デイサービスで算定できる入浴加算の正式名称は入浴介助加算といいます。
(I)は1日あたり+40単位、(II)は+55単位で、算定ミスは運営指導での返還につながりかねません。
この記事では、(I)と(II)の違い・清拭や足浴・シャワー浴の算定可否、そして(II)の3要件・令和6年度改定で変わった点・どちらを取るべきかの判断まで整理します。
通所介護(デイサービス)の管理者・生活相談員の方が現行ルールで安心して算定できるよう、ポイントを絞って解説します。
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デイサービスの入浴加算とは
「デイサービスの入浴加算」を検索すると、正式名称が見当たらず混乱する方がいます。
入浴加算は現場でよく使われる通称であり、介護報酬上の正式名称は入浴介助加算です。
正式名称は入浴介助加算
介護報酬の告示・通知類では一貫して「入浴介助加算」と記載されています。
請求実務・運営指導でも「入浴介助加算」が正式名称であるため、社内の資料や計画書類にも正式名称を使うことをおすすめします。
ぺんすけ検索では「入浴加算」で調べても、社内の計画書や請求書類は「入浴介助加算」でそろえておくのがおすすめです。運営指導のときに、用語の食い違いで説明が長引くのを防げます。
なお、入浴介助加算は令和3年度(2021年度)の改定で(I)と(II)の2区分体制に整理されました。 令和6年度(2024年度)改定ではさらに要件が一部変わっています。詳細はのちほど解説します。
対象は要介護のみに限定されている
入浴介助加算(I)(II)は、介護給付の通所介護(デイサービス)を利用する要介護者が対象の加算です。
要支援者(要支援1・2)は、通所介護ではなく総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の通所型サービスを利用します。総合事業の報酬体系は各市町村が基準を定める仕組みのため、入浴介助加算(I)(II)をそのまま算定できるかどうかは自治体によって異なります。
要支援の方の算定可否については、保険者(市区町村)への確認が必須です。



要支援の人は市区町村によってルールが違うため、加算がつかない場合はボランティアで入浴介助を行うことになります!
入浴介助加算(I)と(II)の単位数と違い
入浴介助加算(I)と(II)の最も大きな違いは、算定するための要件の多さと単位数です。
(I)は研修体制を整えれば算定できる基本区分で、(II)は居宅訪問・個別計画・計画に基づく介助という3つの要件を追加で満たす必要があります。
(I)は40単位で(II)は55単位


入浴介助加算の単位数は、通所介護において以下のとおりです。
| 区分 | 単位数(1日につき) | 主な追加要件 |
|---|---|---|
| 入浴介助加算(I) | +40単位 | 入浴介助に関する研修等(令和6年度改定で追加) |
| 入浴介助加算(II) | +55単位 | 居宅訪問による評価+個別入浴計画+計画に基づく介助 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定 単位数の算定構造」
なお、この単位数は令和8年6月改定後も(I)+40単位・(II)+55単位で変わりません。
ここで注意が必要なのは、他サービスの単位数との混同です。 同じ入浴介助加算という名称でも、通所リハビリテーションの(II)は単位数が異なります。 本記事は通所介護(デイサービス)に限定して解説しています。



ネットで単位数を調べると、通所リハビリの数字が混ざって出てくることがあります。デイサービス(通所介護)の数字かどうかを必ず確かめてから使ってください。
入浴介助加算(I)と(II)の目的の違い
| 加算の名称 | 目指しているゴール |
|---|---|
| 入浴介助加算(I) | デイサービスに来た時、安全にお風呂に入ってもらうこと |
| 入浴介助加算(II) | 将来的に、自分の家のお風呂に1人(または家族の介助)で入れるようになること |
入浴介助加算(II)は「本人の自宅の状況に合わせて、自立できるように練習する」という踏み込んだサポートを行うため、そのぶん事業所がもらえる追加料金(単位数)も高く設定されています。
同じ利用者に(I)と(II)は同時に取れない
同一の利用者に対して、入浴介助加算(I)と(II)を同時に算定することはできません。 利用者ごとに(I)か(II)のいずれか一方を選んで算定する仕組みです。
ただし、事業所内で利用者ごとに(I)と(II)を使い分けること自体は可能です。 たとえば、居宅訪問の体制が整っている利用者には(II)を、そうでない利用者には(I)を算定するという運用は問題ありません。
清拭・足浴・シャワー浴の算定可否


「足浴だけでも算定できるか」や「清拭はどうか」というご相談は多いです。
簡単に言うと、部分浴(シャワー浴を含む)は算定対象で、清拭のみ・足浴のみは一般に算定できないとされています。
以下に手法別の算定可否を一覧にまとめました。
| 入浴手法 | 算定可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 全身浴(一般浴・個浴) | ○ | 算定対象 |
| 部分浴(シャワー浴) | ○ | 算定対象(通知で明示) |
| 清拭のみ | △ | 一般に算定できないとされる(詳細は下記) |
| 足浴のみ | △ | 一般に算定できないとされる(詳細は下記) |
◼︎部分浴(シャワー浴含む)について
厚生労働省の解釈通知には、次の記載があります。
利用者の自立生活を支援する上で最適と考えられる入浴手法が、部分浴(シャワー浴含む)等である場合は、これを含む
シャワー浴のみでの入浴介助は算定対象として明示されているため、清拭・足浴との混同に注意が必要です。
清拭のみ・足浴のみについて
清拭や足浴だけを行った場合、同通知は「部分浴(シャワー浴含む)等」を対象と明示するにとどまり、清拭のみ・足浴のみを明示的に除外する条文は現認できていません。
現場・業界では算定できないという解釈が一般的ですが、確定的な除外規定がない点から、判断が難しいケースでは保険者・国保連(国民健康保険団体連合会)への確認をおすすめします。



「たぶんダメだろう」で判断せず、迷うケースは保険者や国保連に一本確認を入れておくと安心です。あとから返還を求められるより、先に聞くほうが手間もリスクも小さく済みます。
【シャワー浴のみで算定するケースの例】
Aさん(80代・要介護2)は皮膚疾患があり、湯船への全身浴は医師から控えるよう指示されています。 デイサービスでは毎回シャワー浴で入浴介助を行っています。 厚労省通知の「最適と考えられる入浴手法が部分浴(シャワー浴含む)等である場合はこれを含む」に該当します。 入浴介助加算(I)の算定対象になります。 「シャワー浴だから算定できないかもしれない」と迷う必要はありません。
入浴介助加算(II)を算定する要件


入浴介助加算(II)は、単に入浴介助を行うだけでなく、3つの追加要件を満たす必要があります。



一見ハードルが高そうですが、運用の仕方次第で負担を抑えられる緩和ポイントもあります!
3要件の概要は次のとおりです。
| 要件 | 内容 | 評価・作成者 |
|---|---|---|
| 居宅訪問・評価 | 利用者の自宅を訪問し、浴室での動作・環境を評価する | 医師・理学療法士・作業療法士・介護福祉士・介護支援専門員等 |
| 個別入浴計画の作成 | 評価を踏まえた個別の入浴計画を作成する | 機能訓練指導員等が共同で作成 |
| 計画に基づく介助 | 個浴など居宅の状況に近い環境で入浴介助を行う | 計画に沿って実施 |
利用者の自宅を訪問して浴室を評価する
要件aでは、医師・理学療法士(リハビリを担当する専門職)・作業療法士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)等が利用者の自宅を訪問します。
- 医師
- 理学療法士(PT) / 作業療法士(OT) / 言語聴覚士(ST)
- 看護職員
- 介護福祉士
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 機能訓練指導員
- 福祉用具専門相談員
- 地域包括支援センターの職員
浴室での移乗動作・浴槽の高さ・手すりの位置など、自宅の浴室環境と利用者の動作を実際に評価することが求められます。
評価できる職種には、福祉用具専門相談員や機能訓練指導員(リハビリを担う職員)も含まれています。自事業所の機能訓練指導員が訪問評価を担うことも可能です。



訪問評価というと身構えてしまいますが、自事業所の機能訓練指導員が担えるケースも多いです。まずは「誰が訪問できるか」を洗い出すところから始めると、進めやすくなりますよ。
個別入浴計画は通所介護計画で代用する
要件bでは個別の入浴計画の作成が求められますが、ここに重要な緩和ポイントがあります。
通所介護計画(サービス計画書)に相当内容を記載すれば、別様式の計画書を作成しなくてよいのです。
「(II)を取るには専用の計画書を別途用意しなければならない」と思っている事業所がありますが、既存の通所介護計画に入浴計画の内容を盛り込むだけで要件を満たせます。 盛り込む内容の例は、自宅浴室環境・身体状況・介助方針です。 書類の新設コストを抑えながら(II)を算定できる差別化ポイントです。
【通所介護計画で入浴計画を代替する運用例】
Bさん(75代・要介護3)の通所介護計画を作成・更新する際に、担当の機能訓練指導員が事前に自宅を訪問しました。 浴槽の高さや浴室内の動線・手すりの有無を確認し、「浴槽への移乗時に右腕の補助が必要」「シャワーチェアを使用」といった内容を通所介護計画の入浴支援の欄に記入しました。 この記載をもって要件bの「個別入浴計画の作成」を満たすことができます。 新しく別の計画書様式を用意する必要はなく、既存の書類管理フローの中で対応が完結します。
計画どおりに自宅に近い環境で介助する
要件cでは、作成した個別入浴計画に基づいて、個浴(一人用の浴槽)など利用者の自宅の浴室環境に近い状況で入浴介助を行います。
自宅と全く同じ環境を再現する必要はなく、手すりなどの福祉用具で浴室環境を個別に模す形でも要件を満たせます。 大浴槽(複数人が入るタイプの浴槽)での一律の集団入浴ではなく、個人の状況に応じた介助環境を整えることがポイントです。
令和6年度改定で変わった算定ルール
令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では、入浴介助加算に2つの変更が加わりました。 「(I)は簡単に取れる」という思い込みが通用しなくなった点に注意が必要です。
(I)は入浴介助の研修が必須になった
令和6年度改定で、(I)の算定要件に入浴介助に関する職員研修の継続実施が追加されました。 (出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A Vol.1(Vol.1225)」問60)
研修内容の例として、以下のようなテーマが挙げられています。
- 脱衣・洗髪・洗体・移乗・着衣等の一連の介助技術
- 転倒防止・入浴事故防止のリスク管理・安全管理
研修は内部・外部を問わず、継続的に機会を確保することが求められます。 「(I)なら研修は不要」という理解は現在は誤りです。 既に何らかの研修を実施している場合は、記録を整備しておくことが重要です。



多くの施設で、すでに入浴介助の研修的な取り組みはやっているはずです。問題は「記録が残っているか」。実施日・内容・参加者をメモしておくだけで、運営指導のときの説明がぐっと楽になります。
(II)の自宅訪問は動画と写真でもよくなった
令和6年度改定では、(II)の居宅訪問・評価の方法が柔軟化されました。 情報通信機器(ICT)を活用した評価が認められるようになっています。 (出典:同Q&A Vol.1(Vol.1225)問61)
医師等の評価者が利用者と同時にオンラインで繋がる必要はなくなりました。 利用者の動作を動画、浴室環境を写真で記録して評価者に確認してもらう方法でも要件を満たせます。
遠方に住む医師やかかりつけ医に評価をお願いするケースや、評価者のスケジュール調整が難しい場合などで活用できる緩和策です。
入浴介助加算(I)と(II)どちらを取るべきか


単位数が高いからといって、すぐに(II)に飛びつくのは要注意です。 (II)の要件(居宅訪問・個別計画・計画に基づく介助)を体制として回せるかどうかを先に確認してください。
利用者負担の目安については、1単位=10円で計算した場合、(I)は1割負担でおよそ40円/日、(II)はおよそ55円/日の例として示せます(地域区分・端数処理で実額は変動します)。 利用者・ご家族へ説明する際の参考としてください。
まずは(I)で研修体制を先に固める
最初のステップとして、(I)の算定に必要な研修体制を整えます。



いきなり(II)を取ろうとするのではなく、(I)を取って、落ち着いてからステップアップするのがおすすめです。
令和6年度改定で追加された研修要件を満たすために、研修の計画・実施・記録の仕組みを今のうちに構築しておくことが重要です。
(I)で安定的に算定できている状態になれば、(II)に向けた次のステップを検討する土台が整います。 「(II)を取りたいが今はリソースが足りない」という事業所は、まず(I)の体制確立を優先してください。



いい施設なのに、収益につながる加算を取りこぼしているケースは本当に少なくありません。ここを知っているかどうかで、月次の収支に差がついてきます。
訪問と計画が回るなら(II)で単価を上げる
(I)の研修体制が整い、居宅訪問・個別計画の運用が無理なく回せる見通しが立ったら、(II)への移行を検討します。
判断の目安として、以下を確認してください。
| 確認ポイント | チェック |
|---|---|
| 居宅訪問を担える職種(機能訓練指導員等)が在籍している | □ |
| 新規利用者の自宅訪問を定期的に組み込めるスケジュールがある | □ |
| 通所介護計画に入浴評価の内容を追記できる記載欄がある | □ |
| 個浴または個浴環境を再現できる浴室設備がある | □ |
上記を満たせる場合は、(II)で単位数を(I)から+15単位分引き上げられます。 (II)の算定体制を整えること自体が、「個別対応・自立支援に力を入れているデイサービス」という実績になります。
この取り組みはホームページや採用サイトで「利用者一人ひとりの自宅環境に合わせた入浴支援」として発信できます。利用者家族への安心訴求と介護職採用への訴求を同時に行える材料になります。



入浴介助加算(II)を取ることは、介護報酬が増えるというメリットだけでなく、利用者家族へのアピール材料にもなります!
まとめ
デイサービスの入浴加算の正式名称は入浴介助加算で、(I)+40単位・(II)+55単位です。
この記事のポイントをまとめます。
- 単位数:(I)=40単位/日、(II)=55単位/日(通所介護・令和6年度改定後も変わらず)
- 手法別の可否:部分浴(シャワー浴含む)は算定対象。清拭のみ・足浴のみは一般に算定不可(断定回避・詳細は保険者に確認)
- (II)の3要件:居宅訪問による評価→個別入浴計画(通所介護計画で代替可)→計画に基づく介助
- 令和6年度改定の変更点:(I)に研修が必須化・(II)の居宅訪問はICT(動画・写真)でも可
- 判断の進め方:まず(I)で研修体制を固め、訪問・計画が回るなら(II)へ
(II)の算定体制は「個別対応・自立支援に力を入れているデイ」というアピールにもなります。 入浴サービスの手厚さをホームページで発信することで、利用者家族の選択基準に響く差別化につながります。
入浴介助加算(I)でまずは取得しておき、準備が整ったタイミングで徐々に(II)に移行していくのがおすすめです。
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