ケアマネジャー(介護支援専門員)に名刺を渡して半年経つのに、紹介の電話が一度もない。あなたが今そう感じているなら、その焦りは正しい反応です。
ただし結論を先に言うと、紹介が出ないのは営業のやり方の問題ではありません。 ケアマネジャーが介護タクシーを思い出すタイミングの設計ができていないからです。
この記事では、介護タクシー事業者がケアマネジャーに選ばれる立場になる方法を整理します。 業務フローからの逆算・訪問設計・贈答リスクの回避・名刺とホームページの役割を解説します。
介護タクシーへのケアマネ紹介が来ない3つの理由
半年通っても紹介が出ないと感じている事業者は多いですが、これは営業センスの問題ではありません。 構造的に紹介が出にくい3つの理由があります。
私はキャリアアドバイザー時代に約300名の介護職者を担当し、ケアマネジャーの方々と日常的に話してきました。 施設紹介の現場では、ケアマネジャーが自ら事業者を選んでくる動きをする方は、思っていたよりずっと少ないという感覚を持っています。
介護タクシーの紹介でも、同じ構造が働きます。 ここでは構造的な3つの理由を順に整理します。
担当40名のうち介護タクシー利用者は数名
一つ目は、ケアマネジャー1人あたりの担当件数の上限が決まっている点です。 そのうち介護タクシーを必要とする利用者は、ごく一部にとどまります。
居宅介護支援事業所の人員配置基準では、利用者44名ごとに介護支援専門員1名を配置することが標準とされています。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第2条第2項(厚生省令第38号)
ケアマネジャー1人が抱える数十名の利用者のうち、介護タクシーの出番がある人は数名にとどまります。 担当件数のうちのごく一部のニーズを、複数の事業者で取り合っている構造になります。
担当44名のうち、車椅子のまま移動が必要な利用者は2〜3名、ストレッチャー移送が必要な末期がんの利用者が1名、という配分が珍しくありません。年間の紹介機会は1ケアマネあたり数件規模です。
既に取引している介護タクシーの存在
二つ目は、ケアマネジャーには既に付き合いのある介護タクシー事業者がいることがほとんどだという点です。
新規参入の事業者が、既存の関係を上書きして紹介を取りに行くには、相応の時間がかかります。 既存事業者で大きな失敗がない限り、わざわざ新しい事業者に切り替えるインセンティブがケアマネジャー側に働きにくいのが現実です。
ぺんすけ既存事業者との関係を崩さずに「2番手として覚えてもらう」発想に切り替えると、初年度の動きが楽になります。
ケアマネージャー観点からみても、一度介護タクシーを依頼して問題なければ、わざわざ別の事業者に変更するリスクを犯す必要がありません。取引実績のある事業者が優先になることは覚えておきましょう。
運営基準による金品授受の禁止
三つ目は、ケアマネジャーがお礼やお返しの関係を作れない立場にあることです。
居宅介護支援事業所の運営に関する基準では、介護支援専門員が居宅サービス事業者等から金品その他の財産上の利益を収受することが禁じられています。
出典:厚生省令第38号
つまり贈り物をしたから紹介で返してもらうという営業ロジックは、制度上成立しません。 これは後述のNG行動の前提にもなる重要な制約です。



指導・監査の対象となるリスク、介護報酬の返還(加算金付きの場合もあり)を求められる可能性があります!
また居宅介護支援事業所そのものも全国で減少傾向にあります。 令和7年4月審査分時点で35,943ヵ所、7年連続で減少しており、事業所数は減りながら担当負荷は維持される環境です。 ケアマネジャーは新規の事業者と関係を作る時間が、以前よりさらに限られているのが現状です。
ケアマネが介護タクシーを思い出す業務シーン
ここからが本記事の核心です。 紹介が増える事業者は、ケアマネジャーに営業をかけていません。 ケアマネジャーが業務の中で介護タクシーを思い出す場面に、自分の事業所名が乗るように設計しています。


ケアマネジャーの業務には決まった局面があります。 ケアプラン作成・サービス担当者会議・退院前カンファレンス・モニタリング訪問の4つです。
この4場面のどこで思い出されるかを逆算するのが、ケアマネ営業の正しい組み立て方になります。
| 場面 | ケアマネが介護タクシーを意識する瞬間 |
|---|---|
| ケアプラン作成 | 通院・外出計画を組み立てる初期段階 |
| サービス担当者会議 | 関係事業者間で輸送手段の調整をする場面 |
| 退院前カンファレンス | 病院から自宅・施設への移送手段を即決する場面 |
| モニタリング訪問 | 月1回の利用者面接で外出ニーズが新たに浮上する場面 |
ケアプラン作成のタイミング
ケアプランは、要介護認定を受けた利用者の生活全体を組み立てる設計図です。 ケアマネジャーはアセスメントの中で通院手段・家族の送迎可否・車椅子の使用などを確認します。
このタイミングであの事業所なら車椅子のまま乗れると思い出されるかが、最初の分岐点になります。
逆算して事業者側がやることは、対応エリア・対応車両・配車のリードタイム・保険外料金体系を整理することです。 ケアマネジャーが机の中から1分で取り出せる形にしておきます。 電話で問い合わせる前に、資料で完結する状態を作るのが目的です。



具体的には、A4一枚の事業所紹介資料に対応車両の写真と料金表を1枚に収める形が、机の上で開いたまま家族と話せる現実的なサイズ感です。
サービス担当者会議のタイミング
サービス担当者会議は、利用者ごとにケアマネジャーが召集する関係事業者の打ち合わせです。 訪問介護・通所介護・福祉用具などと並び、移送も論点に上がります。
ここで事業所名が口に出るのは、ケアマネジャーが手元の資料を見ている時か、過去に名前を覚えている時のどちらかです。



手元に資料を置いておいてもらうことが特に大切!名刺を渡したり、チラシを渡したりなど。どのようなサービス内容なのかが明確にわかるものを渡しておきましょう!
会議に呼ばれることを期待する必要はありません。 会議の準備段階でケアマネジャーが資料をめくった時、自分の事業所が候補に入っている状態を作ることが目的になります。
退院前カンファレンスのタイミング
退院前カンファレンスは、病院の地域連携室・医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャー・家族が集まる場です。 退院後の生活体制をここで決めます。
退院日が確定すると、移送手段は数日以内に決まります。 指名されるかどうかは、ケアマネジャーが即日対応してくれる事業者を頭の引き出しに入れているかで決まります。
事業者側の打ち手は、配車の即応性とストレッチャー・車椅子対応の可否を一目で示すことです。 退院日が決まったその瞬間に思い出される確率が上がります。
名刺の裏面に「翌日対応可」「ストレッチャー対応◯」「院内介助◯」をアイコン付きで並べる。ケアマネが家族へ指差し説明できる名刺が、指名の起点になります。



退院前カンファレンスは時間が限られた即決の場です。ここで一覧表に名前が載っていない事業者は、その日の検討対象から自動的に外れます。
モニタリング訪問のタイミング
ケアマネジャーは、利用者のもとを少なくとも月1回訪問して面接することが基準で定められています。
この月1回の面接で、家族から最近、病院に行くのが大変でと相談が出ることが少なくありません。 ここが新規の紹介機会です。
事業者側ができることは、月1回のモニタリング前後にケアマネジャーの机へ新しい情報を届けることです。FAXや郵送で月次ニュースを定期的に送る方法が現実的になります。
訪問は月1回程度を半年〜1年継続するのが業界で目安とされています。 訪問とFAXを組み合わせると接触頻度を上げられます。



月1回の訪問で売り込みを足すより、季節の話題と移送事例を1件だけ添えた1枚資料を置いてくる方が、相手の業務時間を圧迫しません。
ケアマネに選ばれる介護タクシーの名刺とホームページ
ここからは、ケアマネジャーに思い出される状態を作るコツを紹介します。
最低限必要な武器は、以下の2つです。
- 名刺:ケアマネージャーが家族にサクッと紹介できる
- ホームページ:家族が介護タクシーを選ぶときに、あると安心される
ケアマネジャーは1日に何枚もの名刺を受け取り、何件もの相談を受けます。 机の引き出しから介護タクシーの名刺が出てくるかは、書いてある情報の選び方で決まります。
介護タクシーの名刺を作る時のコツ
ケアマネジャーが家族からの相談を受けた瞬間、引き出しから最初に取り出される名刺。
これを目指すなら、判断に必要な情報が名刺の表面で完結している必要があります。
名刺に最低限載せておきたい項目は次の4つです。
| 項目 | 載せる内容 |
|---|---|
| 対応エリア | 営業所からの対応可能距離・主要市区町村名 |
| 対応車両 | 車椅子のまま乗車可・ストレッチャー対応の有無 |
| 保険外料金体系 | 初乗り・距離料金・介助料金の概算 |
| 営業時間 | 24時間対応か日中のみか |



上記に加えて、「名前」や「電話番号」などの基本情報は必ず載せるようにしましょう。
肩書きと連絡先しか書いていない名刺は、その日のうちに別の山に紛れます。 情報密度が高く、整理されている名刺だけが机の引き出しに残ります。
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介護タクシーのホームページを作る時のコツ
ホームページの設計は、2視点で組み立てることが大事です。 ケアマネジャーが見る場面と、家族が見る場面です。
それぞれに優先で見せる情報を整理すると、次のようになります。
| 見る人 | 優先で見せる情報 |
|---|---|
| ケアマネジャー | 対応エリア・対応車両・院内介助・配車対応・料金体系 |
| 家族 | 利用の流れ・車内の写真・スタッフの顔・予約方法 |
ケアマネジャーは判断時間を短くするための業務情報を、家族はサービスの中身が見えない不安を埋める情報を求めています。 視点ごとに見せる順番を切り替える設計が必要です。
ケアマネジャーが候補を絞り、最終的にホームページを開いて確かめるのは家族という流れが、介護タクシーでは現実的なパターンになります。 ケアマネジャーが2〜3社を提案し、家族がURLを開いて選ぶ場面が珍しくありません。



ケアマネ向けと家族向けを1ページに混ぜると、どちらにもピンと来ない中途半端な構成になりがちです。セクションを分けるだけで、転送された家族の納得度が上がります。
だからこそ、ケアマネジャーが家族にURLを転送した瞬間、ここなら安心できそうと家族に思わせる設計が必要です。 ホームページの作り方の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。


介護タクシーがやってはいけないケアマネ営業3つ


最後に、やってはいけないケアマネ営業3つを紹介します。
良かれと思って続けている行動が、実はケアマネジャー側の負担になっている事例は珍しくありません。 制度・業務・関係性の3視点でNGラインを把握しておくと、無駄な動きで信頼を削るリスクを避けられます。
菓子折や贈答品を手渡しする
ケアマネジャーへの手土産推奨を書いている記事もありますが、これはハズレです。正解は手土産を持って行かないことです。
前述の通り、介護支援専門員は居宅サービス事業者等から金品を収受することが運営基準で禁じられています。 菓子折を渡すと、ケアマネジャーに返却対応の手間をかけさせるか、断りづらい関係を作るかのどちらかになります。 いずれも紹介には繋がりません。



「お菓子くらいなら」と思って渡した一箱が、相手の事業所で稟議や返却処理を発生させた事例を、私は介護現場で何度も見てきました。
そのため、手土産は持って行かないように心がけましょう。
初回訪問で売り込みすぎる
初回訪問でうちは車椅子対応で24時間対応でと一気に売り込むと、ケアマネジャーに営業されている感が残ります。
ケアマネジャーは1日に複数の営業を受ける立場です。 売り込みの強い事業者ほど、印象から消えやすい傾向があります。
初回は名刺と要点を絞った事業所紹介資料を置いてくるだけで十分です。 2回目以降に、最近こんな移送に対応しましたという具体例を1つだけ伝える。 これくらいが相手の業務を圧迫しません。
具体例:「先月、退院当日の急な依頼で、ストレッチャー対応の福祉車両を午後便で配車できた事例がありました」と1件だけ話す。売り込みではなく現場の話として届くので、印象に残りやすい伝え方です。
アポなし訪問やSNS連絡で迷惑をかける
ケアマネジャーの業務には、利用者宅への訪問・サービス担当者会議の調整・給付管理など、時間枠が決まっているものが多くあります。
アポなしで訪問されると業務が中断し、取り戻すために残業が増えます。連日のアポなし訪問は、関係を作るどころか避けたい事業者として記憶される行為です。
ケアマネジャー個人のSNSアカウントへのDMや、LINE個人IDの交換も避けてください。業務と私生活の境界を踏み越える行為になります。
連絡は事業所のFAX・代表電話・公式メールを使うようにしましょう。



ケアマネジャーから「あの事業者だけは紹介に入れたくない」と名前を覚えられる側に回ってしまうと、半年〜1年は挽回が効きません。
介護タクシーのホームページ制作はTeraceにお任せ
当メディアを運営する私達は、介護専門のホームページ制作サービス「かいごのヒカリ」を運営しています。



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- 介護業界で2年間採用に携わっていたスタッフが制作を担当
- インターネット公表の義務化に対応(重要事項説明書・運営規定など)
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