デイサービスの運営基準とは|違反による減算についても解説

デイサービス(通所介護)の運営基準は、運営指導の通知が来てから条文を探し始めると、対応が間に合わないことがあります。

運営指導とは、行政が事業所を訪問して基準の遵守状況を確認する調査のことです。 業務継続計画(BCP)を未策定のまま放置すると報酬が1%減り、定員超過や人員欠如では報酬が3割減る仕組みになっています。

運営基準を知っているかどうかで差がつくのが、現在の通所介護の現実です。

この記事では、デイサービス(通所介護)の運営基準を省令第96〜105条の条文マップ1枚で整理し、 2024年度改定で新設された減算と2025年度から始まった重要事項のウェブ掲載義務まで解説します。

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目次

デイサービスの運営基準とは

デイサービス(通所介護)の指定を受けるために満たすべきルールは、大きく3本の柱で構成されています。 それが人員基準・設備基準・運営基準の指定基準3本柱です。

運営基準とは、事業者が日々の運営において守るべき義務の体系であり、省令(平成11年厚生省令第37号)の第96〜105条に定められています。

ぺんすけ

3本柱のどれが欠けていても指定は受けられません。 人員と設備が整っていても、運営書類が不備だと申請が差し戻されます。

出典:指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)第7章

指定基準は人員・設備・運営で構成される

デイサービスの指定基準3本柱(人員基準=第93・94条/設備基準=第95条/運営基準=第96〜105条)を並べたブロック図。運営基準が本記事の対象

3本柱の中身と、それぞれが参照する省令の条番号は以下のとおりです。

指定基準の種類省令上の条番号主な内容
人員基準第93条・第94条職種別の配置人数と常勤要件
設備基準第95条必要な部屋・面積の要件
運営基準第96〜105条日常運営・手続き・書類の義務

この記事が扱うのは運営基準(第96〜105条)です。

定員18人以下は地域密着型の省令に従う

デイサービスには規模によって2種類の省令が存在します。

利用定員が19人以上の事業所には厚生省令第37号が適用されますが、定員18人以下は地域密着型通所介護となり、平成18年厚生労働省令第34号(以下「省令34号」)が根拠省令です。

2種類の基準の主な違いを下の表で確認してください。

比較項目定員19人以上(省令37号)地域密着型(省令34号)
指定権者都道府県等市町村
利用定員19人以上18人以下
面積計算3㎡×利用定員3㎡×利用定員(同じ)
人員計算省令第93条ほぼ同じ計算式(省令34号第20条)
定員10人以下の人員特例なしあり(看護職員または介護職員のいずれか1以上)

定員10人以下の特例は地域密着型(省令34号)にのみ存在します。定員19人以上の通所介護(省令37号)の記事に「10人以下なら人員が1人でよい」と書かれていることがありますが、これは誤りです。

ぺんすけ

「定員10人以下の事業所は人員が緩和される」と思い込んだまま通常規模で申請すると、開業後に人員欠如減算が発生します。 適用される省令を必ず確認してください。

定員10人以下のデイサービスに関する人員基準に関しては、以下の記事でまとめています。

出典:指定地域密着型サービス基準(平成18年厚労省令第34号)第20条第2項

デイサービス運営基準の条文マップ|第96〜105条

通所介護の運営基準は、省令第37号第7章第4節(第96条〜第105条)に定められ、枝番の条文を含めて13の条文で構成されています。

通所介護の運営基準の条文マップ。第96条から第105条まで13条文の条番号と内容を一覧化したテーブル
条番号内容条文の要点
第96条利用料等の受領法定代理受領サービスにあたる場合は利用者負担分を、それ以外は費用の額の支払いを受けます。あわせて、通常の事業実施地域を越える送迎費・食事代・おむつ代など、日常生活で通常必要となる費用のうち利用者負担が適当なものを、あらかじめ説明し同意を得たうえで受け取れます。
第97条通所介護の基本取扱方針通所介護は、利用者が要介護状態になった場合でも、できる限り自宅で自立した生活を営むことができるよう、日常生活の支援や機能訓練を通して社会的孤立感の解消や心身機能の維持、利用者家族の介護負担の軽減にも寄与することが求められています。
第98条通所介護の具体的取扱方針サービスは通所介護計画に基づき、利用者の心身の状況を踏まえて妥当適切に提供します。提供にあたっては懇切丁寧を旨とし、サービスの内容や提供方法を利用者やその家族が理解しやすいように説明したうえで行います。
第99条通所介護計画の作成管理者は、利用者の心身の状況・希望・環境を踏まえ、機能訓練などの目標と具体的なサービス内容を定めた通所介護計画を作成します。作成した計画は利用者・家族に説明して同意を得たうえで、利用者に交付します。
第100条運営規程事業の目的・運営方針、従業者の職種と員数・職務内容、営業日と営業時間、利用定員、サービス内容と利用料、通常の事業実施地域、緊急時の対応方法、虐待防止のための措置など、事業所として定めておくべき11の重要事項を運営規程として整えます。
第101条勤務体制の確保等適切なサービスを提供できるよう従業者の勤務体制をあらかじめ定め、原則として自らの事業所の従業者でサービスを提供します。あわせて、認知症介護基礎研修の受講機会など資質向上のための研修と、ハラスメント防止に向けた方針の明確化などの措置を講じます。
第102条定員の遵守災害などのやむを得ない事情がある場合を除き、あらかじめ定めた利用定員を超えてサービスを提供してはなりません。
第103条非常災害対策火災など非常災害に備えた具体的な計画を立て、関係機関への通報や連携の体制を整えます。これらを定期的に従業者へ周知するとともに、避難や救出などの訓練を行います。
第104条衛生管理等施設・設備や食器などを衛生的に管理し、医薬品・医療機器を適切に取り扱います。あわせて、感染症の予防とまん延防止のため、対策委員会の定期開催、指針の整備、研修・訓練の実施といった措置を講じます。
第104条の2地域との連携等事業の運営にあたり、地域住民やその自発的な活動、ボランティアなどとの連携・協力に努め、地域との交流を図ります。
第104条の3事故発生時の対応サービスの提供により事故が起きた場合は、速やかに市町村や利用者の家族などへ連絡し、必要な措置を講じます。事故の状況と対応の内容を記録し、賠償すべき事故については損害賠償を速やかに行います。
第104条の4記録の整備従業者・設備・会計に関する記録や、サービス提供に関する記録を整備し、その完結の日から2年間保存します(条例でより長い期間を定めている自治体もあります)。
第105条準用内容と手続の説明・同意(第8条)、サービス提供の記録(第19条)、秘密の保持(第26条)、苦情処理(第36条)など、居宅サービスに共通するルールを通所介護にも当てはめて適用します。

出典:指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)第7章

定員18人以下の地域密着型は運営基準の内容がほぼ共通ですが、条番号は省令34号側で異なります。地域密着型の事業所は市町村の資料で対応条文を確認してください。

第105条の準用とは、居宅サービス全般に共通する条文(第8条〜第37条の2など)を通所介護にも当てはめる仕組みです。 提供拒否の禁止・秘密保持・広告の禁止事項・苦情処理・業務継続計画・虐待防止の4措置などがここから通所介護に適用されます。 利用者・家族への内容説明と同意(第8条)、サービス提供の記録(第19条)も、この準用によって通所介護に適用される義務です。

ぺんすけ

条文マップを印刷して事務所に貼っておくと、運営指導の通知が来たときにどの条文が問われるかをすぐに確認できます。

運営規程には11項目の記載が必須

運営規程は、指定申請時に指定権者(都道府県等)に提出する重要書類です。

省令第100条が定める記載事項は11項目あります。

番号項目
第1号事業の目的及び運営の方針
第2号従業者の職種・員数・職務内容
第3号営業日・営業時間
第4号利用定員
第5号内容・利用料その他費用の額
第6号通常の事業の実施地域
第7号利用の留意事項
第8号緊急時等の対応方法
第9号非常災害対策
第10号虐待防止のための措置に関する事項
第11号その他運営に関する重要事項

出典:同省令第100条

第10号の虐待防止のための措置に関する事項は、2021年の省令改正で追加されました。 2024年3月末で経過措置が終了しており、現在は全事業所で完全に義務化されています。

ぺんすけ

運営指導で「虐待防止の措置に関する記載がない」と指摘される事業所が一定数います。2024年以降に作成した運営規程でも、第10号が抜けているケースがあるため見直してください。

新規開業を検討しているデイサービス事業者が運営規程の草案を作成したとき、第2号「従業者の職種・員数・職務内容」に「介護職員○名」とだけ記載していた場合を考えます。 採用計画と連動した正確な人数・職務内容が書かれていないと、指定権者から補正を求められます。 物件契約と採用計画を先に確定させてから、運営規程に数字を落とし込む順序で進めてください。

通所介護計画は説明・同意・交付まで義務

通所介護計画(第99条)は、管理者がサービスを提供する前に作成する書類です。 ケアプラン(居宅サービス計画)に沿った内容で作成しなければなりません。

計画の作成だけでなく、以下の一連のプロセスすべてが義務です。

  1. 利用者・家族に内容を説明する
  2. 利用者の同意を得る
  3. 利用者に計画書を交付する
  4. サービスの実施状況と目標の達成状況を記録する

出典:同省令第99条

計画を作っただけでは不十分で、説明・同意・交付・記録まで一体で義務を満たします。 運営指導では、この一連の書類が揃っているかが確認される主要ポイントです。

ぺんすけ

計画書は作ってあると言っても、利用者の署名欄が空白のまま保管されているケースは少なくありません。 同意を得た証跡まで揃っているか、定期的に確認してください。

記録の保存は原則2年・条例で延長あり

通所介護計画・サービス提供記録・苦情記録・事故記録などの保存年限は、省令第104条の4第2項で「完結の日から2年間」と定められています。

ただし、指定権者の条例で延長している自治体があります。 たとえば栃木県では、通所介護計画・サービス提供記録等は「5年間」に読み替えられています(身体的拘束・苦情・事故記録は2年のまま)。 (出典:栃木県条例(令和3年条例第23号)第4条

開業地の都道府県・市町村の条例を必ず確認してください。

省令上は2年間と思い込んで書類を廃棄した後、運営指導で条例の5年保存義務違反として文書指摘を受けるケースがあります。 開業前に指定権者の条例を確認し、書類の保存年限一覧を社内で共有しておくと防げます。

省令上は2年間ですが、条例で5年以上に延長されている自治体があります。省令だけ確認して安心しないでください。

デイサービス運営基準の義務化タイムライン

義務化という言葉は運営基準に何度も登場します。

しかし、いつ完全義務化になったのかを正確に把握している事業者は、まだ少ないのが実情です。 2024〜2025年度に義務化のタイミングが集中しているため、以下のタイムラインで整理します。

運営基準の義務化タイムライン。2024年4月・2025年3月31日・2025年度〜・2027年度の4つの時点で何が義務化されたかを縦の時系列で示した図
時期義務化・変更内容
2024年4月①虐待防止4措置の経過措置終了(完全義務化)②BCP未策定減算・虐待防止措置未実施減算の新設③認知症介護基礎研修の完全義務化④送迎の取扱い柔軟化
2025年3月31日BCP未策定減算の経過措置終了(翌4月から全面適用)
2025年度〜重要事項のウェブサイト掲載義務(法人ホームページまたは情報公表システム)
2027年度(令和9年度)次期介護報酬改定(現行基準の見直し予定)

出典:厚労省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」

ぺんすけ

2024年・2025年と立て続けに義務化が来ているため、「昨年対応したから大丈夫」という認識が危険です。タイムラインを手元に置いて、各時期に何が義務になったかを確認してください。

業務継続計画がないと報酬が1%減る

業務継続計画(BCP=Business Continuity Plan)とは、感染症・非常災害の発生時にサービスを継続するための計画書です。 BCPを策定していない事業所には、2024年度改定からBCP未策定減算が適用されます。

減算率は所定単位数の100分の1(1%)です。 施設・居住系サービスは100分の3(3%)と高いですが、通所介護はその他のサービスに分類されるため1%の適用となります。

2024年度は経過措置がありましたが、2025年3月31日に経過措置は終了しています。 2025年4月1日以降、BCPを策定していない通所介護事業所は毎月の報酬から1%が減算される状態です。

定員20名の通所介護事業所がBCPを未策定のまま運営を続けるケースを考えます。 毎月の請求単位数から1%が継続的に差し引かれ、感染症や災害が発生した際に対応手順がないため経営リスクも重なります。 BCPは減算回避のためだけでなく、事業所を守るための経営ツールとして作成してください。

BCP策定の義務は省令第30条の2(第105条で準用)に根拠があります。 内容は感染症・非常災害の発生時のサービス継続計画の策定・周知・研修・訓練・定期的な見直しです。

ぺんすけ

BCPは厚労省が自治体・事業者向けにひな型を公開しています。ゼロから作ろうとすると時間がかかりますが、ひな型をベースに事業所の状況を書き込む方法が現実的です。

虐待防止の措置を欠くと1%減算される

高齢者虐待防止の体制(虐待防止措置)を4つ揃えていない場合も、2024年度から減算対象です。

4つの措置とは以下のものです。

措置内容
①委員会の開催定期的に虐待防止委員会を開催し、結果を周知する
②指針の整備虐待防止のための指針を作成・整備する
③研修の実施従業者に対して虐待防止の研修を定期的に行う
④担当者の設置虐待防止の担当者を設置する

出典:同省令第37条の2(第105条で準用)

減算率はBCP未策定減算と同じく所定単位数の100分の1(1%)です。 虐待防止措置の義務化自体は2021年から段階的に始まり、2024年3月末に完全義務化となりました。

担当者を設置せずに「委員会は開催している」と回答した事業所が、運営指導で4措置のうち1つ欠けていると指摘されるシナリオがあります。 4措置はセットで揃っていないと減算が発生します。 委員会・指針・研修・担当者設置の4点を一覧にして、年1回以上の点検を習慣にしてください。

2025年度から重要事項のウェブ掲載が義務

2025年度(令和7年度)から、運営規程の概要などの重要事項をウェブサイトに掲載・公表することが義務化されました。 書面での掲示だけでは義務を満たさなくなりました。

掲載先は、法人のホームページまたは介護サービス情報公表システム(都道府県が運営する公式システム)のいずれかです。 どちらにも掲載がない状態は、運営基準上の義務を満たしていないことになります。

2025年度から書面掲示だけでは運営基準を満たせません。ホームページまたは情報公表システムへの掲載が必須です。

重要事項説明書のホームページ掲載義務については、以下の記事を参考にしてみてください。

出典:厚労省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」p.45

重要事項のウェブ掲載義務と事業所ホームページ

2025年度からの義務化は、書面掲示だけでは運営基準を満たせなくなったという意味での転換点です。

義務の具体的な内容を理解した上で、ホームページを集客・採用にも活用するという視点で取り組んでください。 この章では両方の視点から整理します。

掲載先は自社ホームページか情報公表システム

掲載先として認められているのは、次の2つです。

掲載先特徴
自社ホームページ(法人ホームページ)内容・デザインを自由に設計できる。集客・採用目的の情報も一緒に掲載できる
介護サービス情報公表システム都道府県が運営する公式システム。義務対応の最低ラインとして使える

重要事項説明書の概要(運営規程の概要、従業者の職種・員数・職務内容、営業日・時間、利用料、苦情窓口など)をウェブ上に掲載することが求められています。 情報公表システムへの登録で義務をクリアすることは可能です。 ただし、その場合でも利用者・家族・紹介業者が施設の雰囲気やサービス内容を知る場としての情報は不足します。

自事業所の現状は、次の3ステップで確認できます。

  1. 介護サービス情報公表システムで自事業所のページを検索する
  2. 重要事項(運営規程の概要・職員体制・利用料など)が掲載されているかを確認する
  3. 掲載がなければ、情報公表システムへの登録または自社ホームページへの掲載を進める

まず情報公表システムで義務を満たし、余裕ができてから自社ホームページを整える順番でも問題ありません。

ぺんすけ

情報公表システムは開設時に登録したまま内容が古くなっている事業所が少なくありません。掲載の有無だけでなく、職員体制や利用料が現在の内容と一致しているかも確認してください。

出典:厚労省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」p.45

ホームページは運営基準対応と集客を兼ねる

私がレバウェル介護でキャリアアドバイザーをしていたとき、求職者に施設を紹介する際にホームページの有無は判断材料として大きく機能していました。 ホームページがない施設は選ばれる傾向が少なく、キャリアアドバイザー経由でしか情報を伝えられないため、求職者に半信半疑のまま見学に行かせることになりました。 特にデイサービスは1日の流れを求職者から必ず確認されましたが、ホームページにタイムスケジュールが載っている施設は紹介しやすく、求職者の反応も明らかに違いました。

ホームページがないだけで、紹介業者の候補リストから外れてしまうのです。 義務対応のためだけに情報公表システムに最小限の情報を載せるよりも、集客にも採用にも使えるホームページを持つほうが、長期的な費用対効果は高くなります。

いい施設なのに伝え方が下手で埋もれていくのは、本当にもったいないことです。重要事項のウェブ掲載義務は、どうせ対応するなら集客・採用にも活用するという発想の転換ができる機会でもあります。

掲載義務への対応で終わらせるか、採用と集客のツールとして育てるか。この選択で、数年後の稼働率と採用状況は変わります。

介護施設のホームページに必要なコンテンツの詳細は、介護施設にホームページが必要な3つの理由|必須コンテンツ5選も解説で解説しています。

ぺんすけ

重要事項のウェブ掲載義務に対応しつつ、集客・採用にも使えるホームページ制作を検討している方は、「かいごのヒカリ」にご相談ください。介護施設専門のホームページ制作で、義務対応から稼働率アップまでサポートします。

運営基準違反で受ける減算と行政処分

運営基準の違反は、軽微なものから重大なものまで段階があります。

まずは減算という形で報酬が削られ、改善しなければ行政指導・処分へと進む仕組みです。 運営指導の通知が来てから対応を始めても、減算の発生を遡ることはできません。

定員超過・人員欠如は報酬が3割減る

業務継続計画(BCP)未策定減算・虐待防止措置未実施減算の1%とは別に、より大きな減算が2種類あります。

運営基準違反による減算の重さ比較。BCP未策定減算・虐待防止措置未実施減算は1%、定員超過利用減算・人員基準欠如減算は30%と対比した図
減算の種類減算率適用期間
定員超過利用減算所定単位数の70%(30%減)発生月の翌月から解消月まで
人員基準欠如減算所定単位数の70%(30%減)翌月または翌々月から解消月まで

出典:秋田市「定員超過利用減算・人員基準欠如減算」

定員超過は「やむを得ない事情がある場合を除き禁止」(省令第102条)と明記されています。 それを超えて受け入れると翌月から報酬が3割カットされます。 人員基準欠如は、職員の退職・急病等で必要人員を下回った場合に発生します。

ぺんすけ

「1日だけ定員を超えた」という感覚でも、翌月から減算が発生します。定員超過は当月ではなく翌月から適用されるため、気づいたときには請求がすでに減算されている状態になっています。

定員超過・人員欠如は1%減算より影響が大きく、報酬の3割が毎月削られ続けます。発生させないことが最優先です。

仮に月の介護報酬が300万円の事業所で試算すると、1%減算でも年間で約36万円の減収になります。 定員超過・人員欠如の3割減算なら月90万円が削られる計算です(金額はあくまで仮定値による試算です)。

違反は勧告・命令・指定取消へ段階的に進む

減算だけで終わらないケースもあります。

運営指導(行政が事業所を訪問して実施する指導)の結果、基準違反が確認されると、次の段階的な手続きが始まります。

違反時の段階的な行政処分フロー。文書指摘・口頭指導→勧告→命令→指定の停止・取消の4段階を縦の矢印で示した図
  1. 文書指摘・口頭指導:軽微な違反に対して改善を求める
  2. 勧告:より重大な基準違反に対して改善を勧告する(公示されることがある)
  3. 命令:勧告に従わない場合に改善を命令する(公示される)
  4. 指定の停止・取消:命令にも従わない場合や悪質な違反の場合

出典:介護保険法第76条の2・第77条

いきなり指定取消になるわけではありません。 しかし、減算は基準を欠いた時点で自動的に発生します。

たとえば、感染症対策委員会を開催していたものの議事録の保存が不十分だった事業所が運営指導を受けたケースを考えます。 委員会は開催済みなので開催義務そのものの違反ではありませんが、記録の不備として文書指摘を受けます。 実施した事実だけでなく、書類で証明できる状態を維持してください。

本記事の条文マップと準備リストを使って、定期的に自事業所の現状を点検してください。

ぺんすけ

勧告・命令は内容が公示されることがあります。公示された事業所名はインターネットで検索されるため、採用・集客への影響が出ます。
減算の段階で気づいて改善することが、施設の信頼を守ることにつながります。

指定申請までに整える運営基準の準備リスト

開業予定の方にとって、指定申請は通過しなければ事業が始まらないゲートです。

申請書類の多さに圧倒される方が多いですが、優先順位を決めて順番に準備すれば揃えられます。 まず運営規程→次に各指針→最後に委員会・研修の年間計画、という順序で進めてください。

すでに運営中の事業所の方は、このリストを年1回の自主点検用に読み替えて使ってください。

運営規程と重要事項説明書を仕上げる

指定申請で最初に必要になるのが、運営規程と重要事項説明書です。

運営規程には省令第100条が定める11項目を漏れなく記載します。 特に以下の点に注意してください。

  • 第2号(従業者の職種・員数・職務内容)は採用計画と連動します。開業時点での配置予定人員を正確に記載します
  • 第4号(利用定員)は施設の面積(3㎡×定員)と連動します。物件の広さを先に確定させてから記載します
  • 第10号(虐待防止のための措置に関する事項)は2024年から完全義務化されているため、必ず含めます

重要事項説明書は運営規程の概要をまとめたものです。 利用者・家族への説明と同意取得に使用します。 2025年度からのウェブ掲載義務に対応するため、ホームページへの掲載準備も同時に進めてください。

生活相談員の資格要件は指定権者(都道府県・政令指定都市等)によって認める資格の範囲が異なります。 開業予定地の指定権者(都道府県・市町村)に必ず確認してください。

ぺんすけ

生活相談員の資格要件は自治体によって大きく異なります。 「介護福祉士でも大丈夫」と他県の情報を参考にして採用を進めると、開業前に要件を満たさないと判明するリスクがあります。

業務継続計画と各種指針を整備する

指定申請後の運営でも必要ですが、開業前から整備しておくとスムーズです。 以下の3点を優先して作成してください。

書類名根拠条文作成のポイント
業務継続計画(BCP)省令第30条の2(第105条準用)感染症・非常災害の2種類を作成する。2025年4月から未策定は1%減算
感染症予防・まん延防止に関する指針省令第104条第2項委員会の運営方法・研修・訓練の年間計画も含める
虐待の防止に関する指針省令第37条の2(第105条準用)4措置(委員会・指針・研修・担当者)を指針にまとめる

感染症対策委員会はおおむね6月に1回以上(年2回以上)の開催が義務です。開業前から年間スケジュールを組んでおくと、指定後の運営でも慌てずに済みます。

感染症対策委員会は「おおむね6月に1回以上」、つまり年2回以上の開催が必要です。年1回では義務を満たしません。

出典:同省令第104条第2項

委員会と研修・訓練の年間予定を組む

開業してから書類の整備を後回しにしていては間に合いません。 委員会・研修・訓練の年間カレンダーを指定前に組むことをお勧めします。

種類頻度根拠
感染症対策委員会おおむね年2回以上省令第104条第2項
虐待防止委員会定期的(省令に頻度の定めなし)省令第37条の2(第105条準用)
非常災害対策訓練(避難救出等)定期的省令第103条第2項
BCP研修・訓練定期的省令第30条の2(第105条準用)
認知症介護基礎研修(対象従業者への受講手配)随時(雇用後速やかに)省令第101条第3項

虐待防止委員会の開催頻度は、省令上は「定期的に開催」とのみ定められており、全国一律の回数基準はありません。 具体的な頻度の目安は指定権者の手引き・運営指導資料で確認してください。

認知症介護基礎研修は、看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)等の有資格者を除く全従業者が受講する義務があります。 2024年4月から完全義務化されているため、採用した職員の資格を確認して受講計画を立ててください。

ぺんすけ

委員会の議事録や研修の受講記録は、運営指導で確認を求められる代表的な書類です。年間カレンダーとセットで、実施の証跡を残す保管ルールも決めておいてください。

また、指定申請の書類作業と並行して、名刺・パンフレット・ホームページなどの営業ツールの準備が発生します。 開業後にすぐ利用者に選ばれるための活動を始められるよう、早めに手を打っておくことが重要です。

出典:同省令第101条第3項

よくある質問

デイサービスの運営基準はどのくらいの頻度で変わりますか?

運営基準の見直しは介護報酬改定と同じ原則3年ごとのタイミングで行われることが多く、現行は2024年度(令和6年度)改定、次回は2027年度(令和9年度)が予定されています。

省令の改正は随時行われるため、年度替わりに指定権者から届く通知を確認する習慣をつけてください。

運営基準に違反するとすぐに指定取消になりますか?

いきなり指定取消になるケースは基本的になく、運営指導→勧告→命令→停止・取消という段階を経ます。
ただしBCP未策定・虐待防止措置未実施・定員超過・人員基準欠如の各減算は、要件を欠いた時点で自動的に発生します。

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この記事を書いた人

レバウェル介護にて約2年間、介護業界専門のキャリアアドバイザーとして従事。これまでに300名以上の介護士の転職面談を担当。また介護施設への人材派遣を通じて採用側の課題解決にも従事。このような実務経験をもとに、介護事業者・求職者双方にとって信頼性の高いWeb制作を行っています。

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