認した相手と結果を記録に残しておくと、あとで聞かれても説明できます。

送迎のときに、上着を脱ぐのを手伝ってほしいと頼まれた場合は、着替えの介助として例に含まれます。一方で、湯船に浸かるところまで手伝ってほしいと頼まれた場合は、入浴の介助にあたり、通知の例にはありません。
足してよいかどうかは、先に保険者へ確認しておくと安心です。

30分の数え方と時間区分の繰り上がり

居宅内介助として所要時間に足せるのは、1日30分までです。この30分の数え方は、現場でいちばん勘違いが起きやすいところです。

数え方をまちがえると、記録の時間と算定した時間がずれてしまいます。つまり、運営指導で算定の根拠を説明できなくなるということです。

行き帰りの合計で1日30分以内を計算する

老企第36号が決めている上限は、1日30分以内です。行きと帰りに30分ずつ使えるわけではありません。

行きの送迎で15分、帰りの送迎で10分の居宅内介助をした場合、合計は25分です。
30分以内なので、そのまま所要時間に足せます。行きと帰りの合計が40分になった場合、所要時間に足せるのは30分までです。

つまり、行きと帰りの時間を足して30分までということです。

居宅内介助の30分の数え方の対比図。行きに30分・帰りに30分でそれぞれ使えて合計60分になるという誤解に対し、正しくは行きと帰りの合計で1日30分以内。行き15分と帰り10分なら合計25分で所要時間に算入できる。

繰り上がった区分の単位数で収入増を試算する

居宅内介助の時間は、通所介護計画に書いたサービスの時間に足されます。送迎からサービス提供までの流れは、次のとおりです。

送迎・居宅内介助・サービス提供の時間の流れ図。送迎そのものは所要時間に含まれず、居宅内介助20分とサービス提供6時間40分の合計7時間ちょうどが所要時間になる。時間区分は6時間以上7時間未満から7時間以上8時間未満へ繰り上がり、要介護1の単位数は584単位から658単位へ74単位増える。

たとえば、サービスの予定が6時間40分で、居宅内介助が20分あったとします。
合計は7時間ちょうどなので、区分が6時間以上7時間未満から7時間以上8時間未満に上がります。要介護1の利用者なら、584単位が658単位になり、74単位増えます。

1単位はおおむね10円で、地域によって最大10.90円まで上がります。つまり、要介護1で区分が1つ上がると、1回あたり約740〜810円の収入が増えるということです。

区分が上がったときの単位数の変わり方は、次の表のとおりです。

繰り上がりの例単位数の変化(区分前→区分後)差分
6時間以上7時間未満→7時間以上8時間未満(要介護1)584単位→658単位+74単位
6時間以上7時間未満→7時間以上8時間未満(要介護3)796単位→900単位+104単位
7時間以上8時間未満→8時間以上9時間未満(要介護1)658単位→669単位+11単位

8時間以上の区分に上がる場合は、11単位しか増えません。つまり、同じ30分でも、どの区分から上がるかで効き方が大きく変わるということです。

ぺんすけ

単位数は要介護度や事業所の規模でも変わります。自分の事業所の数字は、サービスコード表で確認しておきましょう。

居宅内介助の記録と運営指導での確認ポイント

居宅内介助は、記録がなければ算定の根拠を示せません。運営指導とは、都道府県や市区町村が、運営や請求が決まりどおりかを確かめることです。

記録と計画書は、運営指導でかならず見られるところです。ここでは、記録に残す2つのポイントを紹介します。

開始・終了時刻と実施者を記録に残す

記録には、居宅内介助の開始時刻と終了時刻を書きます。あわせて、手伝った職員の名前と、介助の内容も残します。

新しい様式を作る必要はありません。送迎記録や業務日誌に、この4つの項目を足せばOKです。

計画書への記載を運営指導の前に確認する

居宅サービス計画と通所介護計画の両方に、居宅内介助が書いてあるかを確かめます。あわせて、計画書と実際の記録が合っているかも見ておきます。

つまり、計画に書いていない日の居宅内介助は、記録があっても足せないということです。書き漏れがあれば、運営指導の前に直しておきましょう。

ぺんすけ

運営指導の通知が来てから慌てないよう、計画書と記録の突き合わせは定期的にしておきましょう。

まとめ|送迎時の居宅内介助を適正に算定するために

送迎時の居宅内介助は、加算ではなく、所要時間に足せる時間です。

算定する前に、次の4つを確かめておきましょう。

  • ケアプランと通所介護計画の両方に位置付けているか
  • 資格または勤続年数の要件を満たす職員が担当しているか
  • 30分の上限を行き帰りの合計で計算しているか
  • 開始・終了時刻と実施者を記録に残しているか

要件と記録がそろえば、居宅内介助は職員が家の中で手伝った時間を正しく報酬に反映する仕組みになります。迷う介助が出てきたら、自分で決めずに保険者へ確認しておけば大丈夫です。

デイサービスで算定できる加算一覧については、ぜひ以下の記事をご覧ください。

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参考文献

厚生労働省の通知・通達

介護保険最新情報(Q&A)

単位数・報酬に関する資料

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この記事を書いた人

レバウェル介護にて約2年間、介護業界専門のキャリアアドバイザーとして従事。これまでに300名以上の介護士の転職面談を担当。また介護施設への人材派遣を通じて採用側の課題解決にも従事。このような実務経験をもとに、介護事業者・求職者双方にとって信頼性の高いWeb制作を行っています。

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